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八劔神社(諏訪市)の御朱印と見どころ

八劔神社の紹介

長野県の諏訪市にある八劔神社の参拝レポートです。

読み方は「やつるぎじんじゃ」です。諏訪大社上社の境外摂社で、諏訪湖の湖面に氷の亀裂が走りせりあがる「御神渡り(おみわたり)」を拝観し検分する、御渡神事(みわたりしんじ)を行っている神社です。八剱神社八剣神社とも表記されます。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

御神渡を見守る「八劔神社」へ

僕は生まれも育ちも諏訪地方の茅野市でして、その辺りでは「御神渡り(おみわたり)」を知らない人はいないのではないかと思います。真冬の諏訪湖の湖面に、神様の通った跡といわれる亀裂が、氷のせり上がったうねる道として出来上がる現象です。上社の男神が、下社の女神の元へと訪れた跡だともいわれます。

御神渡りがあった際には、全国ニュースなどでも取り上げられていますので、ご存じの方も多いかもしれませんが、やはり言葉だけでは上手く伝わらないかと思いますので、weathernewsのサイトに掲載されていた写真を引用させて頂きます。

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(引用元:https://weathernews.jp/)

昼夜の寒暖差で氷が膨張と収縮を繰り返し、このような現象が起こるとのことですが、せり上がる際には大きな音も聞こえるそうです。

かつて御神渡りは毎年のように見ることができたのですが、近年は温暖化の影響からなのか、数年に一度しか見れない、貴重なものになりつつあります。僕も子供の頃に見に行った覚えはあるのですが、大人になってからは一度も見れていません。

ぜひとも間近で見てみたいものではありますが、そんな御神渡りの神事を行っているのが、こちらの八劔神社なんです。

御渡神事(みわたりしんじ)という「御渡り拝観の神事」でして、八劔神社の神職さまが御神渡りの検分を行い、その状況をご祭神に報告し、年占が行われます。

毎年御神渡りのニュースでは、この御渡神事が行われている場面が紹介されています。こちらは産経ニュースの写真を引用したものになります。

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(引用元:https://www.sankei.com/)

八劔神社と書かれた幟もばっちり見えますね。

そしてこの度、実家の長野に帰省した僕は、嫁とともに八劔神社に参拝することに。

八劔神社とともに、以前からずっと行きたかった、手長神社と足長神社も加え、その三ヶ所を回る神社巡りです。全て諏訪市内にあります。

実家のあるお隣の茅野から出発し、まずは足長神社に参拝。大木の茂る素晴らしい神社でした。

で、続いて向かいましたのが八劔神社です。

八劔神社は僕が通っていた高校の近くにありまして、懐かしい景色にも多少触れつつ、向かいます。当時は八劔神社の存在すら全然知らなかったですけれど。

国道20号から細い路地へと入りますと、すぐに鳥居が見えました。

到着です。

 

ご由緒

ご祭神は、八千矛神(やちほこのかみ)日本武尊(やまとたけるのみこと)誉田別尊(ほむたわけのみこと)の三柱です。

八千矛神は国造りの神である大国主神の別称で、出雲大社のご祭神です。日本武尊は第12代景行天皇の皇子で、熊襲征討と東国征討を行った、日本古代史上の伝説的英雄です。誉田別尊は第15代応神天皇の別称で、八幡神とも同一です。

創建の年代は不明です。古くは高島の里と呼ばれた諏訪湖中に突き出た島に鎮座し、海上守護神として崇敬されていました。

戦国時代に豊臣秀吉の家臣である日根野織部正高吉が諏訪を治め、高島に浮城を築いた際に、氏子とともに現在の地に遷座しています。

江戸時代には高島藩諏訪家が居城鎮護として崇敬し、刀剣や絵馬なども奉納されます。

明治になり、小和田村の産土神となり信仰され、現在に至ります。

諏訪大社上社の摂社で、御柱祭が行われる寅年と申年に、社殿の造営(千木のみ新調)と遷宮が行われます。

特殊神事である「御渡神事(みわたりしんじ)」は、諏訪湖の御神渡りを拝観する神事で、当社の神職によって行われ、御神渡りを記録した「御渡帳」には、江戸時代前期の天和以降の記録が残っています。

 

境内案内

こちらが八劔神社の入口です。ここからの景色だけで、神社って美しいな~と思ってしまいます。

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右手には、御渡り神事や御渡帳など、市の有形文化財についての説明書き。

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左手には手水がありまして、温泉の手水です。小和田乃湯と書かれています。お清めさせて頂いたところ、おもいっきりお湯でした。

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一礼して石鳥居をくぐります。青空と鳥居の絵は素敵です。

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境内は広々としています。正面に見える社殿は、拝殿ではなく神楽殿のようです。その右の大きな建物は、老舗旅館のようにも見えますが、公民館も兼ねた社務所のようです。

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境内の左手はこんな感じ。大小の木々が聳えています。

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反対側、右手はこんな景色です。こちらの方が木は少なく開けています。右手にも境外へと続く出入り口があります。

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右の手前、鳥居の脇は石庭のようになっていました。

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参道の左手に手水舎です。手水の上には、注連縄の巻かれた石が置かれています。

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参道を進み、神楽殿へ。

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神楽殿の前には狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。台座には諏訪大社上社の梶の神紋。

八劔神社の狛犬

 

こちらが右の狛犬さんです。神楽殿の前に狛犬さんというのは、珍しいのではないかと。

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右手の建物は、少し不思議な感じの造りになってますね。二階がかなり広そうです。

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神楽殿の後ろに拝殿があるようですので、左から回って進みます。左手には石碑がいくつか並んでいます。

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神楽殿には「八劔宮」の扁額です。もしかしてこちらが正面なのかも。

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神楽殿の先、左には鳥居がありまして、八劔神社にはこちらからでも出入りができます。その手前にはご由緒書きがありましたので、目を通します。

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そして神楽殿の後ろに回りますと、正面の前方に拝殿です。大木が何本か聳えています。緑との調和が綺麗です。

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右手が社務所でして、「御朱印」と書かれた紙も貼られていますので、参拝後に立ち寄らせて頂きます。

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こちらは後ろからの神楽殿。昔の八劔神社の写真なども掲示されています。

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参道を進み、拝殿前へ。左右には立派なケヤキ。

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左右には境内社が見えましたが、まずは拝殿へ。手前には竹にしめ縄、そして上には精巧な彫刻が施されているのが見えます。

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彫刻は、龍、獅子、鶴など。しばし眺めます。

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夏の朝の心地よい空気の中、参拝させて頂きます。

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参拝を終え、境内を散策してみます。左手の建物は、境内社かと思いきや、神輿庫でしょうか。

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反対側、右手には境内社が並んでいます。一社ずつ参拝させて頂きます。ケヤキの右の社殿には厳島大神、左の社殿には事代主神、大国主神、菅原神の三つの扁額。御柱も建てられています。

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さらに奥にも四つの境内社。手前から稲荷社、穂見神社、新海神社、その奥は山之神社が二つと厳島社が合祀された社です。こちらにも御柱がそれぞれ建てられています。

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拝殿の右奥は、こんな感じで奥へと続いています。大きなケヤキも。

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奥へと進みますと、右手にはさらに境内社が並びます。手前から御柱宮司社、神明社、御嶽山大権現の石碑、そして小さな石祠が二つです。さらにその奥にも石碑など並んでいるのが見えました。

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奥まで来ますと、本殿の姿を拝見することもできます。八劔神社は後方にも鳥居があり、そちらからでも出入りができます。

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こちらは裏の鳥居を一度出て、振り返った景色です。

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再び拝殿前に戻り、社務所にて御朱印を頂きます。その後、宮司さまのご厚意により、朝御饌(あさみけ)の神事に参列させて頂きまして、貴重な体験をさせて頂きました。

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参拝を終えて

この日二か所目に訪れた八劔神社。

青空に大木と緑が映える、とっても素敵な神社でした。

僕たちはこのたび八劔神社を訪れるにあたり、事前に下調べをしたところ、足長神社と八劔神社の御朱印は、同じ諏訪市内の手長神社にて頂けるとの情報がありましたので、そのつもりでおりました。

しかしどうやら最近変更があったようでして、足長神社と八劔神社の御朱印が八劔神社、手長神社は手長神社、という形になったようです。

よって、こちらで足長神社と八劔神社の御朱印を頂くことに。

で、対応してくださった宮司さんとお話をさせて頂いた際に、神様のお食事である御饌(みけ)をお供えする朝の神事「朝御饌(あさみけ)」をこれから行うので、よかったら見て行きませんか?と声を掛けて頂きました。

神様のお食事である御饌(神饌)をお供えする神事というのは、僕も知識として知ってはいましたが、実際に参列したことは一度もありませんでしたので、願ってもいないご厚意です。嫁とともに、即答でお受けします。

さっそく拝殿に上がらせて頂き、神事が始まります。朝御饌祝詞の奏上や、二種類の笛の奏上など、初めて耳にするあれこれを拝聴し、清とした空気の中、20分ほどの神事でした。最後に参列した人が神饌を頂く直会(なおらい)にて、お塩を頂き終了です。

とっても貴重な体験をさせて頂きました。このような神事に立ち会えることになるとは。

さらにその後も、拝殿内に飾られている、高島城主から奉納された大きな絵馬など、宮司さんの解説付きというありがたい環境で拝見させて頂きました。

またこちらの宮司さんが、ちょっとお茶目な方でして、何かと楽しませてくれるんですよ。笑

色んなお話もさせて頂きました。

諏訪の人間でしたら誰もが知る御神渡りにて、神事を行う八劔神社の宮司さんと、そんなふうにお話させて頂いたことだけでも、とっても光栄でございます。

神社巡りをしていますと、たまに神職さんや氏子さんが、拝殿の中に入れてくださったり、特別なものを見せてくださったり、そんな機会に遭遇します。そういうのってほんとに巡り合わせですね。

八劔神社は境内もまた素敵でして、大きなケヤキと緑が綺麗な神社でした。

手水が温泉というのも、温泉地の諏訪ならではだと思います。諏訪大社上社の本宮と、下社の秋宮も温泉手水がありますが、温泉手水ってそれだけでなんだかテンション上がってしまうんですよね。

落ち着いた色合いの拝殿も素敵でして、施された彫刻も精巧なものでした。

右手に境内社がずらっと並んでいまして、そのそれぞれの四隅に御柱が建てられているのも印象的でした。

八劔神社、参拝できてよかったです。

神事にも参列させて頂き、なんとも贅沢な時間を頂戴いたしました。ありがとうございました。

続いては、同じ諏訪市内にある、手長神社へと向かいます。

 

御朱印

こちらが八劔神社の御朱印です。

八劔神社の御朱印

 

御朱印の受付時間

御朱印を頂ける時間は、日中の時間帯(9時から16時までを目安に)です。八劔神社では、同じ諏訪市内にある足長神社の御朱印も頂けます。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は長野県諏訪市小和田13-18です。

八劔神社の公式サイトはありません。

 

電車

JR「上諏訪駅」から徒歩15分。

改札を出て駅の外(霧ヶ峰口)に出たら、右へ。細い路地があるのでそちらを進み、そのまま道路を渡り直進(線路を右手に見る形)です。15分ほど歩くと右手に境内です。

バスですと上諏訪駅から乗車し、「角間橋」もしくは「旧道角間橋」下車になります。

 

駐車場

参拝者用の駐車場があります。社殿に向かい左手の境外です。数台駐車できる駐車場ですので、特別な日でない限り、問題なく駐車できるかと思います。

 

周辺のパワースポット

 

諏訪市の神社一覧

僕が参拝した諏訪市の神社一覧です。