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手長神社(諏訪市)の御朱印と見どころ

手長神社の紹介

長野県の諏訪市にある手長神社の参拝レポートです。

読み方は「てながじんじゃ」です。諏訪大社上社の境外末社で、同じ諏訪市内の足長神社とは夫婦の関係です。もとは手長足長の夫婦の巨人をお祀りしていたとの伝承もあります。映画『君の名は』の宮水神社のモデルになった神社の一つとも言われています。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

『君の名は』のロケ地といわれる「手長神社」へ

この日は実家に帰省中の夏の一日。雨が数日続いていたのですが、束の間の晴れが訪れましたので、おもいきって数か所の神社巡りに出掛けました。

選んだ神社は、諏訪市内にある手長神社、足長神社、八劔神社の三ヶ所です。いずれも以前からずっと行きたかった神社なんです。

僕の実家は諏訪市のお隣である茅野市でして、そちらからですと、足長神社→八劔神社→手長神社の順番が近い順でして、その流れで向かうことに。

まずは茅野駅と上諏訪駅の中間辺りにある、足長神社に参拝。巨木の聳える神秘的な神社でした。

続いては上諏訪駅寄りの八劔神社へ。諏訪湖の御神渡りを見守っている神社です。こちらでは宮司さんのご厚意により、朝御饌(あさみけ)の神事にまで参列させて頂いちゃいました。

で、最後に向かったのが、上諏訪駅の近くにある手長神社です。

手長神社と足長神社は夫婦の神様がお祀りされていて、手長の巨人、足長の巨人伝説もある神社です。地元では手長さま、足長さまとして信仰され親しまれています。最初に訪れた足長神社もとっても素敵な神社でしたので、訪れるのが自然と楽しみになってきます。

さらにはどうやら手長神社は、映画『君の名は』の宮水神社のモデルの一つにもなっていると言われているらしく、気になります。宮水神社は、岐阜県の高山市にある飛騨山王宮日枝神社や、飛騨市にある気多若宮神社がモデルと言われていますが、手長神社もそれらの候補の一つであると。

『君の名は』では、糸守湖のモデルが諏訪湖だとも言われていますので、近くにある手長神社が宮水神社のモデルになっていても、確かに不自然ではありません。

僕は別のブログで、『君の名は』と諏訪湖については以前書いております。

あとは、意図して聖地巡礼をしたわけではないのですが、四谷の須賀神社にも参拝しております。瀧くんと三葉がすれ違った階段のある神社ですね。

ですのでまたこのたび、『君の名は』とご縁のある神社に足を運べるのは、なんだか嬉しいものがあります。

そんな想いを巡らせつつ向かいますと、二か所目に訪れた八劔神社から、車ですぐでした。

上諏訪駅の近く、細い路地に入り坂を上がって行きますと、中学校のお隣に、鳥居と石段が見えました。

手長神社に到着です。

 

ご由緒

ご祭神は、手摩乳命 (てなづちのみこと)です。諏訪大社のご祭神である建御名方神(たけみなかたのかみ)の祖神で、ヤマタノオロチの生贄となるところを素盞嗚尊(すさのおのみこと)により救われた、奇稲田姫命(くしなだひめのみこと)の母神です。奇稲田姫命の父神である脚摩乳命(あしなづちのみこと)は、同じ諏訪市内の足長神社に祀られています。

手摩乳命は、手長彦神という別名もあり、他説では建御名方神に随従する神でもあります。

創建の年代は不明です。近くには手長丘遺跡や茶臼山古墳群があり、古代からこの地には人が暮らしていたものと考えられます。

もともとは手長足長の夫婦の巨人をお祀りしていたとの伝承もあり、諏訪大社の創建以前、古代から地元神として信仰されていました。手長足長は諏訪明神の家来という説や、元々諏訪を支配していた神で、侵入してきた建御名方神と戦ったという説など、諸説があります。

この辺り一帯の桑原地域が一つの郷であったときには、手長足長は一つに祀られていましたが、上桑原と下桑原に分かれた際に、それぞれの産土神となったという説もあります。

古くは手長宮、手長大明神と称されていました。

現在のご祭神が後から持ち込まれ、祀られるようになったとも考えられていますが、その詳細も不明です。

諏訪のお城である高島城の鬼門に位置することから、江戸時代には諏訪藩家中の総鎮守となりました。

現在の社殿は江戸時代中期のものですが、昭和27年に半焼してしまい、修理が行われています。旧本殿(現在は境内末社の彌榮神社)と拝殿は、市の有形文化財に指定されています。

同じ諏訪市内にある足長神社とともに、古来より信仰されてきた神社です。

 

境内案内

こちらが手長神社の入口です。この左手に2台ほど駐車できるスペースがありましたので、車はそちらに停めました。

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鳥居の手前、右に手水舎です。

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手水鉢は鉄平石でして、これはかなり珍しいのではないかと思います。龍もいますね。お清めをさせて頂きます。

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鳥居は木の鳥居です。山の中へと石段が続いていて、奥には拝殿が見えます。

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鳥居の左右には狛犬さん。こちらが左の狛犬さんです。

手長神社の狛犬

 

左の狛犬さんの後ろに、ご由緒書き。目を通します。

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こちらが右の狛犬さん。左右どちらも台座には諏訪大社の梶の神紋です。

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一礼して鳥居をくぐります。扁額も木でして、かなり古いもののようにも見えます。

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石段を上がります。境内は緑が深く心地よいです。

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最初の石段を上がりますと、正面はこんな景色。素敵です。

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左手には苔むした石燈籠があり、その向こうが社務所です。御柱が建てられているのも見えます。

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石段の左右には、二対目の狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。子供もいます。

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狛犬さんの左手には戦没者追悼之碑です。手を合わせます。

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こちらが右の狛犬さん。下の一対目の狛犬さんに比べると、こちらの二対目の方が少し小さめです。

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右手はこんな景色です。大きな4本の木が聳え、その向こうに見える建物は中学校です。

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こちらの玉垣に囲われた場所は、かつて大ケヤキがあったそうです。枯れてしまいましたが、切り株から芽が出て、今のこの木になったとのこと。

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その右手には立派な神楽殿。

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右手の突き当りまで行ってみます。先ほど見えた4本の大木は、近くで見るとさらに迫力があります。

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左の二本のケヤキは、足元に「むすびの大欅」と書かれていまして、見上げると梢がくっついて一つになっていました。樹齢約400年のケヤキです。

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ケヤキに向かって左の山側、拝殿のある側には御柱があり、その奥には境内社が見えました。境内社には後ほど参拝させて頂くことに。

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ケヤキから境外に出て山側を見ますと、こちらにも石祠や石碑です。

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再び、拝殿へと続く石段前に戻ります。

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石段を上がり拝殿へ。

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拝殿の前に立ちます。精巧な彫刻が施され、厳かな雰囲気の漂う社殿です。

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すぐ左には、樹齢約500年と書かれた「延命杉」。でかいです。

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彫刻を眺めます。向拝には鳳凰、虹梁には唐獅子、木鼻には獅子です。どれもかっこいい。

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そしてよく見ると、木鼻へと続くこの部分に、龍がいます。

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反対側、右の同じ場所にも龍。

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扁額には「手長宮」。参拝させて頂きます。

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お賽銭箱には、御朱印の案内も。

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拝殿から右手はこんな感じです。境内社も並んでいます。

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右のエリアに進んでみます。まず、拝殿のお隣が片拝殿です。その手前にはご由緒書きもありました。

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その右手が、旧本殿である彌榮神社(やさかじんじゃ)です。現在の本殿が造営された際に、彌榮神社としてお祀りされた境内社です。脇にも小さな祠があり、四隅には御柱が建てられていました。

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彌榮神社の右手に、松尾大明神、龍王大明神と続きます。

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さらに右手には下へと続く石段があり、境内社が並んでいます、先ほど「むすびの大欅」前から見上げた境内社になります。

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こちらにはかなりの数の末社が並んでいます。比較的大きなものは二つ。片方の扁額には鹽竈大明神とあります。

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右に並ぶ小さな石祠にも手を合わせます。境内には全部で70以上の祠と、40以上の末社があるとのこと。

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末社の並ぶエリアから拝殿側を見上げると、こんな景色です。

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再び拝殿前に戻ります。こちらは拝殿を右斜め前から。美しいのでずっと見ていられます。

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こちらは拝殿を左斜め前から。同じく、美しい。

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左はこんな感じで片拝殿があり、その先に回廊が続いています。素敵な景色です。

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左の片拝殿には、神系図が書かれたものもありました。

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回廊の前にも手水があります。

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さらに奥へと道が続いています。社務所の方へと下りる石段がこちらにもありました。

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拝殿の正面へと戻り、石段を下ります。

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御朱印を頂きに社務所へ。社務所前では剪定の作業をされている方が数人。ここからは諏訪湖も見えました。無事御朱印を頂き、手長神社を後にします。

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参拝を終えて

この日の神社巡りの最後に訪れた手長神社。

最初に訪れた足長神社も神秘的な神社でしたが、そちらに近い雰囲気もありつつ、また違った魅力もある神社でした。

上諏訪駅からほど近い場所に、こんな神社があったとは。

僕は通っていた高校の最寄り駅が上諏訪駅なので、この近辺もよく通っていたはずなんですけどね。神社があるなんて当時は全く気付いていなかったです。

手長神社の境内は、まず鳥居の前からの景色からしてとっても素敵でして、惹きつけられました。どことなく『君の名は』の宮水神社を想わせるような景色でもあり、新海誠監督もここに立ったことがあるのかも?なんて考えてみたり。

しかしです。

神社巡りを終え、この記事を書く段階で初めて気付いてしまったのですが、僕がくぐった鳥居はなんと一の鳥居ではなく、三の鳥居だったんです…。

てっきり三の鳥居が手長神社の入口かと思ってしまったのですが、どうやら坂を少し下ったところには二の鳥居があり、そこから長~い石段があり、一の鳥居があったみたいで。

僕も嫁も神社参拝の際には、できるだけ一の鳥居から入ることを心掛けています。歩ける範囲内でしたらそうしようと常に思っていますので。にもかかわらず、手長神社にてそれを遂行できなかったのは、失態でございます。

後から他の方のブログなどで長い石段の写真を見ますと、歩くのは大変そうですけれど、とっても素敵な参道になっていますので、ぜひとも自らの足で上がってみたかった。もしかしたらそちらの景色こそ、宮水神社っぽかったかもしれないですし。

さらにはもう一か所、どうやら拝殿から左手へと続いた回廊の奥、境内を出た先には聖徳神社という別の小さな神社があったようでして、そちらには狛犬ではなく狛鯱(こましゃち)さんがいたみたいです。こちらも全く気付かなかった…。

石段も聖徳神社も、ぜひとも次回訪れた際には、ちゃんと足を運ぶことを決意します。

すみません、見逃したものから先に書いてしまいましたが、もちろんちゃんと見れたあれこれも、素敵なものがたくさんありました。

先述した三の鳥居からの景色に始まり、山の中へと石段が続いていき、その上に拝殿が見える景色はとっても神秘的でした。

境内には巨木も多く、それらがより畏怖の念を抱かせます。足長神社と同じく、巨人伝説を思い起こさせる、独特の空気が漂っていました。

石段の下、玉垣で囲われた場所にもかつては大ケヤキがあったとのことで、ぜひその景色も見てみたかったです。

手水が鉄平石というのも、ありそうでないのではないかと。僕はたぶん、こちらが初めてですね。

拝殿の彫刻も素晴らしかったですし、左右に片拝殿のある造りは、どんな角度から眺めても美しかったです。

境内社がたくさんあったのも印象的でした。

拝殿前から石段を見下ろした景色や、社務所前から諏訪湖が見えるロケーションなど、なんとなく『君の名は』へと通じるものがありまして、もう一度映画を観たくなりました。

手長神社、参拝できてよかったです。

この日は足長神社、八劔神社、手長神社の三ヶ所に参拝させて頂き、夏の一日にとてもいい時間を過ごすことができました。

帰省した際には、またどこかの神社に出掛けてみようと思います。

 

御朱印

手長神社では、二つの御朱印を頂くことができます。

こちらが手長神社の御朱印です。スタンプは月替わりとなっています。

手長神社の御朱印

 

こちらが旧本殿である境内社、彌榮神社の御朱印です。

彌榮神社の御朱印

 

この他に、季節により限定御朱印があります。

 

御朱印の受付時間

御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から16時までです。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は長野県諏訪市上諏訪茶臼山9556です。

手長神社の公式サイトはありません。

 

電車

JR「上諏訪駅」から徒歩10分。

改札を出て駅の外(霧ヶ峰口)に出たら、目の前の国道20号を右へ。最初の交差点を左折、次の旧甲州街道との交差点を右折。そうすると左手に郵便局があり、その手前が一の鳥居です。

 

駐車場

参拝者用の駐車場があります。三の鳥居脇に2台ほど、社務所の前に10台ほど駐車できるスペースがあります。特別な日でない限り、問題なく駐車できるかと思います。

 

周辺のパワースポット

 

諏訪市の神社一覧

僕が参拝した諏訪市の神社一覧です。