小金井市の中町にある八重垣稲荷神社の参拝レポートです。
読み方は「やえがきいなりじんじゃ」です。境内にほとんど手を入れず、自然のままに野草が生い茂る神社としても知られています。氏子を持たない崇敬神社でもあります。武蔵境駅の南、東小金井寄りに位置しています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
武蔵小金井の「八重垣稲荷神社」へ
3月の上旬、この日は嫁の誕生日祝いも兼ねて、17時に阿佐ヶ谷にてちょっといいお店を予約しておりました。
また、昼に西武多摩川線沿いに用事がありましたので、その用事が済んでから17時までの間を、神社巡りに費やすことにしたんです。
選んだ場所は武蔵小金井。
事前にいくつか回る神社をピックアップしてはみたのですが、移動時間や参拝時間など読めない点も多いので、時間と相談しつつの神社巡りにします。
まずは駅の北側にある、山王稲穂神社と大松木之下稲荷神社に参拝します。で、その二か所を参拝し終えた時点で時間は14時過ぎ。
17時前に阿佐ヶ谷に行けばいいので、時間はまだまだあります。
というわけで、あと2か所ほど足を運び、また時間を見つつその後の予定を考えることにしました。その一か所目が、八重垣稲荷神社です。
事前にググってみたところ、八重垣稲荷神社は境内に野草が生い茂る神社とのこと。
通常どこの神社さまも、境内は綺麗に掃除されていて、野草は抜くなり刈るなりして手入れをされているかと思います。しかし八重垣稲荷神社は、どうやら故意に手を入れず、放置しているみたいなんですよ。
放置の度合いについては実際に訪れてみないとわかりませんけど、今までそのような神社に参拝したことはありませんので、新鮮で楽しみです。
むしろそのような神社でしたら、夏に行った方が醍醐味をより味わえるかと思うのですが…うちの嫁が虫が苦手なタイプでして、夏ですとおそらく拒否権を発動される可能性が大きい。
個人的には夏にこそ訪れたい神社なのですが、嫁との神社巡りを考えますと、今がまだ3月でよかったのかもしれません。
そんな八重垣稲荷神社は、武蔵小金井駅の南側。
小金井街道から農工大通りへと入り、東へと歩いて行きますと、左手に木々の茂る一角が見えてきました。
到着です。
ご由緒
ご祭神は、猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)、稲田姫神(いなだひめのかみ)、倉稲魂神(うかのみたまのかみ)の三柱です。
猿田彦大神は、天孫降臨の際に道案内をした神様で、道ひらきや旅の神様です。稲田姫神は、ヤマタノオロチの生贄にされるところを須佐之男命に助けられ、須佐之男命の妻となった女神で、櫛名田比売神(くしなだひめの神)と同一です。倉稲魂神は五穀豊穣の神様で、宇迦御魂神とも表記され、稲荷神とも同一です。
創建は江戸時代中期の元禄です。
宮司の渡辺氏の先祖が、伊勢の猿田彦神社、松江の八重垣神社、京都の伏見稲荷大社を参拝し、御分霊を勧請し、邸内社として創建したのが始まりです。享保の時代に社殿が建立されています。
平成11年には現在の地に社殿が建立されます。平成12年に鎮座祭が行われ、宗教法人として認証を受けています。
氏子を持たない崇敬神社です。
縁結びの御利益や、野草の生い茂る神社としても知られています。
境内案内
こちらが八重垣稲荷神社の入口です。
鳥居に向かって右手が駐車場になっています。その入口に咲いているのは寒緋桜。
右手の道路寄りには河津桜が綺麗に咲いています。
鳥居の手前には境内案内図です。けっこう広そうですね。
一礼して石鳥居をくぐり境内へ。
鳥居をくぐってすぐ、左後方に赤い鳥居。石が祀られています。
参道を進みます。右手の木の前にも赤い鳥居です。
境内のそこかしこには、手作りのお狐さん。
参道は長く、その先にあるであろう社殿の姿は見えません。右手は参集殿、左手が社務所です。
後ほど、こちらの社務所で御朱印を頂くことに。
右にはかっこいい獅子の載った灯籠です。
左、社務所のお隣が手水舎。ちょっと怖い神狐さんが二匹、こちらを見つめています。
参道に戻ります。二の鳥居の先は、両脇が竹林です。
境内を訪れる野鳥たちの案内も。
その先、左手には祠です。小さな干支の置物がたくさん収められています。鳥居の左右には大黒様と獅子。
反対、右手にはお稲荷さんが一社。案内図によると「二之社」です。
二の鳥居をくぐります。その先にようやく社殿が見えてきました。参道の敷石は、府中の大國魂神社で使われていたものを、譲り受けたものとのこと。
竹林の間を進みますと、正面に一本の木です。
木の手前、左右には狛犬さん。こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。
木の前へと進みます。木は榊の木で、こちらの神社が鎮座する以前よりあるものとのこと。松江の八重垣神社が縁結びの御利益があることから、それに因んで縁樹(えんぎ)と名付けられています。イザナギとイザナミの国生みの出逢いのように、男性は右回り、女性は左回りという道順の案内も。
しばし縁樹を見上げて過ごします。
男性の僕は右回りで左側の参道を進みます。嫁は反対の右側の参道を。
縁樹の左手はこんな感じです。小さな石祠と赤い鳥居が見えます。
赤い鳥居はお稲荷さん。
縁樹の後方は、池の名残でしょうか。石橋と亀の姿も。
こちらが社殿の正面です。本殿の前は覆殿のような社殿になっています。
左手には授与所と思われる建物。
右には梅と、その奥に赤い鳥居です。
社殿の前へと進み、参拝させて頂きます。
振り返りますと、こんな素敵な景色です。
右手のお稲荷さんにも参拝。こちらの神狐さんも、少し怖いお顔です。
社殿の周りとぐるっと歩けるようですので、右手から行ってみます。景色は完全に山の中。
横からは本殿の姿もしっかり見ることができます。
奥へと進みますと、本殿の裏手に「元社」と書かれた鳥居。
元社に参拝。八重垣稲荷神社は、当初はこの辺りに邸内社として鎮座していたそうです。
今度は社殿の反対側へと進みます。
歩いているだけで心地よく、癒されます。
再び社殿前へと戻り、男性の僕は今度は反対側から縁樹の参道を戻ります。こちら側には、古い絵馬などが収められた縁狐塚(えんぎづか)があります。
帰路の参道も素敵です。社務所にて御朱印を頂き、八重垣稲荷神社を後にしました。
参拝を終えて
八重垣稲荷神社、とってもよかったです。
山の中に迷い込んでしまったかのような、そんな感覚にもなる神社でした。東京とは思えない数々の景色を楽しむことができました。
境内は広く参道も長いです。竹林があったり、雑木林があったり、とにかく境内には木々と草花が多いです。で、その中に赤い鳥居が点在していたりするので、それだけで惹かれるものがあります。
とりわけて印象に残ったのは、縁樹という参道の中心にあった榊の木と、その後ろに赤い社殿が見える景色です。その絵は神秘的でして、いつまでもそこにいられそうでした。
左右を竹林に囲まれた参道も素敵でしたし、社殿の奥のエリアがまた凄かったです。ほんとに山の中でした。僕は生まれも育ちも長野の山奥でして、まるで故郷に戻ったかのような、懐かしい気持ちにもなってしまいました。
広い境内にて、参拝者は僕たち夫婦しかいないという状態でして、それもまた異世界感を強くしていたかと思います。
静寂に包まれていましたし、世界から隔離されたような感じでした。
これだけ草木の多い神社というのは、都内でも滅多にないのではないかと思います。僕が今まで参拝した神社にはなかったタイプです。
そしてきっと、季節によっての景色の違いも、相当大きいのではないかと。3月の上旬でしたので、寒緋桜や河津桜、梅などが咲いているのは見ることができたのですが、これからもっと緑が濃くなっていくのかと思うと、5月くらいにもまた来てみたくなるものです。暑い夏の景色や、紅葉した秋の景色も。
季節による違いはもちろんですけど、天気によってもかなり変わってくるかと思います。この日は曇り空でしたけど、そんなどんよりした空が、不思議と居心地よくなる境内だったんです。
晴れた日、雨の日、雪の日、それぞれに来てみたくなってしまいます。
いい神社に参拝することができました。
山の中の景色と静寂に癒されました。
社務所では御朱印を頂いた際に、嫁が手拭いを見つけまして、そちらも所望しましたので、購入。
境内のあちこちにいたお狐さんと同じイラストの手拭いです。
可愛い手拭いも手に入れましたし、御朱印も頂けましたし、気持ちのいい時間も過ごせましたし、大満足でございます。
駅からは少し距離がありましたが、来れてよかった。お勧めの神社です。
八重垣稲荷神社、参拝できてよかったです。
続いては、八重垣稲荷から南東に位置する、小金井神社へと向かいます。
御朱印
こちらが八重垣稲荷神社の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、10時から15時までになります。水曜日と木曜日(祝祭日は除く)はお休みとなっていますので、ご注意ください。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は東京都小金井市中町3-14-7です。
八重垣稲荷神社の公式サイトはありません。
電車
JR中央線「武蔵小金井駅」から徒歩10分。
南口に出て、駅を背にして左前方に延びている小金井街道を直進し、最初の信号を左折。しばらく歩いた左手です。
中央線の東小金井駅、西武多摩川線の新小金井駅からも、徒歩15分ほどです。
駐車場
参拝者用の駐車場があります。特別な日でなければ問題なく駐車できるかと思います。周辺にはコインパーキングもいくつかあります。
周辺のパワースポット
小金井市の神社一覧