秩父市にある秩父神社の参拝レポートです。
読み方は「ちちぶじんじゃ」です。秩父地方の総鎮守で、三峯神社、宝登山神社と並ぶ秩父三社の一社です。例祭の秩父夜祭も有名で、日本三大曳山祭の一つです。左甚五郎の作といわれる社殿の彫刻でも知られています。最寄り駅は秩父鉄道の秩父駅ですが、西部線の西武秩父駅からも徒歩圏内です。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
秩父の総鎮守「秩父神社」へ
この日は嫁と二人で訪れた、一泊二日での秩父旅行二日目。神社巡りを兼ねての温泉旅行に、冬真っ盛りの2月あたまに出掛けて来ました。車ではなく電車での秩父旅行です。
初日には秩父三社の一つに数えられている宝登山神社とその奥宮、和同開珎に縁のある聖神社と和銅遺跡、それらを周り、夕方には予約していた宿に到着しました。
天気予報は僕たちの旅行日前後は見事に晴れマークが続いていたのですが、ピンポイントで旅行の二日間だけ雪マーク。
その予報通り、前日のお昼には雪が降り始め、午後にはすっかり本格的な雪降りになっていました。お昼過ぎに訪れた聖神社や和銅遺跡は、完全な雪の中での参拝や観光となりました。
生憎の天気ではありましたが、雪が降る中での神社もまた素敵で、それはそれでいい思い出になりました。
宿では雪が降る景色を眺めながら露天風呂に入るという、これ以上ない贅沢をさせて頂きました。
そして二日目の翌日。
目覚めると外は完全な雪景色です。
こちらが、露天風呂から見えた景色です。
絶景です。
雪という天気に正直がっかりする気持ちもありはしたのですが、こんな綺麗な景色が見れるなら、雪でも大歓迎です。
僕たちが泊まったのは「御代の湯」という客室に露天風呂の付いている旅館でして、雪の絶景を眺めながらの部屋にある露天風呂は最高でした。
御代の湯は料理も美味しかったですし、お風呂も良かったですし、皆さんとても親切でしたし、お勧めです。
さて、綺麗な雪景色を拝めたのは嬉しいですけど、気になるのはその後のことです。
この日は秩父神社と今宮神社の二つの神社を回って帰路に就く予定だったのですが、果たしてこの雪で神社に行けるのか?と。
僕たちは車ではなく電車で秩父まで来ていますので、移動は電車とバスと徒歩です。
けっこう雪も積もっていますし、普通の運動靴で来てしまっていましたし、歩けるのか?と。
また、帰りの電車も気になります。雪の影響で運休なんかになったら帰れなくなりますからね。
とは言えやはり、行けるものならば予定通り二つの神社は回りたいです。
僕たち夫婦は8年前にも秩父に温泉旅行に訪れていまして、その時に秩父神社にも立ち寄っているんです。当時はまだ今のように神社に興味も持っていませんし、御朱印も頂いていませんでしたので、今回8年ぶりに参拝し、御朱印を頂きたかったんです。
そんな理由もありましたので、雪はかなり積もってはいましたが、できることなら参拝して帰りたいと。
秩父神社の雪の様子など不明ではありましたが、とにかく旅館を出発して行ってみることにしました。
旅館からは送迎バスが出ていまして、西部秩父駅もしくは秩父鉄道の秩父駅まで送ってくれます。秩父神社は秩父駅の近くでしたので、そちらまで送迎をお願いしてあとは徒歩で向かう予定だったのですが…。
運転席のすぐ後ろに座った僕たちは、運転手さんと自然と会話をする形になり、その流れでこれから秩父神社に行くこと話しましたところ、秩父神社の入口にて途中下車させてくださいました。
雪の中をそこそこ歩くことを覚悟していましたので、これはありがたい。
まさかの送迎にて、秩父神社までは無事到着することができました。
入口から真っ白になっている境内を見ますと、関係者の方々があちこちで雪かきをしてくださっているのが見えます。どうやらなんとか参拝はできそうです。
ご由緒
ご祭神は、八意思兼命 (やごころおもいかねのみこと)、知知夫彦命 (ちちぶひこのみこと) 、天之御中主神 (あめのみなかぬしのかみ)、秩父宮雍仁親王(ちちぶのみややすひとしんのう)の四柱です。
八意思兼命は日本神話の知恵を司る神様で、学問や工業の祖神です。知知夫彦命は秩父地方を開拓した国造です。天之御中主神は日本神話の神様で、天地開闢に関わった五柱の神様のうちの一柱です。秩父宮雍仁親王は昭和天皇の弟になります。
創建は紀元前の第十代崇神天皇の時代と伝えられています。知知夫国(ちちぶのくに)の初代国造に任命された知知夫彦命が、祖神である八意思兼命を祀ったのが始まりとされ、関東でも屈指の古社のひとつに数えられています。
地名の「知知夫」が「秩父」に変わった時期は明らかにはなっていませんが、その初見は飛鳥時代です。
平安時代になると、妙見菩薩を信仰する妙見信仰と集合し、長く秩父妙見宮と称されてきました。明治の神仏分離令により旧社名の秩父神社に戻されます。
現在の社殿は安土桃山時代に徳川家康が寄進したもので、埼玉県の有形文化財にも指定されています。
社殿と参道の南側延長線上には武甲山があり、元々は武甲山を遥拝する聖地であったとも考えられています。
明治17年に起こった、農民により政府に対しての武装蜂起事件である「秩父事件」では、農民組織が境内に集結したことでも知られています。
毎年12月3日に行われる例祭「秩父夜祭」は、京都の祇園祭、飛騨高山祭と共に日本三大曳山祭のひとつに数えられています。
また、同じく秩父にある三峯神社、宝登山神社とともに、秩父三社の一つにも数えられていて、はるか昔より知知夫国の総鎮守として厚く信仰されている神社です。
境内案内
こちらが秩父神社の正面の鳥居です。
鳥居の前には狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも強そうな狛犬さんです。
一礼して鳥居をくぐります。
神社の方々が雪かきをしてくださっていて、参道は問題なく歩けそうです。先には門が見えます。
左手に秩父神社のご由緒。
そのお隣に手水舎です。
手水舎の向こう側には灯籠や石碑が並んでいるのが見えます。
お清めをします。
手水舎の右奥、境内の左手にあたる場所には神楽殿が見えます。
参道を挟んで手水舎の向かいには石碑です。雪かきが終わっていないところは、運動靴では近づけず…。
石碑の先に神馬舎です。
参道を進みます。
門の手前、右手には平成殿という立派な建物がありました。一階が社務所で、二階には秩父宮両殿下の遺品を展示した記念室があるようです。
門の石段前には境内案内図です。一通り目を通します。
石段の上には神門です。一礼してくぐります。
神門の先に拝殿です。この日は2月1日だったため、参道にはおそらく節分行事の準備と思われるテントもありました。
左手にはいくつか境内社が並んでいるのが見えます。後ほど行ってみます。
右手には大きな木や川があり、ちょっとした日本庭園のようになっています。こちらも後ほど行ってみることに。
拝殿前に進みます。見事な彫刻が施されているのが、少し遠めからでもわかります。
近付き、雪が降る中で彫刻を見上げます。凄いです。
左右の柱には、麒麟でしょうか。迫力があります。
彫刻に見惚れつつも、まずは参拝。
向かって左には虎です。「子育ての虎」との説明が書かれていました。秩父神社は徳川家康によって再建されましたが、家康が寅年、寅の日、寅の刻生まれだったことに因み、彫られたものだそうです。母虎が豹ですが、虎の群れの中には必ず一匹の豹を描くという定法に基づいているそうです。
向かって右側にも同じく虎です。どちらも江戸時代の伝説的な彫刻職人、左甚五郎の作と伝えられているそうです。
境内を散策してみます。こちらは社殿を左斜め前から。左側にも鮮やかな彫刻が施されています。
社殿を一周できるようですので、左から回ってみます。
左には神饌所。神様にお供えする神饌を調理する場所だそうです。
そのお隣には、高松宮御手植えの銀杏と、秩父宮妃の歌碑です。
その先には、三笠宮御手植えの欅です。
こちらは拝殿の左側。鳳凰が彫られています。
社殿には奥の本殿まで彫刻が続いています。
左奥には境内社の豊受大神宮です。参拝します。
そして、豊受大神宮のちょうど向かいくらいに、「お元気三猿」と呼ばれる彫刻があります。写真ですと左下の辺りです。三猿と言えば日光東照宮ですが、こちらの三猿は表情もその名の通り明るいです。日光とは逆で「よく見て・よく聞いて・よく話す」として親しまれているとのこと。皆がいつまでも元気で笑顔の絶えることのない生活が出来るようお守りくださっている、とも言われているそうです。
社殿の後ろに出ます。後ろには境内社が並んでいました。清と静まり返っています。
こちらは全部で75の神様が祀られている天神地祇社です。参拝します。
この場所は空気が張り詰めていた感じがします。天神地祇社の左側を見るとこんな景色です。
こちらは右側。
そして、そこから振り返って社殿を見ますと、「北辰の梟」という彫刻を見ることができます。体は本殿を向き、頭は正反対の真北を向いていることから、昼夜を問わずご祭神をお守りしていると言われています。周囲にいるのは雉でしょうか。
天神地祇社の左右の突き当たりには額殿があり、様々な古いものが展示されていました。こちらは右の額殿にあった弓矢と天狗の面です。弓矢の額の彫刻も凄いです。
同じく右の額殿には御神輿もありました。
額殿と本殿の間には、天照大御神をお祀りしている皇大神宮です。参拝します。
本殿の右奥にあたる場所に、「つなぎの龍」と呼ばれる左甚五郎の彫刻です。近くにある天ヶ池に住みついていた龍が暴れた際には、必ずこの彫刻の下に水溜りができたことから、この龍を鎖でつなぎ止めたところ、天ヶ池にも龍が現れなくなったと言われています。龍には確かに鎖がついていますね。周囲の動物も素敵です。
社殿を一回りしますと、拝殿に向かって右手にあたる場所に授与所です。
授与所にて御朱印を頂きました。この日は僕たち夫婦しかいませんでしたが、「御朱印の依頼が多数につき、おおよそ30分お待ちいただいております」との案内も出ていました。土日など混雑時はそれくらい待つのかもしれません。
こちらは拝殿を右斜め前から。
拝殿を背にして神門を見ますと、こんな景色です。雪かきありがとうございます。
境内の右手、先ほど庭園が見えた場所に大きな木が見えましたので、そちらに向かってみます。
小さな川がありました。柞の禊川(ならのみそぎがわ)という川のようです。その先には御神木も見えます。
川の前には境内社が三つ。左から禍津日社、天満天神社、東照宮です。三つとも参拝します。
こちらは樹齢約400年の御神木の大銀杏です。
しばし大銀杏を見上げます。
今度は境内の左手に行ってみます。境内社の前に大きな石がありました。「神降石」という石です。
その奥には境外へと繋がる別の入口もありました。白虎門です。
神降石の後ろに境内社の柞稲荷神社です。
柞稲荷神社に参拝。お狐さんが雪をかぶって可愛かったのですが、前が見えないだろうと思い、雪を落としてあげました。
お隣が諏訪神社です。こちらにも参拝します。
その奥に日御碕宮です。参拝します。
日御碕宮の手前に、秩父宮妃殿下御手植えの銀杏です。「乳銀杏」として親しまれている銀杏とのこと。
お隣には秩父宮御手植えの銀杏です。奥には諏訪神社の御柱も立てられていました。
一通り境内を散策し、雪の秩父神社を後にしました。
参拝を終えて
8年振りに訪れた秩父神社。
完全な雪景色の中だったせいか、僕は初めて来たかのような感覚でした。懐かしいというよりは新鮮な感じがしてしまいました。
単に僕の記憶力が弱かっただけかもしれませんが。嫁の方が何かと8年前の参拝を記憶していたようです。僕もおぼろげには記憶にあったんですけどね。
今回は何といっても一面の雪です。15cmほどの積雪がありましたので、境内もそれは見事な雪景色になってるわけです。
それだけの積雪はあったものの、おそらく神社の方々が朝から総出で雪かきをしてくださっていて、参拝は問題なくできました。
積雪により参拝ができるのか不安でしたので、これには一安心です。
むしろ白一色に染まった秩父神社というのは、いつも見れるわけではありませんので、良いタイミングでの参拝ができたとい思っています。
雪の境内がとても綺麗だったことはもちろんですが、音がなく清としていて、とても静かでした。参拝者の姿も僕たち以外にはほとんど見掛けることもなく。
なんだか違う世界に迷い込んだかのような感覚にもなります。
おそらく雪がなければ、秩父の観光スポットとして多くの人で賑わってるかとは思うのですが、さすがに人は少ないです。深い積雪があり、まだ雪も降り続き、めっちゃ寒かったですからね。
ほとんど人がいない雪の境内を、ゆっくり時間を掛けて散策させて頂きました。
今回は雪という特別な景色でしたので、一番印象に残っているのもやはり「雪の秩父神社」全体にはなります。
それに次いで、社殿の彫刻に目を奪われました。
前日に訪れた宝登山神社の彫刻も素晴らしかったのですが、秩父神社のものも見事でした。
確か8年前に訪れた際にも、神社に特に興味がなかったにも関わらず「彫刻すごいね~」と嫁と話していた覚えはなんとなくあります。
江戸時代初期の伝説的な彫刻職人、左甚五郎の作と伝えられている、社殿の正面にある「子育ての虎」と、右側にある「つなぎの龍」。そして左甚五郎の作ではありませんが、左側には「お元気三猿」、後ろには「北辰の梟」です。
どれも色鮮やかで素晴らしかった。
前の項の境内案内でも紹介させて頂きましたが、それぞれの彫刻には意味があり、その意味を知ると余計に魅力的に見えてきます。
上に挙げた四つに留まらず、社殿の彫刻はどれも素晴らしく、印象的でした。周囲に彫られていた他の動物なんかも凄かったです。拝殿の梁の麒麟も迫力がありました。社殿を一周ぐるっと回って彫刻を見られるようになっていますので、訪れた際には是非じっくり見てみてください。
そして社殿の裏手、天神地祇社の場所は空気が最も張り詰めている感じがしました。単に雪で寒かっただけかもしれませんが…。
そのエリアは始終僕と嫁しか人の姿もなく、雪が深々と降る中、静寂に包まれていて何とも言えない空気だったんです。天神地祇社の両端には額殿と呼ばれる場所があり、大きな弓や古い絵などが飾られていました。どれもとても古いもののようで、いつの頃のものなのかな~と考えてみたり。
また、境内の左手には境内社に諏訪神社がありまして、四本の御柱が立てられていたのも嬉しかったです。僕は諏訪神社の総本社がある諏訪大社の近くで生まれ育ちまして、御柱にも馴染みがありましたので。こちらの諏訪神社でも、諏訪大社と同様に御柱を曳くそうです。
境内の右手には御神木である大銀杏があり、下には小川が流れています。雪の大銀杏と小川も素敵な景色になっていました。
深い雪の中での参拝になりましたが、静寂の中、特別な時間を過ごすことができました。
御朱印を頂くこともできましたし、もう大満足です。
良い参拝ができました。
秩父神社は例祭の「秩父夜祭」でも有名とのことですので、いつか見てみたいですね。次に秩父を訪れる際には、検討してみようと思います。
続いて僕たちは、同じく秩父にあり徒歩圏内である秩父今宮神社へと雪の中を向かいます。
御朱印
こちらが秩父神社の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印を頂ける時間は、8時半から17時までです。神門の開門時間は5時から20時まで(冬季は6時から)になります。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は埼玉県秩父市番場町1-3です。
秩父神社の公式サイトはこちらです。
http://www.chichibu-jinja.or.jp/
電車
①秩父鉄道 「秩父駅」から徒歩3分。
駅を背にして、大通りを左に真っ直ぐ歩くとすぐです。
②西武秩父線 「西武秩父駅」から徒歩15分。
秩父鉄道の秩父駅に向かい15分ほど歩いて行きますと、左側になります。
駐車場
30台ほど停められる参拝者用の無料駐車場があります。近くにはコインパーキングもあります。
周辺のパワースポット
秩父市の神社一覧
僕が参拝した秩父市の神社一覧です。