国立市にある谷保天満宮の参拝レポートです。
読み方は「やぼてんまんぐう」です。「やほてんまんぐう」と称されることが多いのですが、正式には「やぼ」と読みます。東日本最古の天満宮であり、湯島天神、亀戸天神とならび関東三天神と称されている神社です。「野暮天」や「野暮」という言葉の元ともいわれています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
関東三大天神の一つ「谷保天満宮」へ
訪れたのは4月の前半です。既に気温は20度以上という、暖かく天気の良い休日に参拝しました。
この日は嫁と映画でも見に行こうかと話していたんです。ピクサーの『リメンバー・ミー』が公開されたばかりで、僕も嫁も気になっていましたので、観に行ってみようかと。
で、字幕か吹き替えかなどの条件と時間で、立川の映画館に行くことにしました。
さらにはせっかくなので、どこか一ヶ所くらい神社にも立ち寄ってみようということになり、谷保天満宮の名前が挙がりました。谷保天満宮は立川から南武線で3駅の谷保駅近くにあり、以前から気になっていた神社なんです。
僕は昨年、文京区にある「湯島天神(湯島天満宮)」と、亀戸にある「亀戸天神社」の二つの天神さまに参拝しています。その後こちらのブログにて記事を書く際に学んだのですが、湯島天神と亀戸天神は、ともに「関東三大天神」に数えられている天神さまなんです。
そんな三大天神の残りの一つが、「谷保天満宮」だったんです。
三大天神のうちの二ヶ所に参拝しているということは、自然と残り一つにも行ってみたくなるものです。
ですので今回の立川行きというのは、絶好の機会。
谷保天満宮への参拝を終えれば、関東三大天神を制覇することになりますからね。
ちなみにですが、関東三大天神に対して「江戸三大天神」というもあるようで、そちらは湯島天神と亀戸天神は同じなのですが、もう一つが谷保天満宮ではなく、永田町の方にある「平河天満宮」とのこと。これは、谷保天満宮が江戸から距離が離れているため、とも言われているそうです。
谷保天満宮にて関東三大天神を制覇したら、次は平河天満宮にて江戸三大天神の制覇をせねば。
そんなわけで谷保天満宮への参拝を決めた僕たちは、参拝後に立川で映画を観て帰るという計画で、午前中から出掛けることに。
今年(2018年)は気温が上がるのが早く、桜も例年より一週間ほど早く満開になりました。この日も4月のあたまだというのに、もう初夏のような気候です。一応パーカーは羽織って来たのですが、すぐに暑くて脱いでしまいました。
Tシャツ一枚で初めての谷保駅に降り立ちますと、改札には大きく天満宮への案内が出ています。
外へ出るとそこには満開の桜が二本。
満開の桜を楽しみつつ、なぜか地図も確認せずに、勘で谷保天満宮を目指します。
そのまま細い路地を5分ほど進みますと、目の前に甲州街道が走り、交差点の先に谷保天満宮の鳥居が見えました。
無事到着です。
ご由緒
ご祭神は、学問の神様である菅原道真公(すがわらみちざねこう)と、その三男である菅原道武公(すがわらみちたけこう)です。
創建は平安時代の前期の延喜3年です。道真公が太宰府に左遷させられた際、道真公の三男である道武は、武蔵国の現在の国立市谷保に配流させられました。その後、父道真が薨去したという知らせを聞いた道武は、自ら父の像を彫り、廟を建てて、現在の府中市本宿にあたる天神島に祀ったのが始まりとされています。その後道武が薨去すると、道武も相殿に合祀されました。(一説には道真の子息に道武という人物はいなかったとされていますが、その真偽は不明です。)
それから約三十年後に、京都の北野天満宮を造営の折に、谷保天満宮も神殿が造営されました。
平安時代の後期に、現在の地に遷座されています。
東日本最古の天満宮であり、湯島天神、亀戸天神とならび関東三天神と称されている神社です。
明治には日本初のドライブツアーが、有栖川宮威仁親王を先頭に、谷保天満宮を目的地として行われたことから、交通安全発祥の地ともされています。
また、飢饉などで財政が乏しかった折に、目白の地で10月に御神体を公開しお賽銭を集めていたところ、狂歌師の大田蜀山人(南畝)が、「神ならば 出雲の国に行くべきに 目白で開帳 やぼのてんじん」(神様ならば神無月は出雲へ行くのに、谷保の天神は目白でご開帳なんてしている)と詠んだころから、「野暮天」や「野暮」という言葉が発したとも言われています。
境内には梅林があり、梅の名所としても知られています。
関東三大天神の一つとして、多くの受験生が合格祈願にも訪れ、古くから厚く信仰されている神社です。
境内案内
南武線の谷保駅の改札には、ばっちりと天満宮への案内が出ています。
駅から歩くこと5分ほど。交差点の先に谷保天満宮の鳥居が見えてきました。横に走る道路は甲州街道です。
交差点を渡り鳥居の前へ。境内は緑が多く広そうです。
左手は大きな駐車場になっていて、その先にあるのは参集殿です。
鳥居の手前には狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも比較的新しいものに見えます。
右手には「交通安全祈願発祥の地」と書かれた看板があり、その後ろは鎮守の森である社叢(しゃそう)が広がっています。
一礼して鳥居をくぐり境内へ。
参道を進みます。両脇は緑が多くて気持ちいいです。
谷保天満宮のご由緒や、社叢についての説明もありました。
参道を進むと二つ目の鳥居があり、その手前にも狛犬さんがいます。
こちらが二対目の左右の狛犬さんです。どちらも迫力のある顔立ちをしています。
右手に境内社の赤い鳥居がありました。鳥居には「淡島社」「蒼守社」「稲荷社」と書かれています。そちらには後ほど行ってみることに。
そして、鶏さんが歩いていました。けっこうでかいです。よく見るとその後方にもたくさんの鶏さんがいました。
左手の先は梅林になっているようです。梅林の方へは後ほど行ってみることにして、まずは二つ目の鳥居をくぐります。
鳥居の先には手水舎。
お清めをします。手水鉢には龍がいました。
その先、参道は石段を下る形になっています。
石段の途中には大きな木も茂っていて、緑が綺麗です。
石段を下まで下りますと、参道はその先で右に折れています。
左手は開けていて、神楽殿もありました。神楽殿の左手を上がって行きますと、梅林に行けるようです。
そして右手には、なんとも可愛い牛さんが。説明には「座牛」と書かれていて、道真公が亡くなり、悲しみのために動かなくなった牛さんとのことです。そう読んでしまいますと、なんだかその姿も余計に愛おしく見えてしまいます。撫でさせて頂きました。
座牛さんが可愛かったので、正面からもアップで。
参道を右に折れた先に、拝殿が姿を現します。大きな木も聳えています。
右手には慰霊碑がありました。近くまで行き手を合わせます。
左手には大きな宝物殿。一階は社務所にもなっているようです。
参道を進みます。牛さんがもう一頭、その後ろには三対目の狛犬さんも見えます。
参道の脇の大きな銀杏も凄いです。
こちらが二頭目の牛さんです。撫でさせて頂きました。牛って可愛いですね。
そしてこちらが拝殿前、左の狛犬さんです。苔むしていて、おそらく三対の狛犬さんの中では一番古いものと思われます。子供も可愛いです。
こちらが右の狛犬さん。こちらにも子供がいて、甘えるような態勢になっていて可愛らしいです。後ろにはたくさんの絵馬が並んでいるのも見えます。
拝殿へと進みます。
拝殿の左にある楠も大きくて存在感があります。
拝殿には彫刻がいくつもの施されているのが見えます。
鳳凰、麒麟、龍などどれも見事な彫刻です。
春の暖かい空気の中、参拝。
境内を散策してみます。拝殿を左斜め前から。素敵な社殿です。
社殿はぐるっと一周できるようになっているようなので、左から奥へ進んでみます。
途中、クスノキを見上げます。大きくて圧倒されます。
奥には鳥居もあり、社殿の裏は山のようになっています。
右には本殿も見えました。
左には、国産初のガソリン自動車「タクリー号」の停車場BOXです。
奥の鳥居をくぐりますと、その先に弁天池があり、厳島神社がありました。
弁天池には鯉や亀がたくさんいました。厳島神社にも参拝します。
池の右手はあじさい園のようです。紫陽花の季節にも来てみたくなりますね。
再び境内に戻り、本殿の裏手の山に登れるようですので、ちょっと行ってみます。
山の上はこんな感じで意外と開けていました。ここを右手の方に進むと、入口からすぐの参道脇にあった稲荷社などの境内社に繋がっていました。
いったん来た道を戻り、再び本殿の裏へ。そこには五社の境内社が祀られていました。左から「天照皇大神宮」「熊野神社」「日吉神社」「妙義神社」「稲荷神社」です。参拝します。
社殿を一周回ります。
拝殿前に出る手前、拝殿の右側にあたる場所に、大きな「必勝」がありました。
社務所にて御朱印を頂きます。
「日本一キレイでかわいい」という御朱印帳もありました。カラフルですね。
宝物殿の脇に「飛梅」です。道真公を追いかけて飛んできたとされる梅です。奥には大きな石碑が並んでいるのも見えます。
拝殿を背にしますと、こんな景色です。正面に見えるのが神楽殿です。
神楽殿の手前には筆塚と、書道展の記念碑。鶏さんもいます。
そこから梅林に向かうと、途中には鶏さんの群れ。
石段を上がると、右手が梅林になっていました。広いです。一面に梅が咲いているの景色も見てみたいですね。
左手には境内社が一つ。どんな神様が祀られているのかわからなかったのですが、参拝します。
梅林を一周してみます。梅林には石碑がたくさんありました。画像左の中央は作家の山口瞳の文学碑、左下は有栖川の宮碑です。
黒い鶏が、なぜかうちの嫁の後をついて歩いていました。
一通り梅林を散策した後、参道の手水舎の前に戻り、まだ参拝していなかった境内社に向かいます。この森の先が、本殿の裏まで繋がっています。
参拝します。祠の前には小さくて可愛らしいお狐さんもいました。
帰路に就くため、入口の鳥居へ。
一礼して鳥居をくぐり境外へ出て、そのまま駅に向かおうとしたのですが…駐車場の先にも鳥居と祠があるのを見つけましたので、行ってみます。その前には大きな木も。
祠は境内社の第六天神社でした。見逃さずに参拝できてよかったです。これにて一通りの参拝を終え、谷保天満宮を後にしました。
参拝を終えて
初夏の陽気の中、初めて訪れた谷保天満宮。
とても素敵な神社で、気持ち良い参拝ができました。
訪れるまで僕はてっきり「やほてんまんぐう」だと思っていたのですが、「やぼてんまんぐう」が正しいんですね。なんでも、旧南部鉄道が駅を作る際に、「やぼ」が「野暮」に聞こえるのを嫌がり「やほ」と名付けたため、それが定着してしまったそうです。
谷保天満宮は、そんな谷保駅から徒歩ですぐでした。甲州街道沿いに入口があり、石段を下って社殿に向かう形です。昔は甲州街道が社殿よりも下にあり、境内の南を通っていたのですが、多摩川の流路が変わるにつれて変遷していったそうです。江戸時代にはほぼ現在と同じ形になっていたとのこと。多摩川の流れとともに境内の景色も移り変わっていったんですね。
境内に入るとすぐ、参道の右手の方には社叢が広がっていて、森の中の空気になります。それだけで気持ち良いです。
さらにはそんな中を、大きな鶏があちこち歩いてるのでびっくりです。
正式には軍鶏(しゃも)とチャボが掛け合わされた鶏のようですが、何羽もの鶏が思い思いに歩いてるんですよ。ときには単独で、ときには群れになって。
いたるところで、素晴らしく通る声での「コケコッコー」も響きます。
境内でこれだけ多くの鶏が放し飼いにされているのは、僕はここで初めて見ました。ついついテンションも上がってしまいました。
鶏たちが可愛くて、見ているだけで楽しくなります。
そして石段を下りた先には、これまた可愛い牛さんがいるんです。
座牛と呼ばれている牛で、道真公が亡くなり動かなくなった牛さんというストーリーがあるようで、それを知ると悲しい気持ちにはなるのですが…見た目はやっぱり可愛いです。
牛というよりは熊のようにも見え、全体的なフォルムも可愛いのですが、さらには顔を正面から見ると、もうたまりません。嫁と二人で何枚も記念写真を撮ってしまいました。
おっさんが可愛い可愛い連呼してしまってすみません。
また、拝殿に近いところにも牛さんがもう一頭いまして、そちらは可愛くもあり、かっこよくもある牛さんでした。
どちらの牛も思う存分撫でさせて頂きました。
入口から拝殿までは、狛犬さんも全部で三対います。
牛が二頭と狛犬さんが三対、さらにはたくさんの鶏。谷保天満宮は動物がたくさんですね。社殿の後ろ、厳島神社の池には鯉も亀もたくさんいました。
それに対しこの日は平日だったためか、参拝者の数は少なく、ちらほらと見掛ける程度です。
ゆっくりのんびりと、時間を掛けて参拝させて頂きました。
歴史を感じる社殿の古い建物や、施された彫刻も素敵でした。初夏の陽射しに映えていました。大きな銀杏や楠も。
社殿の裏手にはあじさい園、入口からの参道左手には梅林もあります。どちらも満開の季節には、きっと一面に花の広がる綺麗な景色が見られるはずですので、それぞれの時期にまた来てみたくなります。
今回、谷保天満宮を参拝したことにより、僕は関東三大天神を全て制覇したことになります。こうなると続いては、江戸三大天神のまだ訪れたことがない「平河天満宮」にも行ってみたくなっちゃうんですけどね。
まずは谷保天満宮、参拝できて良かったです。
この後僕たちは予定通り立川に移動し、昼食後に映画館で『リメンバー・ミー』を楽しみました。映画館で寝てしまうのではないかとい不安だったのですが、とてもいい映画で、最後まで寝ることなく観れました。
神社へのお参りと映画館、どちらも存分に満喫し、良い休日を過ごすことができました。
御朱印
こちらが谷保天満宮の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から16時50分までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は東京都国立市谷保5209です。
谷保天満宮の公式サイトはこちらです。
http://www.yabotenmangu.or.jp/
電車
①JR南部線 「谷保駅」から徒歩4~5分。
改札を出て左です。駅の階段を下り、左に進むと甲州街道との交差点に突き当たり、そこが入口です。
②JR中央線 「国立駅」からバスで10分。
府中行き(谷保経由)に乗り、「谷保天神」にて下車すると目の前です。
③京王線 「府中駅」または「聖蹟桜ヶ丘駅」からバスで10分。
国立駅行き(谷保経由)に乗り、「谷保天神」にて下車すると目の前です。
駐車場
境内に30台ほど駐車できる、参拝者用の駐車場があります。
周辺のパワースポット
国立市の神社一覧