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産安社(青梅市/御岳山)の御朱印と見どころ

御岳山にある産安社の紹介

青梅市御岳山にある産安社の参拝レポートです。

読み方は「うぶやすしゃ」です。御岳山山頂にある武蔵御嶽神社の摂社で、三人の女神をお祀りしています。境内には、子授け桧・夫婦杉・安産杉の御神木が聳え、古くから安産や子育てにご利益があるとして信仰されてきた神社です。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

御岳山の「産安社」へ

10月の下旬、雲ひとつない快晴の天気の中、御岳山に登って参りました。

御岳山の山頂には武蔵御嶽神社があり、そちらへの参拝が主な目的です。

武蔵御嶽神社は、狛犬ではなく狛狼がいることでも知られていて、ずっと行きたかった神社です。しかしながら、場所が少々行きづらいところでして、東京都内ではありますが、奥多摩寄りのかなり山奥です。がっつり時間を取らないとなかなかいけない場所なんです。

少し前から計画を練り、天気予報とも相談の上、10月下旬についに決行するに至りました。

僕と嫁、そして嫁の妹という三人での決行です。

朝イチで自宅を出発し、電車やバスやケーブルカーを乗り継ぎ、さらには坂道や石段を30分ほど歩き、ようやく武蔵御嶽神社に到着し、参拝。

じっくり境内を見て回ったりしていますと、あっという間に時間はお昼です。で、おなかが空いたので、参道にあった食堂で昼食。

問題はここからです。

武蔵御嶽神社には、男具那社(おぐなしゃ)と産安社(うぶやすしゃ)という二つの摂社があります。

こちら、御岳山の地図で、武蔵御嶽神社の左、奥の院にあるのが男具那社で、右の富士峰園地にあるのが産安社です。男具那社のさらに上には武蔵御嶽神社の奥宮もあります。

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せっかくのここまでやって来ましたので、できれば二つの摂社にはどちらも参拝しておきたい。

それに僕たちは、武蔵御嶽神社の授与所にて産安社の御朱印も頂けるとのことでしたので、産安社に参拝前ではありましたが、そちらも頂いてしまっていたんです。

本来は参拝が先ですので既に順番は逆ですが、産安社の御朱印だけ頂いて参拝しないというのも、なんだかとても失礼な気がしてしまいます。

また、奥の院の方も、画像など見ますと、完全の山の中にある神社で、強く心惹かれるものがあります。

やはりどちらも行っておきたい。奥宮にも参拝しておきたい。

しかしです。

奥の院にある男具那社と奥宮の方が、どうやらかなり険しい道のりでして、鎖場なんかもあるみたいです。で、所要時間も武蔵御嶽神社から片道で45分ほど掛かると。

つまり、単純計算で往復90分です。

もう一つ、産安社の方は、ケーブルカーの御岳山駅近くにリフト乗り場がありまして、そのリフトに乗ればすぐ近くまで行ける模様。

こちらのリフトです。

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ところがどっこい。

御岳山駅に降りた際にこのリフトを確認したのですが、なんとこの時期は土日しか営業していないと書かれていまして、平日だったこの日は動いてませんでした…。

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そうなると、産安社にも徒歩で向かうしかありません。ルートもちょっと曖昧ですし、時間もどれくらい掛かるのかもはっきりとはわかりません。

季節は10月下旬でしたので、陽が沈むのもそこそこ早いです。おちおちしていると暗くなってしまいます。

それらを考えつつ、僕たちはとりあえず、奥の院に向かう道の途中にある「天狗の腰掛け杉」まで行ってみることにしました。

地図を確認し、てくてくと歩き始めますと、10分ほどで天狗の腰掛け杉に到着です。左の大木が腰掛け杉で、右に見える鳥居は奥の院への入口です。

御岳山の天狗の腰掛け杉

この腰掛け杉が素晴らしかったです。大木をしばし眺めた後、鳥居をくぐり奥の院への道を少し進んでみます。

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そして、引き返します。

思ったより険しい道でした。これを45分というのは、それなりに大変な道のりを覚悟する必要がありそうです。

是非とも奥の院まで行ってみたかったのですが、今回は御朱印を頂いている産安社を優先させることにしました。

奥の院には、どこかで必ずや日を作り、改めて参拝しようと思います。険しい山道を歩かねば辿り着けない場所ではありますが、その存在にはとっても心を惹かれてしまいました。できれば朝のうちから登ってみたいです。

そんな流れで、産安社を目指すことになりました。

リフトが使えないとのことで、地図を改めてよ~く見てみますと、どうやら「御岳山ビジターセンター」というところの脇から、産安社へと続く道が延びているようです。

元来た坂道を下り、御岳山ビジターセンターへ。

そこから産安社へと向かいます。

 

ご由緒

産安社は武蔵御嶽神社の摂社で、御岳山から少し離れた富士峰園地に鎮座しています。

ご祭神は、木花開耶毘売命(このはなさくやひめのみこと)石長比売命(いわながひめのみこと)大帯姫命(おおたらしひめのみこと)の三女神です。

木花開耶毘売命は日本神話の女神で、天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の妻です。富士山を神体山とする富士浅間神社のご祭神でもあります。石長比売命も日本神話の女神で、木花開耶毘売命の姉であり、不老長生の神としても信仰されています。大帯姫命は、応神天皇の母親である神功皇后(じんぐうこうごう)と同一です。

創建は鎌倉時代の初期です。詳しい経緯などは不明ですが、源頼朝による創建と伝えられています。

江戸時代には富士浅間社と称されていて、鎮座する山も浅間山と呼ばれていました。かつては山全体に山桜の咲く、千本桜の名所として知られていたそうです。

本殿は元々、江戸時代後期に大口真神社の社殿として造営されましたが、昭和12年に産安社本殿として現在地に移築されました。

境内には、子授け桧・夫婦杉・安産杉の三つの御神木が聳えています。

古くから、安産、子育て、長寿、夫婦和合にご利益があるとして、厚く信仰されている神社です。

 

境内案内

ビジターセンターの前に、富士峰園地方面の案内がありましたので、そちらの坂を登って行きます。

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完全な山道です。僕たちの他に歩く人の姿はなく、少々不安になってきます。

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そして、坂もそこそこ急な登り坂です。

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急な坂を登り切りますと、比較的平坦で歩きやすい道になります。

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ところどころに大きな木が聳えています。

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少し進んだ先に、さらに山の上へと登る階段が現れます。「出入口」と書かれていたのですが、何の出入口なのかわからず…。産安社の入口ではないと判断し、僕たちは素通りしてしまいます。しかし後からわかったのですが、こちらも産安社へと繋がる階段でした。

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さらに先へと歩きます。

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少し進みますと、左手に再び石段が現れ、同じく「出入口」の看板がありました。またもや素通りしようとしたところ、石段の上に社殿らしき建物があるのを嫁が発見します。

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石段を上がってみますと、そこにはまぎれもない社殿の姿が。手前には「産安社」と書かれた看板もありました。ビジターセンターからは10分ほどだったかと思います。無事、産安社に到着です。思ったより早く着きました。

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社殿の左手には大きな御神木が並んでいるのが見えます。そちらは後ほどじっくり見に行ってみます。

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社殿の正面に立ちます。社殿は切妻造(きりづまづくり)と呼ばれる造りのようです。

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社殿へと歩を進め、山の静かな空気の中、参拝します。

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社殿の前には、札に願いを書きそれを掛け、一部を自分でお守りとして持ち帰るという、珍しい形式の「願い小札」がありました。

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右には産安社のご由緒です。

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周辺を散策してみます。社殿を振り返りますと、こんな景色です。

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社殿の右手はこんな感じで、少し広くなっています。

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社殿の左手へ。こちらには三つの御神木があります。まず一番手前にあるのが「安産杉」です。幹や根を軽くさすると、長寿、安産、子供の健やかな成長にご利益があるとのことで、さすらせて頂きます。

産安社の安産杉

 

安産杉を見上げます。でかいです。力強く根を張る姿は長寿を、開かれた幹は安産を、分かれて延びる枝は子孫繁栄を表しているそうです。

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安産杉の奥にあるのが「子授け桧」です。二股の根本と、そこに突き刺さる幹は、男女和合を表しているとのこと。確かにそう見えますね。

産安社の子授け桧

 

子授け桧にはコブがあり、このコブをさすると子宝にご利益があるとのこと。「コブを触ってね」としっかり書かれていました。

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子授け桧を見上げます。でかいです。

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境内は三つの御神木だけではなく、他にも大きな木が聳えています。

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そして三つめ、一番左手にあるのが「夫婦杉」です。奥が女杉、手前が男杉で、二本が繋がり仲睦まじく立っている姿から、夫婦杉と呼ばれているそうです。

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夫婦二人で手を繋ぎながら木の間を通ると円満になるとのことで、嫁と通ります。

産安社の夫婦杉

 

夫婦杉も見上げてみます。その大きさに圧倒されます。

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境内は完全に山の中です。僕たち以外には人の気配もなく、とても静かです。

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こちらは夫婦杉の前から見た社殿です。

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無事参拝も終え、三つの御神木にも出会えましたので、帰路に就くことに。社殿の左手の方にも道が延びていましたので、そちらから帰ってみることにします。少し歩きますと、目の前には二本の大きな檜です。そのまんまですが、「二本檜」と名前が付いているようです。

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二本檜を見上げます。産安社には名木がたくさんありますね。

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二本檜の先には休憩所がありました。休憩せずに進みます。

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その先が下り坂になっていまして、そのまま進むと、行きに僕たちが素通りした「出入口」に出ました。無事に帰れそうで一安心です。このあと再びビジターセンターまで戻り、御岳山駅へと向かいました。

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参拝を終えて

当初はリフトに乗ってラクラクと行く予定だった産安社。

しかしながら、まさかのリフトが土日しか動いていないという事態に、歩きで登らざるを得なくなったわけですが、そんなに大変な道のりではなかったです。

後から調べたところ、御岳山駅からもリフトを使わなくても、徒歩で10分ほどで行けたみたいです。帰り道も僕たちは再びビジターセンターに戻ったのですが、戻らなくてもよかったぽいです。

ビジターセンターからも意外と近く10分ほどで到着しました。最初だけじゃっかん急な上り坂でしたが、途中からは比較的緩やかな道のりでした。

その道のりに比べて、僕たちが途中で引き返した奥の院へと続く方の道は、なかなかの険しさです。片道で約45分掛かる険しい山道を行かねばいかんとのことで、それ故に、なおさら心惹かれるものがあります。

途中には天狗の腰掛け杉という大きな杉があり、そこまでなら比較的ラクに行けます。その先がめっちゃ険しいんです。

今回は残念ながら奥の院へは行けませんでしたので、必ずやまた機会を作って行こうと思っています。

もし今回、強行で奥の院に向かっていたら、時間的に産安社には行けなかったかもしれません。産安社はとても素敵な場所でしたので、そちらに参拝できたことを、何よりも良しとしようと思います。

産安社の一番の見どころは、やっぱり三つの御神木だと思います。

三つとも社殿に向かい左手にあり、それぞれがけっこう近い場所に聳えています。

安産杉、子授け桧、夫婦杉、三つともに違った魅力がありまして、どの御神木も時間を掛けて眺めさせて頂きました。

子授け桧のコブを撫でたり、夫婦で手を繋ぎ夫婦杉の間を通ったり、そうするとご利益があると書かれていましたので、それらも迷わず実行させて頂きました。

大きな木って、不思議とずっと見ていても飽きないものでして、僕たちもかなり長い時間、木の周囲を歩いたり、見上げたりして過ごしました。

その間、他の参拝者の姿はなく、恐れ多くも贅沢な空間を独占させて頂きました。

おそらくリフトが動いていませんでしたので、産安社まで徒歩で足を延ばす人はかなり少ないのではないかと思われます。

その場を独占させて頂くことが申し訳なく感じてしまうくらい、産安社の境内は素敵な場所でした。

社殿の周りには、三つの御神木の他にも大きな木が何本も聳えています。少し離れたところには、「二本桧」と書かれた二本の桧がありまして、そちらも大きな存在感がありました。

鳥居がありませんでしたので、どこまでが産安社の境内なのかわからなかったのですが、この辺り一帯が神聖な場所なのではないかと思います。

武蔵御嶽神社を訪れる際には、是非こちらの産安社にも足を延ばしてみてください。御神木も素晴らしいですし、お勧めの場所です。

リフトが動いていれば、リフトを降りてすぐです。動いていなくても、御岳山駅、ビジターセンターからそれぞれ徒歩10分ほどで行けますので、比較的ラクに行けるかと思います。

産安社への参拝を終えた僕たちは、御岳山駅まで戻り、ケーブルカーにて下山し、御岳山を後にしました。

初めて訪れた御岳山は、とても素敵な場所で、神社はもちろん、登山や山の澄んだ空気も満喫できる場所でした。

とてもいい休日を過ごすことができました。

今回は、奥の院に行けなかったことが唯一の心残りですので、是非また足を延ばしてみようと思います。

 

御朱印

こちらが産安社の御朱印です。

産安社の御朱印

 

御朱印の受付時間

御産安社の御朱印は、武蔵御嶽神社の授与所で頂くことができます。朱印と御守りを頂ける時間は、8時半から16時半までです。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は東京都青梅市御岳山17です。

産安社の公式サイトはこちらです。武蔵御嶽神社のサイト内です。
http://musashimitakejinja.jp/yashiro/ubuyasu/

 

電車

御岳登山鉄道(ケーブルカー)「御岳山駅」からリフトで2~3分、降りてから徒歩2~3分です。リフトは片道100円、往復で190円になります。

リフトが運休している場合には、御岳山駅から徒歩10分、御岳ビジターセンターからも徒歩10分です。

 

駐車場

御岳登山鉄道(ケーブルカー)の「滝本駅」の近くに二ヶ所、有料の駐車場がありますので、そちらに駐車してケーブルカーで移動する形になります。その他、JR御嶽駅の近くにも駐車場があります。

 

周辺のパワースポット

 

青梅市の神社一覧

僕が参拝した青梅市の神社一覧です。