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東霧島神社(都城市)の御朱印と見どころ

東霧島神社の紹介

宮崎県の都城市にある東霧島神社の参拝レポートです。

読み方は「つまきりしまじんじゃ」です。霧島六社権現の一社で、紀元前に創建と伝わる古社です。鬼が一夜にして石を積み上げて造ったという鬼磐階段や、十握の剣で切られた神石、樹齢千年といわれる大クスなどでも知られています。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

霧島六社権現の一社「東霧島神社」へ

嫁と二人、鹿児島旅行の三日目です。

前日の二日目には、この旅の最大の目的であった高千穂峰への登山を無事に終えましたので、三日目は丸々霧島の神社巡りに費やす予定。

生憎この日の天気は雨。どうやら降ったり止んだりのようですが、こればかりは仕方ありません。雨ならではの神社を楽しむことにします。

前日から霧島温泉郷に宿泊していましたので、そこからの出発です。

まず向かいましたのが、こちらの記事で紹介します東霧島神社。

霧島には六社権現と呼ばれる神社がありまして、東霧島神社はその一社です。

ちなみに前日の高千穂峰登山の後にも、六社権現の一社に参拝しておりまして、そちらは霧島東神社です。

もう一度書きますと…

前日に参拝したのが霧島東神社(きりしまひがしじんじゃ)。
これから向かうのが東霧島神社(つまきりしまじんじゃ)。

ややこしいです。僕も最初は少々混乱しました。嫁は僕よりも長いこと混乱していました。

しかし一度ちゃんと把握してしまえば、しっかりと頭には入るもの。読み方も違いますからね。

どちらも宮崎県にはなりますが、霧島東神社は高千穂峰の山腹でして、東霧島神社はさらに東に位置しています。

霧島温泉郷から東霧島神社は、車で1時間近く掛かるようで、けっこう遠いです。

僕たちは3日目も同じく霧島温泉郷に宿泊予定でしたので、また戻って来なければいけません。全部で5社を回る予定でしたので、遠いところから先に参拝し、少しずつ戻ってくるような形にします。

東霧島神社は、鬼磐階段(おにいわかいだん)や、伊弉諾尊が剣で切ったという神石など、楽しみなものがあれこれある神社。

小雨の降る中、宿を出発し、向かいます。

そして走ること50分ほど。道に迷くこともなく、無事到着です。

 

ご由緒

ご祭神は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)です。妻である伊弉冊尊(いざなみのみこと)とともに、多くの国を生み、神を生んだ神様です。

相殿には、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)、神日本磐余彦尊(かむやまといわれびこのみこと)の六柱がお祀りされてます。地神五代と神武天皇です。

創建は紀元前の、第五代孝昭天皇の御世と伝えられています。

その後、噴火などにより荒廃してしまいますが、平安時代前期の応和3年に、天台宗の僧である性空上人(しょうくうしょうにん)により再興されます。

一説には、現在の霧島神宮が鎌倉時代の文暦元年の噴火で焼失後、東霧島神社の地に遷され、室町時代に島津忠昌がそちらを「東社」とし、霧島神宮を「西社」にして二社に分けたともいわれています。

江戸時代には東霧島大権現宮と称され信仰を集めました。

参道の石段は鬼磐階段(おにいわかいだん)と呼ばれ、鬼が一夜にして999個の石を積み上げて造ったといわれています。願い事を唱えながら振り向かずに上り切ると願いが叶うといわれ、「振り向かずの坂」とも呼ばれています。石段の入口には樹齢千年ともいわれる大クスが聳えています。

ご祭神である伊弉諾尊が、妻である伊弉冊尊の死を悲しみ、その涙が固まったという「神石」もあります。神石は伊弉諾尊により、十握の剣(とつかのつるぎ)で切られています。

宮崎県の有形文化財に指定されている梵鐘や、安産にご利益があるという故有谷の乳水(ゆやたにのちちみず)など、多くの見どころや伝承のある神社です。

霧島六社権現の一社です。

 

境内案内

こちらが東霧島神社の入口です。大きな赤い両部鳥居。神紋は橘です。

 

一礼して鳥居をくぐり参道を進みます。左右が大きな駐車場になっています。

 

参道は突き当り、右に折れています。その先には授与所。

 

後ほどこちらで御朱印を頂きます。

 

歩を進めますと、前方は森のようになっています。大木が聳えているのも見えます。

 

右手に「厄割石」です。授与所で「厄割玉」を購入して、この石にぶつけるとのこと。後でやってみようかと。

 

進みます。大木の手前には橋が架かっています。左右には狛犬さんの姿も。

 

左手に「神石」の案内が出ていましたので、そちらも後ほど行ってみます。赤い鳥居の先は裏参道で、そちらからですと鬼磐階段を上らず社殿まで行けます。

 

橋の手前、こちらは左の狛犬さんです。

東霧島神社の狛犬

 

こちらが右の狛犬さん。どちらも変わった容姿で目を惹く狛犬さんです。形容するのなら、お花のような。

 

そして橋を渡ると、正面に巨大な杉、左に巨大なクスノキ、前方には赤鬼さんと石鳥居。どこを見ていいかわからないくらいです。

 

杉は安土桃山時代の慶長5年に、島津氏の第17代当主である島津義弘公が、戦勝祈願として家臣に命じで植栽したものといわれています。樹齢は400年以上。でかいです。

 

鳥居の脇のクスノキは、樹齢千年ともいわれている大クスで、幸招大クスと呼ばれています。宮崎の巨樹100選にも選ばれている巨木で、こちらもまたでかい。大クスの左手には龍王神水などがあるのも見えましたが、そちらも後ほど行ってみることにします。

東霧島神社の大クス

 

石鳥居の先が、鬼が積み上げたという鬼磐階段(おにいわかいだん)です。この景色も凄いです。

 

赤鬼のお隣が手水なのですが、鬼の持つひょうたんからお水が出ています。お清めをします。

 

一礼して鳥居をくぐり、鬼磐階段へ。鬼磐階段は「振り向かずの坂」とも呼ばれていて、振り向かずに心を込めて願い事を唱えながら登ると、願いが叶うと言われています。

 

圧巻の景色ではありますが、距離もなかなかありそうです。嫁と並び、振り向かずに一歩一歩登ります。

鬼磐階段

 

前方に神門が見えてきました。左右には赤い小さな社も。

 

左右の境内社は、それぞれ二社ずつありました。手前の左が猿田彦尊をお祀りする猿田彦神社、右が大己貴命をお祀りする大国主命社。奥の左が霧島の大神社(霧島六社大権現宮)、右が猿田彦尊をお祀りする猿田彦神社です。猿田彦神社が二つですね。

 

振り返らずにあと少し。

 

ようやく神門まで到着です。神門では、まるで飛んでいるかのような龍がお出迎え。宝珠と巻物を持っています。

 

その下には龍神太鼓なるものがありまして、「一年の家庭の幸福を願い」打ってもいいようなので、嫁と交代で打たせて頂きました。

 

神門を抜けますと、前方に社殿です。社殿の左側がこちらを向いている形です。

 

神門の後ろ側には、立派な木の枝が置かれていました。こちらは以前社殿のそばにあった樹齢400年の大きな杉の木の枝で、龍のように見えていた部分とのこと。木は平成30年の台風で倒れてしまいましたが、龍の枝はこうして今も残されています。

 

社殿に向かって右手には、本殿や注連縄の掛けられた石なども見えますので、参拝後に行ってみます。

 

拝殿へと進みます。

 

拝殿の正面へ。厳かな空気が漂っています。

 

虹梁には牡丹、木鼻には獅子と象です。これは霧島神宮や霧島東神社とよく似ています。

 

参拝させて頂きます。拝殿の中には龍の絵やお神輿。お神輿は市の指定文化財に指定されています。奥には本殿の龍神の柱が少しだけ見えます。

 

参拝を終え、境内を散策してみます。奥にはなんだか龍のような大木の姿も。

 

社殿の左手には脇社の愛宕神社です。

 

愛宕神社に参拝しますと、その辺りから本殿の龍神を近くに見ることができます。精巧な彫刻が施されているのがわかります。

 

今度は反対側、社殿の右へ。注連縄の掛けられた石は「伽藍石」と呼ばれている石で、「古代磐境信仰 神社創建の始まり」とあります。奥は脇社の白髭神社。延命白髭の神として、七福神の寿老人がお祀りされています。

 

境内は山の中です。

 

参拝を終え、鬼磐階段を戻ります。石が雨で濡れていて滑りやすいので、慎重に下ります。

 

無事に下り切りました。鬼磐階段を背にした景色はこんなです。

 

鳥居脇の大クスには洞があり、右に3回、左に3回めぐり、故有谷(ゆやだに)の乳水と龍神水を頂くと、安産にご利益があり、病魔を払い、良き運を授かるをいわれています。僕たちも夫婦ともども3回ずつめぐりました。

 

大クスの足元には、伊弉冉(いざなみ)神社です。東霧島神社のご祭神である伊弉諾尊の妻、伊弉冉尊がお祀りされていて、安産や子育ての神様として信仰されています。石段が急なため身重の婦人がこちらの参拝して帰ることを、「坂の下参り」と言うそうです。

 

伊弉冉神社の左に、龍王神水です。神石のある故有谷(ゆやたに)に鎮座する龍王が、霊水を下されているものになります。幸運・開運・厄除けのなどにご利益があり、病にも良いとのこと。

 

龍の口からお水が出ています。後ろの赤い社は龍神社です。

 

その先に不思議な像です。おっぱいのところから管のようなものが出ています。こちらから湧き出た霊水は「故有谷(ゆやたに)の乳水」と呼ばれ、安産にご利益があるとのこと。

 

少し奥にも赤い社が一つ。境内案内図によると、荒神神社かと思われます。こちらにも不思議な石像が置かれていました。

 

左手に神橋です。

 

神橋を渡りますと、その先に石鳥居と神石。脇には水が流れています。神石についての説明書きも。

 

正面に立ちます。神石は、神裂石・魔石・雷神石・割裂神石とも呼ばれています。妻の伊弉冊尊を失った伊弉諾尊の涙が固まってできたものであると伝わる石で、水の中にあります。

東霧島神社の神石

 

正面からではわからなかったのですが、横に回ってみますと、石はスパッと切られてます。妻を失った伊弉諾尊が、今後再びこのような災難に世人が遭わないようにと、十握の剣(とつかのつるぎ)で三段に切ったといわれています。

 

神石を一周回り、戻ります。こちらは神石側から見た大クス。

 

最後に授与所にて御朱印を頂き、厄割玉を厄割り石にぶつけ、東霧島神社を後にしました。

 

参拝を終えて

雨の中訪れた東霧島神社。

見どころが満載でして、素晴らしい神社でした。

朝の時間帯だったためか、参拝者は僕と嫁の二人だけ。神秘的な境内を独り占めする形となり、なんとも贅沢な時間を過ごさせて頂きました。

帰る頃には何組かの参拝者の方がいらっしゃったんですけどね。それまではずっと二人だけです。

故に、異世界に迷い込んでしまったような感じでもありました。

印象に残るものが色々あったのですが、やはり一番は鬼磐階段です。まず、その入口の景色が圧巻でした。

楠と杉の巨木が聳え、鳥居の前には赤鬼です。その先には、鬼が一夜にして積んだという石段が続いています。この景色を前にして、凄い場所に来てしまったと、そう思わずにはいられなかったです。

かつては参道の入口付近から巨木が立ち並んでいたそうです。残念ながら台風の被害などにより多くは失われてしまったとのことですが、きっと以前はさらに凄い景色だったんだろうな~と。

そして鳥居をくぐり鬼磐階段を下から見上げますと、その景色の素晴らしさと同時に、距離にも驚きます。なかなか長いんですよね。

僕たち夫婦は前日に高千穂峰に登山をしているのですが、もしそこで膝とか腰とか痛めていたら、この鬼磐階段は登れなかったかもしれません。足腰に不安のある方には、なかなか厳しい道のりではないかと。

しかし願い事を唱えつつ、振り返らずに無心で登るのはまた、楽しくもありました。

登り切った先の神門には、飛んでいるかのような白龍がいたり、龍神太鼓があったり。

社殿の周囲は森でして、その空間もまた神秘的で異世界感がありました。雨が降っていたことや、他に誰もいなかったのも、またその空気感を倍増させていた気がします。

本殿の龍の柱も少しだけ見ることができました。

平成30年までは、社殿のそばに龍神大杉と呼ばれる大きな杉の木があったとのことですので、その景色も見てみたかったです。

参拝後に散策した下のエリアも見どころがたくさんでした。

目玉はやはり神石ですね。そのスパっと切られている形状は、不思議です。伊弉諾尊が切ったのかと思うと、ロマンもあります。説明には三段に切ったとありましたが、見えている部分の石は二つでしたので、もう一部分は水の中にあるのかもしれません。

神石が、鬼滅の刃に登場した石に似ていることから、鬼滅ファンの方も多く訪れるそうです。ちょうど僕たちが帰る頃にいらっしゃった一組も、何やらコスプレぽい格好をしていて、写真撮影してました。

神石だけではなく、乳水の石像もなかなかインパクトがありました。

授与所で御朱印を頂く際、東霧島神社に関する記事などが貼られていまして、その中にあばれる君の写真とサインも。

これはこちらの神社が『やりすぎ都市伝説』で紹介されたときのものでして、その番組を僕も嫁と見ていたことを思い出しました。そう言えばあばれる君、鬼磐階段を登ってた!と。その後に高千穂峰にも登ってました。記憶が呼び起こされました。

こちらの神社では、素敵なものをたくさん見ることができたのですが…後悔もあります。

どうやら神石の先、裏参道を少し上がったところに御池という池があったようで、そちらを見逃してしまいました。神秘的な池のようでしたので残念です。詰めが甘かった。

さらには、近くの高崎大師堂方面に、県の有形文化財にも指定されている梵鐘があったようで、そちらも行くことができず。島津の軍勢が大坂夏の陣に出陣する際に、東霧島大権現宮に祈願奉納した梵鐘とのこと。こちらも詰めが甘かった。

そんな若干の心残りはありますが、素晴らしい神社に足を運ぶことができたのは間違いありません。

雨の中、とっても素敵な時間を過ごすことができました。

東霧島神社、参拝できてよかったです。

続いては、白蛇が棲むという霞神社へと向かいます。

 

御朱印

東霧島神社ではいくつかの御朱印を頂くことができます。

こちらが東霧島神社の御朱印です。

東霧島神社の御朱印

 

こちらが脇社の白髭神社の御朱印です。

 

こちらが龍神の御朱印

 

こちらが鬼磐階段の御朱印です。

 

御朱印の受付時間

御朱印と御守りを頂ける時間は、8時半から16時半までです。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は宮崎県都城市高崎町東霧島1560です。

東霧島神社の公式サイトはこちらです。
https://tsumakirishimajinjya.com/

 

駐車場

500台駐車できる参拝者用の大きな駐車場があります。

高原ICやJR高原駅から車で15分ほどです。霧島神宮の近辺からは35~40分ほど掛かります。

 

電車

JR「東高崎駅」から徒歩10分です。

線路を渡って突き当りを右折。少し歩いた左手です。

 

トイレ

駐車場にあります。

 

周辺のパワースポット

 

都城市の神社一覧

著者が参拝した都城市の神社一覧です。