長野市にある戸隠神社の奥社と九頭龍社の参拝レポートです。
戸隠神社(とがくしじんじゃ)は五社からなる神社で、奥社と九頭龍社はそのうちの二社になります。
読み方はそれぞれ「おくしゃ」と「くずりゅうしゃ」です。奥社は戸隠神社の御本社であり、九頭龍社は古来より地主神として信仰されてきた神社です。どちらも車両の通行が禁止で、約2キロの参道を歩いた先にあります。
この二社は隣接していますので、同一記事内にて紹介させて頂きます。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
戸隠神社「奥社と九頭龍社」へ
嫁と二人、夏の戸隠に泊りがけでやってきました。
奥社と九頭龍社への参拝は、その2日目の朝です。
初日は東京を出発し、新幹線で長野駅へ。駅からはバスに乗り、まずは戸隠五社の一社である宝光社に参拝します。
宝光社からは山の中の「神道」を歩き火之御子社へ。
その後は再び神道を歩いて中社へと向かい、宿泊予定だった中社近くの宿坊に荷物を預け、そのままお蕎麦でランチ。
美味しいお蕎麦と日本酒で満たされたまま、中社にも参拝し、夕方からは宿坊でのんびりと過ごさせて頂きました。雨も降っていましたので、雨の音を聴きながら。
そして翌日。
降っていた雨も止み、気持ちのいい雨上がりの朝です。
中社から奥社の参道入口までは、歩くと30~40分ほど。車ですと5分ほどで、バスでも行けます。僕たち夫婦も歩いて行こうかどうか迷っていたのですが、奥社の参道入口から奥社までは、さらに徒歩で(徒歩でしか行けません)40分かかるんです。つまり、中社から奥社まで歩くとなると、70~80分山道を歩くことに。
それらを踏まえ、中社から奥社の参道入口までは、歩かないという選択をしました。その道中も色々見どころがありそうで、楽しそうではあったんですけどね。クマの出没情報も多いようですし、前半で疲れてしまって、その後の奥社までの参道を歩けなくなってしまったら元も子もありませんので。
ですのでバスで行こうと思っていたところ…なんと宿坊のご主人が車で奥社参道入口まで送ってくださるのと。
ありがたいです。さらには奥社から戻るまで、荷物も置かせてもらうことに。高山坊さんという宿坊に泊まったのですが、もうお世話になりっぱなしです。とっても親切にしてくださり、旅のいい思い出にもなっています。
そんな高山坊さんのご厚意に甘え、朝イチで送ってもらい、奥社参道の入口に到着。
戸隠神社の中でも奥社はおそらく一番人気のあるところでして、まだ早い時間にもかかわらず、参拝者の姿もちらほら。
とはいえまだ人の姿はそこまで多くはありません。
できるだけ人の少ないうちにと、クマ除け鈴を付け、2キロの参道を出発です。
ご由緒
奥社のご祭神は、天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)です。日本神話の天岩戸伝説で、天照大神がお隠れになった岩戸を押し開き、天照大神の手を引き導き出した、力持ちの神様です。そのときに天手力雄命が投げ飛ばした天岩戸が、現在の戸隠山であるといわれています。
創建の年代は諸説あり、紀元前の孝元天皇5年とも、平安時代前期の嘉祥2年ともいわれています。
平安時代後期以降は、神仏習合の戸隠山勧修院顕光寺として信仰され、比叡山と高野山と共に「三千坊三山」とも称されるほど、多くの参詣者を集めます。
参道の途中には朱の随神門(山門)が建ち、その奥の17世紀に植えられたとされる杉並木は、戸隠神社の代名詞ともいうべき景色として知られています。かつて随神門の奥には、左右に奥社院坊が並んでいたそうです。
戦国時代には武田信玄と上杉謙信との争乱により一時衰退しますが、江戸時代には再興されていきます。
明治の神仏分離後は、旧奥院から奥社になり、現在に至ります。
戸隠山には「戸隠三十三窟」といわれる洞窟が点在していて、奥社の本殿内部には、そのうちの「本窟」と「宝窟」があるといわれていますが、非公開で秘密とされています。
一方、九頭龍社のご祭神は、九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)です。古来より戸隠の地主神として崇められてきた神様で、水の神、雨乞いの神、虫歯の神、縁結びの神として信仰されています。
創建の年代は不明ですが、天手力雄命が奉斎される以前より、地主神として奉斎されていたと考えられています。
奥社のすぐ下に鎮座していて、本殿から右手上の磐座の上まで廊下が続いて、そこが「戸隠三十三窟」の一つである「龍窟」であるといわれています。
奥社、九頭龍社への参拝は、参道入口から車両の進入が禁止になっているため、約2kmの参道を歩かなければ辿り着けません。にもかかわらず、連日多くの参拝者が訪れる、観光名所としても知られている神社です。
境内案内
こちらが戸隠神社奥社の参道入口になります。
ここから随神門(山門)までは約15分、随神門から奥社までは約25分、計約40分、2キロほどの道のりです。
坂を下って行きますと、右には食堂、前方に鳥居です。
鳥居の手前には橋があり、川が流れていました。
鳥居へと進みます。左右には大鳥居の建立記念碑や、参拝路の案内図。
左にも道がありまして、そちらは戸隠森林植物園へと続いているようです。熊出没注意の看板も見えます。
一礼して鳥居をくぐります。
参道は完全に山の中。雨上がりの緑が綺麗です。
歩き始めてすぐ、左手に石祠がありましたので、参拝させて頂きます。こちらは黒姫山の登山道脇にある、雨乞いをすると必ず雨が降るといわれる「種池」の主、一龕龍王祠(いっかんりゅうおう)をお祀りした祠です。
参道に戻り、歩きます。左右の森には様々な木々。そして笹が茂っています。参道はひたすら直線です。
途中に石碑を見つけます。「高妻山神鏡碑」で、かつて修験者の登山道であった大澤通りへの入口がこの場所だったとのこと。
さらに進んで行きますと、左右には杉が並ぶ景色へと変わって行き、前方に赤い随神門が見えてきます。
随神門の手前には、左右に狛犬さんの姿も。素敵な景色です。
狛犬さんにご挨拶。狛犬さんは比較的新しいものに見えます。
ところどころに「熊出没注意」の看板が出ていますので、熊の存在はどうしても意識はしてしまいます。いつ出てきてもおかしくないような森ですし。
随神門の正面に立ちます。屋根には草が生えてます。
随神門には、左右に随神さま。かつては仁王像が祀られていたそうです。
随神門をくぐりますと、戸隠神社といえばまず取り上げられる、素敵な杉並木の景色です。
脇には川も流れています。石碑は戸隠神社御本社復興記念と刻まれています。
大きな杉の連なる参道を歩きます。
比較対象で、人のいる景色も。この方が杉の大きさがよくわかるのではないかと。
少し上を見上げますと、こんな感じです。
左右の杉に目を奪われつつ、ずっと見たかった景色の中を進みます。
杉並木の途中には、奥社院坊跡の説明書き。以前はこの辺りに院坊があったんですね。
随神門までは直線だった参道も、ところどころ緩やかに曲がる道に。
途中、右手には注連縄の掛けられた、足元に洞のある杉。こちらは吉永小百合さんがCMで洞にに入った杉とのことで、「小百合杉」とも呼ばれているそうです。CMの影響で洞に入る人が多かったため、杉を傷つけないように、注連縄が掛けられたそうです。
その先、左手には「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」への入口。現在の松本市に生まれた臨済宗の僧、法燈国師に所縁のあるものとのこと。200メートルほど先にあるようですが、熊が出てきそうなので、今回は入らず。
反対側、右手には「大乗妙典一字一石書写碑」。
その少し先、左手にトイレです。この先にはトイレがありませんので、こちらが奥社までに用を足せる最後の場所。
森の中の参道は、まだまだ続きます。
傾斜が少しきつくなり始めますと、じょじょに景色も変わり、前方には石段と鳥居が見えてきます。
鳥居の奥に見える石碑には「飯綱大明神」と書かれています。先に参拝させて頂くことに。
飯綱大明神をお祀りした飯綱社は、古来より戸隠山の鎮守として、こちらに鎮座している神社です。左右の大きな杉に掛けられた注連縄をくぐり、参拝させて頂きます。
参道に戻り、石段を上がります。注連縄の巻かれた杉も。
左には「至誠碑」と書かれた碑です。
石段は途中、大きく左に折れています。前方に見える石碑は参道の修繕記念碑。
そして石段を左に折れると、社務所と思われる白い建物が目に飛び込んできます。どうやら奥社まではあとほんの少し。
社務所の下には登山口。登山される方は、ここからさらに山へと入って行くんですね。
石段を上がって行きますと、注連縄が掛けられた岩がありました。
左手に社務所へと続く石段。参拝後に御朱印を頂きに。
社務所を左手に見て、さらに石段は続き、上には奥社らしき社殿も見えます。
少し広くなった先に手水舎です。
そして左手の石段、左右には狛犬さん。こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも後ろ足を立てている、前傾姿勢の狛犬さんです。
お清めを。
手水舎の右手奥にも小路があり、その先には川と岩がありました。
狛犬さんの間を抜け石段を上がりますと、正面にも大きな岩があります。その左手が九頭龍社ですので、そちらには後ほど。
反対側、岩から右へ延びる石段の先が奥社です。
右にも石段があり、その先は玉砂利の敷かれた広いスペース。祓所でしょうか。
奥社へと石段を上がります。
一礼して鳥居をくぐりますと、そこが奥社の社殿です。
社殿に向かって右手の先には川が流れ、小さな滝も見えます。
社殿を正面から。本殿の中には、戸隠三十三窟のうちの二つ、「本窟」と「宝窟」があるといわれています。参拝させて頂きます。
社殿の後方、上は大きな岩山になってるようです。
社殿に向かって左手には、古くより戸隠の神として信仰されてきた、戸隠大神をお祀りしたお社です。こちらにも参拝させて頂きます。
戸隠大神の右手を見ますと、奥社の社殿が大きな岩と接していることがよくわかります。
奥社を後にして、石段を下ります。
九頭龍社へ。
社殿の正面へ。九頭龍社の本殿から右手上の岩まで廊下が続いてて、それが戸隠三十三窟の一つである「龍窟」であるといわれているそうです。
扁額には龍の彫刻です。参拝させて頂きます。
社殿の奥は深い山。
授与所へと向かい、御朱印を頂きます。
こちらは授与所の前から見た奥社の景色。
奥社、九頭龍社への参拝を無事に終え、元来た参道を戻ります。帰りの参道も素敵な景色でした。
参拝を終えて
奥社と九頭龍社への参拝を終え、これにて戸隠五社の全てに参拝することが叶いました。
まず、参道の入口から奥社まで、約2kmの道のりが素晴らしかったです。
朝の時間帯でまだ参拝者の数もそこまで多くありませんでしたし、さらには雨上がりという清々しい空気の中でしたし、歩いているだけで最高に気持ち良かったです。
ところどころに「熊出没注意」の看板が出ていまして、確かにいつ熊が出てきてもおかしくないような森の中でしたので、そういう意味では緊張感もありましたけれど。
熊に遭遇することもなく、無事に参拝し戻ってくることができました。
参道の中で一番印象に残っているのは、やはり戸隠神社の代名詞ともいうべき、随神門から見る大きな杉並木の景色です。これまで写真などでは何度となく目にしていますが、その場所を自分が実際に歩けるというのは感慨深いものがありますし、嬉しいです。しかも朝でほとんど人の姿もない状態でしたので、その神秘的で素晴らしい景色を独占させて頂きました。
道中の碑や院坊跡なども眺めつつ、のんびり歩かせて頂きました。吉永小百合さんがCMで入ったという、洞のある「小百合杉」もバッチリ見れましたし。
参道入り口から奥社までは約40分とのことでしたが、僕たちは写真を撮ったりしつつ、かなりのんびり歩いて行きましたので、50分ほど掛かりました。
奥社と九頭龍社は、それなりに長い距離を歩かなければ辿り着けない神社ですので、到着したときの喜びも大きいです。
境内も山の中でして、脇には川が流れていたり小さな滝が見え、心地のいい場所でした。
奥社、九頭龍社、どちらも社殿の後ろには大きな岩山がありまして、本殿から奥に洞窟が続いていると言われていますので、中はいったいどうなっているんだろうとあれこれ想像し、一人ワクワクしてしまいました。その話だけでも神秘的ですからね。どちらも非公開ですので、この先も見られることはないと思いますが、だからこそ余計に謎めいていて、惹かれるものがあります。
戸隠神社は、五社全てに参拝しますと、記念品として栞を頂くことができます。僕たちも奥社と九頭龍社で五社を制覇ですので、御朱印を頂く際にそれを申し出まして、栞を頂きました。
こういうのは嬉しいですね。
授与所では御朱印だけではなく、御守りも購入させて頂きました。
境内にてしばらくのんびり過ごし、帰路に就きます。
僕たちが到着したときは、境内には数人しかいらっしゃらなかったのですが、時間とともに参道を上がって来られる方の数も増え、帰り道は何人もの方とすれ違いました。入口に近づくにつれ多くなっていきましたので、おそらくお昼前後が一番混雑するのではないかと思われます。
行きの参道の景色も素晴らしかったですけど、帰りもまた素敵でして、終わってしまうのがもったいなく思ってしまうくらいでした。
参道入口まで戻った僕たちは、まず「奥社の茶屋」さんというお蕎麦屋さんでソフトクリームを食べ、休憩。
その付近からは、戸隠山も見えます。
そして休憩を終え、すぐ向かいにある「戸隠流忍法資料館 忍者からくり屋敷」へ。
こちらのからくり屋敷、とっても面白かったです。嫁は以前一度だけ来たことがあるそうですが、僕は初めて。混雑していると「からくり」がネタバレしてしまうかと思いますが、空いてますと全部自分で考えて進まなければいけないので、面白い。しかもこれがまた、けっこう難しいんです。僕一人でしたらおそらく出られなかったと思います。
で、からくり屋敷を満喫してから、再び先ほどソフトクリームを食べた「奥社の茶屋」さんに戻り、昼食。
こちらのお蕎麦もとっても美味しかったです。
お洒落な造りになっているお店でして、なんと建築家の隈研吾さんデザインの建物でした。
素敵なお店での美味い蕎麦に満足し、バスで中社まで戻り、荷物を預けていた高山坊へ。今回の戸隠旅では、高山坊さんにたくさんお世話になりました。ありがたい。
戸隠を離れるのが名残惜しかったのですが、中社からバスにて長野駅へと戻ります。
そのままホテルに荷物を預け、続いては善光寺へ。
御朱印
こちらが戸隠神社・奥社の御朱印です。
こちらが戸隠神社・九頭龍社の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から17時まで(12月中旬~1月7日は16時まで)です。ただし冬季は授与所が閉鎖されますので、御朱印を頂けるのは中社の授与所のみになります。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は長野県長野市戸隠中社3690です。
戸隠神社の公式サイトはこちらです。
https://www.togakushi-jinja.jp/
電車&バス
長野駅からバスが出ています。7番バス乗り場から約1時間、「戸隠奥社入口」で下車し、そこからは徒歩で40~50分になります。
駐車場
参道入口の近くに約200台停められる大きな駐車場があります。有料で3時間600円になります。入口から奥社まで車の乗り入れはできません。徒歩で40~50分です。
また、からくり屋敷の手前や、もう少し上がった場所にも、有料の駐車場が数か所あります。
トイレ
参道入り口と、随神門を過ぎた少し先、計二か所にあります。奥社の境内にはありませんのでご注意ください。
周辺のパワースポット
戸隠五社巡り
戸隠神社は五社からなる神社です。五社巡りについては、こちらの記事でまとめてあります。
長野市の神社一覧
著者が参拝した長野市の神社の一覧です。