横須賀市の西浦賀にある西叶神社の参拝レポートです。
読み方は「にしかのうじんじゃ」です。浦賀港を挟んだ対岸には東叶神社があり、二社を合わせて縁結びのパワースポットとしても有名な神社で、「夢が叶う神社」として知られています。二社は「浦賀の渡船」で行き来できます。最寄駅は京急の浦賀駅です。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
浦賀の「西叶神社」へ
僕たちが西叶神社を訪れたのは、夏の終わりの9月半ば。一泊二日の三浦半島、嫁と二人の夫婦旅です。
初日のこの日は浦賀周辺の神社をいくつか回り、美味しい魚ランチを食し、宿をとっている城ヶ島に渡るというコース。
神社巡りが趣味になってからというもの、旅行も必然的に神社巡りが中心になっている気がします。
この日も既に6ヶ所もの神社を回り、次に向かう西叶神社が七つ目の神社です。西叶神社をこの日の締めにして、城ヶ島へと向う予定です。
一応ですが、この日に回った6ヶ所を挙げてみますと…
1.走水神社
2.津守稲荷神社
3.八雲神社
4.東耀稲荷
5.東叶神社
6.三浦稲荷社
この6つです。
元々の目的地は、走水神社、東叶神社、西叶神社の三つの神社でした。この三つは二年前にも訪れていて、どれも素敵な神社でしたので、また行きたいな~と思っていたんです。
この三つに加え、他の神社はたまたま近くに地図で見つけた神社さんたち。
地図で近くにあるのがわかると、ついつい行ってみたくなっちゃうんですよね。行かずにはいられないと言いますか。
そんな感じでのんびりと散歩気分で神社巡りをしていたのですが…。
僕たちを焦らせるハプニングが発生です。
西叶神社は、浦賀港を挟んで東叶神社の反対側にあります。
そして、港を渡らせてくれる「浦賀の渡船」という素晴らしいものがあるんです。この渡し船に乗れば、港を突っ切って、西叶神社のすぐ前まで行けてしまという便利なものが。
二年前に東叶神社と西叶神社を訪れた際にも、僕たちは渡し船を使いました。
当然今回もそのつもりで余裕こいていたのですが、なんと数日前にやってきた台風の影響で、渡船がまさかの欠航という事態に…。
そうなりますと、ちょっと面倒なんですよ。
いったん浦賀駅まで戻り、港の反対側を走るバスに乗るルートになるんです。
もしくは港を泳いで渡るかですね。
どちにしても、渡し船を使うよりはかなり時間が掛かります。
時刻は既に夕方です。あまり遅くならないうちに西叶神社に参拝したいですし、御朱印も頂きたいので、早めに向かわねばなりません。
一泊二日の旅行ですので、最悪の場合翌日という手段も取れなくはないのですが、やっぱりできれば初日のうちに回ってしまいたいので。
東叶神社の参拝を終えた僕たちは、近くにあった三浦稲荷社に高速で立ち寄り、バスに乗り浦賀駅に戻ります。
そして西叶神社へと向うバスが「京急久里浜駅行き」か「JR久里浜駅行き」だということを調べておきましたので、浦賀駅に着いた瞬間、バス停を探し走ります。
僕たち夫婦は、旅先でけっこう走ってる気がします。
バス停も見つけ、停車していたバスに飛び乗り、西叶神社へと向います。
なんとか間に合いそうです。
ご由緒
ご祭神は、第15代天皇である応神天皇で、八幡神とも同一と考えられている、誉田別尊(ほむたわけのみこと)。卑弥呼ではないかと言う説もある女神、比売大神(ひめおおみかみ)。応神天皇の母親で、神功皇后と同一である息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)。以上の三柱になります。
創建は平安時代後期の養和元年です。伊豆国で島流しになっていた源頼朝と知り合った京都の僧である文覚が、源氏再興のために、浦賀西岸の地に石清水八幡宮を勧請し、創建したのが始まりとされています。その後鎌倉時代の初期、源氏再興を叶えた源頼朝が社号を改め、叶大明神と称したと伝えられています。
西叶神社も東叶神社も、「叶神社」が正式な社名です。
現在の社殿は、江戸時代の後期に焼失後、再建されたもので、彫刻は安房国(現在の千葉県)の代表的な彫刻師であった後藤利兵衛義光によるものです。
社務所の玄関には、昭和5年に制作された漆喰鏝絵(しっくいこてえ)が飾られています。
また、境内には漆喰で作られた神馬がいましたが、破損が著しく現存はしていません。
手水社は、浦賀の遊郭の主人から僧になった、深本が寄贈したものです。
例大祭で奉納される「虎踊り」は「浦賀の虎踊」としても有名です。
縁結びのパワースポットとしても知られ、「東叶神社のお守り袋に西叶神社の勾玉を入れると良縁に恵まれる」とも言われています。
また、その社名や由縁などから、「願いが叶う神社」とも言われていて、多くの参拝者が訪れる神社です。
境内案内
西叶神社を通るバスは、浦賀駅から道路を渡った少し先のバス停から出ています。「京急久里浜駅行き」か「JR久里浜駅行き」です。走って乗り込みました。
バスで5分程、西叶神社の最寄りバス停である「紺屋町」で下車します。
バス停の目の前には、渡し船の乗り場です。欠航さえしていなければ、東叶神社からこの船で移動をする予定でした。乗りたかった。
渡し船の料金は、片道で大人200円です。小中学生は100円ですね、安いです。
バス停から道路を渡るとすぐ、もう目の前が西叶神社の入口です。
一礼して鳥居をくぐります。陽がかなり傾いてきてしまいました。もう夕方です。
住宅街の先に、鳥居と社殿が見えます。足早に進みます。
鳥居の正面に立ちます。二年振りにやって来ました。
一礼して鳥居をくぐり境内へ。
鳥居をくぐった先、右手に手水舎です。ここにある手水石は、直前に立ち寄った三浦稲荷社で、「南無阿弥陀仏」の石塔を建立した深本という人物により寄進されたものとのこと。
お清めをします。手水舎にはちょっとお洒落な感じの彫刻が彫られていました。
拝殿に向かいます。拝殿の前には、左右に大きなソテツがあるもの見えます。
石段を上ります。拝殿の近くまで来ますと、彫刻の凄さがじょじょにわかってきます。
拝殿前には左右に大きなソテツです。こちらは左手の蘇鉄。東叶神社の蘇鉄は、源頼朝が伊豆から移植したものだと書かれていましたが、西叶神社のものもそうなのでしょうか?
蘇鉄の後ろに狛犬さんです。こちらが拝殿に向かい左手の狛犬さん。
そしてなんと、振り返ると子供の狛犬さんが、立ちあがって覗いてるんですよ。これは可愛い。
こちらは右の蘇鉄の後ろにいる狛犬さん。左右どちらも口を開いています。これに対し、東叶神社の狛犬さんはどちらも口を閉じていると言われ、対になっていると言う説もあります。
同じく振り返りますと、右側にも子供の狛犬さんが立ちあがって覗いてるんです。可愛い。
拝殿を眺めます。他に参拝者も見当たらず、この空間を独り占め。
この彫刻、凄いです。正面には二匹の龍。左右には象の姿も見えます。目が釘付けになってしまいます。
さらにその奥、天井にもびっしりと彫刻が。下から見上げる龍も凄いです。
彫刻に興奮した心を鎮め、参拝します。
もう一度、天井の彫刻をじっくり見てみます。
境内を散策してみます。拝殿の右奥に小路が延びていましたので、行ってみます。
奥には境内社がいくつかありました。
一つずつ参拝して行きます。まずは一番奥にあった福寿弁財天。
続いて、弁財天の右手にある境内社へ。赤い鳥居をくぐります。
左から、船守稲荷神社、三峰神社、大鷲神社、淡島神社と書かれています。全て参拝します。
この四社の前から振り返り弁財天の方を見ると、奥に狸がいるのが見えました。
四社のさらに手前には、老山福寿稲荷社です。こちらにも参拝します。
お隣にあった祠にも参拝。
境内には、あちらこちらに彼岸花が綺麗に咲いていました。
四社と老山福寿稲荷社の間に、山の中へと続く石段です。この先には金比羅神社があるようです。上ってみます。
急な石段を上り、1~2分で上に到着です。金比羅神社にも参拝します。
金比羅神社の前からは、木々の間に浦賀港が見えました。気持ちいいです。
周囲は深い森になっていて、とても静かです。
急な石段を下ります。この石段はほんとに急です。
無事下山し、拝殿前に戻ります。こちらは拝殿を右斜め前から。
拝殿に向かい右側の蘇鉄の下に、赤い不思議な石がありましたので、思わず撮ってしまいました。何の石でしょうか。
拝殿の左手はこんな感じです。石碑が並んでいて、右は昭洞香山という人の石碑で、ペリーが浦賀に来航した際に、米艦に赴いて応待した人物とのことです。
社殿を左斜め前からも。やっぱり目がいくのは彫刻です。
石段を下り、拝殿に向かい左手に社務所がありますので、そちらに向かいます。
小路の先には大きな銀杏。
その先、左手には大きな井戸らしきものも。
右手には、大正~昭和の歌人、橋本徳寿の歌碑もありました。
さらに進んだ奥に授与所があります。こちらで御朱印を頂きました。間に合いました。
社務所の向かい側には、明治天皇が境内で御休憩された記念碑と、右には碇があります。
一通り境内を散策し、御朱印も頂き、西叶神社を後にします。入口にご由緒が書かれているのを帰り際に見つけました。
参拝を終えて
陽が傾きかけ、時間的に少し焦りながら辿り着いた西叶神社。
無事着いたことに安心し、いつも通りにゆっくりのんびり散策させて頂きました。
一昨年来たばかりではあるのですが、見事に忘れてしまっていることばかりで、自分の記憶力のなさを呪いたくなります。しかし逆に言えば、忘れてしまっているが故に、どれも新鮮には映りますので、そう言った意味ではありなんですけどね。
見どころも多く、印象に残ったものもいくつかあるのですが、やっぱり最初に挙げるとしたら、狛犬さんと社殿の彫刻かと思います。
あと、蘇鉄も凄かったですね。東叶神社でソテツってかっこいいな~としみじみ思ったわけですが、同じく西叶神社でも、ソテツは素晴らしかったです。僕は個人的にソテツが好きなのかもしれません。ソテツのある位置は、石段を上った先、拝殿の前です。その存在感、形、色、惚れ惚れします。
そんな蘇鉄たちの脇に、左右どちらも口を開けている狛犬さんがいます。通常は片方が口を開け、片方が口を閉じている「阿吽(あうん)」で対になっているのですが、西叶神社ではどちらも「阿」なんです。それに対し、浦賀港を挟んだ反対側にある東叶神社の狛犬さんが、左右両方とも「吽(うん)」の状態でして、つまり西と東で対を成しているのでは?と言われてるみたいです。
確かに東叶神社の狛犬さんは、どちらも閉じていると言えば閉じている感じではありました。右側の狛犬さんがちょっと怪しかったですけど。
どちらにしても、この西叶神社の両方とも「阿」の狛犬さんは珍しいかと思います。
しかしです。さらに珍しいものがこの西叶神社にはあるんですよ。
それは、狛犬さんの子供たちです。
ここではなんと、左右両方とも、親から少し離れた場所にいて、しかも物陰から顔を出すかのようにして立ってるんです。
これは可愛い。
僕は41歳の中年男性ではありますが、そんな中年男性の目から見ても、これは可愛いです。
と偉そうに書いてはいますが、この狛犬さんの子供に気付いたのは嫁でして、僕は最初全く気付かなかったんですけどね。二年前に訪れた際も、きっと嫁に言われなければ知らないまま帰ってます。そしてそんな記憶がもう既になくなっている僕は、今回も同様に、嫁に言われなければ気付かずに帰っていたかと思います。
観察力に乏しいんです、僕はきっと。記憶力も。
ですので、隠れんぼをしているかのような子供の狛犬さんを見たときは、かなり新鮮な驚きがあり、テンション上がってしまいました。
僕と同じように意外と気付かない人も多いかと思いますので、狛犬さんの子供、是非探してみてください。可愛いです。
狛犬さんの子供には気付かなくても、拝殿に施された彫刻には自然と目が留まります。
虹梁には龍が二匹掘られているのですが、この龍が凄い。まず、その表情に惹き付けられます。もの凄く豊かな表情をしているんです。他の神社でも見事な彫刻の龍は見るのですが、この表情の龍はあまり見たことがなかったので、とても魅力的に映りました。もちろん表情だけではなく、今にも動き出しそうな躍動感もありましたし、迫力もありました。
龍だけではなく、周囲には象だったり鳳凰だったり、どれも本当に見事な彫刻でした。
さらにそれだけに留まらず、天井も凄いんですよ。びっしりと龍と思われる彫刻が掘られてるんです。
この日四ヶ所目に訪れた東耀稲荷神社も、同じように天井にびっしりと彫刻がありましたので、一日に二ヶ所も天井彫刻を見てしまいました。ありがたや。
素晴らしかったです。
また、後ろの本殿の屋根の下には、とても珍しい「棟木を支える力士像」の彫刻があったようなのですが、これは後から知り、残念ながら見ていません。本殿の方まで気が回らなかったです…。無念。
こちら、西叶神社の公式HPに掲載されていた力士像です。
(画像出典:kanoujinja.p1.bindsite.jp)
次に行く機会があれば、その時は必ずや見て帰りたいと思います。
境内社もいくつかあったのですが、金比羅神社への石段が急だったのが印象深いです。二年前には、雨で濡れていて、かなり危険だった覚えもありますので。石段が急ではありますが、上り切った場所からは、木々の間から浦賀港も見えます。足腰が大丈夫でしたら、是非行ってみてください。
時間に追われつつ訪れた西叶神社ですが、無事に御朱印も頂くことができました。
授与所では、縁結びでも有名な勾玉もありました。「東叶神社のお守り袋に西叶神社の勾玉を入れると良縁に恵まれる」と言われてるやつです。二年前、僕たち夫婦もついつい実践してしまったんですけどね。夫婦なのに。
こちら、その時のお守り袋と勾玉です。
縁結びを叶えたいかたは、どうぞお試しを。
二年振りに訪れた西叶神社、参拝できて良かったです。
この後僕たちは、宿をとっている城ヶ島へと向います。
西叶神社の前からバスに乗り、京急久里浜駅へ。こちら、京急久里浜駅方面のバスの時刻表です。
京急の久里浜駅からは電車で三崎口駅まで行き、さらにそこからバスに乗っての城ヶ島です。
この日は合計で7ヶ所もの神社を巡ったことになるのですが、どこも素敵な神社でした。
三浦海岸への小旅行一日目、大満足です。
御朱印
こちらが西叶神社の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印とお御守りを頂ける時間は、9時から17時までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は 神奈川県横須賀市西浦賀1-1-13です。
西叶神社の公式サイトはこちらです。
https://kanoujinjya.jp/
電車
①京浜急行「浦賀駅」からバスで約5分。
2番乗り場より「京急久里浜駅行」「JR久里浜駅行」のバスに乗り、「紺屋町」で下車し、目の前です。浦賀駅から徒歩ですと、20分ほど掛かるのではないかと思います。
②京浜急行「久里浜駅」からバスで約10分。
「JR久里浜駅行」のバスに乗り、「紺屋町」で下車し、目の前です。
駐車場
神社の前に、数台停められる参拝者用の駐車場があります。特別な日でなければ、問題なく駐車できるかと思います。
周辺のパワースポット
横須賀市の神社一覧
僕が参拝した横須賀市の神社一覧です。