宮島の弥山にある弥山本堂の参拝レポートです。
読み方は「みせんほんどう」です。大聖院の堂宇の一つであり、唐から帰国した弘法大師(空海)が建てた御堂といわれています。広島新四国八十八ヶ所霊場の第八十八番札所でもあります。こちらの記事では、宮島ロープウェイから獅子岩駅を経て、弥山本堂までをまとめてあります。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
宮島の「弥山本堂」へ
季節は4月の中旬です。
嫁と二人で、人生で三度目の宮島にやって来ました。そして三度目にして初の弥山登山です。
二度目に来たのがもう4~5年前でして、そのときは弥山に登る気満々で向かったものの、天気が崩れ激しい雨になってしまい、泣く泣く断念しました。いつの日か必ずや登ろうと決意して。
そんな「いつの日か」がついにやってきたわけです。
三泊四日という余裕のある日程を組み、東京を出発。仮にどこか一日天気がダメでも、どうにかなるという日程で。
完全に弥山登山を最優先にしての広島旅行です。
初日は広島市内を少し観光し、夕方には宮島口のホテルへ。安芸グランドホテルというところに宿泊しまして、部屋からは弥山が一望できるという、贅沢な宿泊をさせて頂きました。
で、翌日の旅行二日目となるこの日の天気は晴れ。迷わず弥山登山を決行です。
朝イチで宮島に渡り、まずは厳島神社に挨拶をして、ロープウェイ乗り場を目指します。弥山にはロープウェイを使わないルートでも登れるのですが、回りたいところがたくさんあった僕たちは、今回はロープウェイ利用での登山にしました。
乗り場へ向かう途中、厳島神社の中宮とも考えられている、四宮神社にも立ち寄ります。
その後、無事にロープウェイ乗り場に到着。ロープウェイは紅葉谷駅で乗車し、途中の榧谷駅で一度乗り換え、獅子岩駅までという行程になってます。約20~30分です。
まず、榧谷駅までのロープウェイは比較的小型のものでして、6人乗りです。1分間隔で動いていますので、すぐ乗れます。
ロープウェイは、宮島の深い森の上を通過して行きます。なかなか凄い景色です。僕たち夫婦は、自転車で一人旅をしているというハワイのおじさんと乗り合わせ、つたない英語での会話も楽しみます。そのおじさん、「HAWAII」とでっかく書かれてるTシャツ着てました。
後方には瀬戸内海も見えます。
おじさんと一緒に記念撮影などしていますと、10分ほどで榧谷駅に到着し、乗り換えです。ロープウェイ乗り場では「マムシ注意」の貼り紙をちょいちょい見掛けました。マムシが出るんですね、気を付けなければ。
獅子岩駅へのロープウェイは、そこそこ大型のものになります。ロープウェイは二台のみで、15分間隔での発車です。前方に見えるのが獅子岩駅です。
左手には瀬戸内海。素晴らしい景色を楽しみながら、獅子岩まで約4分です。
僕たちは前回宮島を訪れた際にもロープウェイには乗ったのですが、そのときは雨と霧でほぼ視界ゼロでした。ですのでもはや、何に乗っているのか、何をしているのかすらわからない状態だったことを覚えています。
今回は、そのときとは打って変わっての素晴らしい景色でした。宮島に来ましたら、ロープウェイだけでも乗る価値はじゅうぶんにあるのではないかと。晴れた日に限りますけれど。
無事獅子岩駅に到着し、外に出てみますと、目の前には憧れの弥山です。
いざ山頂目指して出発です。まず最初の目的地は、途中にある弥山本堂です。
ご由緒
弥山本堂の正式名称は、多喜山水精寺です。真言宗御室派の寺院で、厳島神社の別当であった多喜山大聖院の堂宇です。
ご本尊は、人々に知恵を授けてくれるといわれている、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。知恵の菩薩ともいわれています。ご本尊の脇には、不動明王と毘沙門天が祀られています。
創建は平安時代の初期と考えられています。唐から帰国した弘法大師(空海)が、霊地を探し求めて宮島に立ち寄り、弥山を開創し、御堂を建て、百日間の求聞持秘法(真言宗に伝わる、人を天才にするという秘法)を修されました。その御堂が弥山本堂と伝えられています。
山を弥山と名付けたのも弘法大使で、インドの須弥山(しゅみせん)に似ていることから、転じて弥山としたそうです。
本堂には、平清盛の三男である平宗盛が寄進した、大梵鐘(つりがね)も安置されています。
現在の建物は、昭和30年に再建されたものになります。
広島新四国八十八ヶ所霊場の、第八十八番札所でもあります。
境内案内
獅子岩駅から外に出ますと、前方から左手の方に獅子岩の展望台があります。
右手を見ますと、目の前が今から向かう弥山です。山頂には展望台があるのも見えます。朝は少し雲が多かったのですが、いつの間にか青空になっています。
まずは獅子岩の展望台に行ってみることに。いきなりでかい岩がありますが、この付近は「晶洞群」という、鉱物の結晶が密集した「がま」と呼ばれる岩石がたくさんあるみたいです。説明書きがありました。
獅子岩展望台は、上まですぐ行けます。瀬戸内海や島々が見渡せる素晴らしい景色を見ることができます。
展望台には大きな岩もゴロゴロと。
もし弥山に登れなかったとしても、ロープウェイで獅子岩までは来てみる価値はあると思います。
獅子岩からの景色を楽しんだ後は、いよいよ弥山登山に出発です。弥山へは、獅子岩とは反対側に進みます。
登山道の入口に桜が咲いていました。4月の中旬だったのですが、山桜でしょうか。
まずは下り坂。下ってから後ほど登るコースですね。歩きやすい登山道です。
下り坂もそんなに急ではありません。
手つかずの自然が残る弥山は、「弥山原始林」として世界的な植物学者にも感動を与えたそうです。そんな説明書きがありました。弥山原始林は平成8年に世界遺産にも指定されているそうです。知らなかった…。
多様性豊かな弥山の自然は、「奇跡の自然」とも呼ばれているそうです。
弥山山頂まで0.7kmという案内を過ぎて、上り坂に突入します。
弥山登山は、その道のりの景色も素晴らしいです。突然瀬戸内海が顔を出したりもします。
ところどころに大きな岩も。
歩き始めて20分ほどでしょうか。小さめの建物が見えてきます。登山開始から最初に出会う建物です。
こちらが閼伽井堂(あかいどう)です。獅子岩と弥山本堂の間にあり、弥山本堂に近い場所かと思われます。
閼伽井堂は不動明王をご本尊とするお堂で、中には井戸があるとのこと。弘法大師が求聞持秘法を習得する際に、この井戸の水を使ったといわれています。参拝させて頂きます。
閼伽井堂から大きな木の脇を通り、さらに上を目指します。
しばらく歩いて行きますと、上の方から人の声など聞こえてきまして、見上げるとお堂がありました。どうやら弥山本堂のようです。あと一息です。
大きな岩の先に、別のお堂も見えてきます。
石像や赤い帽子を被ったお地蔵さんの姿も。
坂を登り切りますと、そこはとっても開けた空間になっていました。
左に弥山本堂です。登山をしている皆さんは、一様にこちらで休憩をしている感じですね。ほとんどが外国人の方です。
右が霊火堂です。弥山本堂とは向かい合って建っているんですね。霊火堂については、別途記事にしています。
弥山本堂に向かって左手にも、石像やお地蔵さんがいらっしゃる一角がありました。手を合わせます。僕たちは、この後方から登って来ました。
弥山本堂の前へと進みます。堂舎は昭和30年に再建されたものとのことです。左には顔出しパネル、右には鐘のような大きなお鈴(おりん)も見えます。
扁額には「能満諸願大道場」と書かれていまして、こちらは初代総理大臣、伊藤博文の直筆のものとのこと。
参拝します。写真の左側、お堂の中央には金色の虚空蔵菩薩像。脇には不動明王と毘沙門天が祀られています。写真の右奥に見えるのは愛染明王です。鐘は平宗盛が寄進した梵鐘で、平安時代のものです。
参拝を終え、境内を散策してみます。堂舎の左手前には、小さなお地蔵さんがたくさん置かれていました。こちらは「がい地蔵・ごめんね地蔵」との説明があり、願いや懺悔の気持ちが託されたお地蔵様とのこと。
お堂を振り返りますと、本堂を背にして右手の方はこんな感じです。奥に登っていく石段が、山頂へと続いています。写真には写っていませんが、石段の左手には霊火堂があります。
こちらは本堂を右斜め手前から。立派な建物です。
霊火堂のお隣に、お守りや御朱印の授与所があります。ラムネなども売ってます。無人でセルフサービスの形式でした。
書き置きの御朱印を頂きます。常に無人なのかどうかはわからなかったのですが、御朱印やお守りを頂きたい方は、小銭を用意して行った方が間違いないかと思います。(追記:常に無人というわけではなく、御朱印も基本的には書いて頂けるようです。コメント欄にて情報頂きました。)
弥山本堂の右手を下ったところに、弥山七不思議のひとつといわれる「錫杖の梅(しゃくじょうのうめ)」がありました。嫁がトイレに行く途中に見つけました。この奥がトイレです。
錫杖の梅は、弘法大師が立てかけた杖が根を張って、梅の木になったものといわれています。山に不吉な兆しがあると花が咲かないそうです。もう梅の時期は過ぎているかと思うのですが、まだ少し花が残っていました。今年は不吉な兆しはなさそうですね。
弥山本堂の前にて、しばらくのんびりした時間を過ごさせて頂きました。
参拝を終えて
獅子岩駅から弥山本堂までは、25~30分くらいだったかと思います。
まず、獅子岩からの眺めが素晴らしかった。
前回、雨の中獅子岩までロープウェイで来たときには、本気で視界がほぼゼロでしたので、景色など何一つ見えなかったので。
こんなに素晴らしい景色が広がっていたとは。
やっぱり山は晴れた日がいいですね。
獅子岩駅から歩き始めると、最初は下りで途中から上りに変わります。場所によってはそこそこ急だったりもするのですが、歩きやすい道です。天気もいいですし、山の中を歩くのは気持ちいいです。
大きな岩が至るところにあったり、瀬戸内海が眼下に広がる景色が現れたり、素敵な登山道でした。
この日は平日でしたので、漠然とですが、弥山まで登る人はそんなに多くないのでは?なんて勝手に思ってました。
ところがどっこい。登山道には大勢の人の姿です。
渋滞するほどではありませんが、平日にしては多いのではないかと思います。しかも、そのほとんどが欧米系の外国人の方々です。おそらく8割~9割が外国人の方で、日本人は圧倒的に少なかったのではないかと。
厳島神社をはじめ、宮島自体外国人の方がかなり多くは感じたのですが、弥山はさらにその割合が増します。
後から知ったのですが、「弥山展望台からの眺望」が、ミシュランのグリーンガイド(ミシュランの観光バージョン)で三ツ星を獲得しているとのことで、おそらくそういうった要因もあって、欧米人の方が弥山にもかなり登っていたのではないかと思われます。
僕も獅子岩から弥山を歩き始めてすぐ、その道のりや景色の素晴らしさを実感しました。まさに神の山を歩いているような感じでした。
そんな素敵な道のりを経て辿り着いた弥山本堂。
多くの人が休憩していましたので、それなりに賑やかではありましたが、時間を掛けて参拝させて頂きました。
平宗盛が寄進したという平安時代の梵鐘も見ることができましたし、手前には1回500円で鳴らすことができるお鈴(おりん)がありまして、嫁と二人で鳴らせさせて頂きました。いい音でした。
また、弥山の七不思議の一つと言われている「錫杖の梅」も見ることができました。嫁がトイレに向かう途中で見つけまして、トイレに行っていなかったら危うく見逃すところでした。まだ梅の花が少し残っていて、いいものが見れました。
御朱印も書き置きのものを頂くことができましたし、まずは弥山にて訪れたかった場所の一つに、無事参拝することが叶いました。
一つ心残りは、弥山本堂まで向かう途中にあった「閼伽井堂」というお堂に関してです。手は合わさせて頂いたのですが、どうやら扉の中には井戸があるのが見えたようで、完全に見逃してしまいました。もっとちゃんと事前に知識を仕入れておけばよかったのに、井戸があることを知らないまま訪れてしまって…後悔先に立たずですね。
しっかりと教訓にしたいです。ちゃんと調べてから行かないと、本当にもったいないです。
そんな反省もありつつではありますが、まずは弥山本堂、しっかりと参拝できてよかったです。
続いては、同じく僕たちが行きたかった場所の一つで、弥山七不思議の一つである「消えずの霊火」がある、本堂向かいの霊火堂へと向かいます。
御朱印
こちらが弥山本堂の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、8時から17時までです。霊火堂脇の授与所にて頂くことができます。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は広島県廿日市市宮島町弥山です。
弥山本堂の公式サイトはありません。大聖院の公式サイト内に、詳しい登山案内があります。
https://galilei.ne.jp/daisyoin/pdf/map.pdf
所要時間
宮島ロープウェイ「獅子岩駅」からですと、徒歩25~30分です。そこまで険しい道ではありませんが、靴や服装は登山に適したもので行かれた方がよいです。
ロープウェイを使わずに下から登る場合、どのコースから歩いても2時間前後だと思います。
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宮島の神社仏閣巡り
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