箱根町にある九頭龍神社の参拝レポートです。
読み方は「くずりゅうじんじゃ」です。かつて芦ノ湖に棲んでいたという龍をお祀りする神社で、芦ノ湖に面した九頭龍の森の中に鎮座しています。箱根のパワースポットとしても知られています。箱根神社、箱根元宮とともに、箱根三社の一社にも数えられています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
箱根の「九頭龍神社」へ
この日は嫁と二人での箱根旅行2日目です。1泊2日の温泉旅行でして、初日には、深沢銭洗弁財天、箱根神社、箱根元宮(駒ヶ岳山頂)と3ヶ所の神社巡りをしました。
今回は完全に神社巡り主体の温泉旅行です。
箱根にはこれまでも何度か訪れているのですが、これだけひたすら神社を回る箱根旅行は初めてです。
そして、今回の旅行での、僕たち夫婦の大きな目的の一つが、こちらの記事で紹介する九頭龍神社の本宮です。
九頭龍神社の本宮には、7~8年前に一度だけ訪れています。
そのときは桃源台から山の中をひたすら歩き、参拝しました。季節は1月でして、道には雪が積もっていたり、凍っている場所もたくさんあり、なかなかに大変な道のりだったことを覚えています。時間もかなり掛かりました。
しかしです。
この九頭龍神社へと向かう山道が、素晴らしかったんです。
誰一人いない静寂の森の中は、空気が澄み切っていました。
九頭龍の森と呼ばれる森の一部なのだとは思いますが、ものすごく神聖な印象を受けました。
特に、途中に杉林がありまして、そこの空気が凄かったんです。張り詰めていて、通ってよいものなのかどうか少々躊躇するほどでした。
雪も積もっていますし、上り下りも激しいですし、距離も長いので、そんなところを歩いているのは僕と嫁しかおらず、だんだん不安になったのも覚えています。
そんな九頭龍神社への道のりが素晴らしかったので、嫁と「またいつか行きたい」という話は、ちょいちょい出ていました。
そして、その「いつか」をこのたび決行することにしたわけです。
前回は冬でしたが、今回は夏です。冬ですと雪の具合次第では歩けなくなってしまう可能性もありましたので、夏の時期を選びました。夏といっても、だいぶ涼しくなった9月の下旬で、秋に近い季節です。
朝イチで桃源台方面から九頭龍の森に入りたかったので、宿もその近くの姥子(うばこ)温泉に取りました。
姥子温泉は初めてだったのですが、とってもいいお湯でして、温泉も堪能させて頂きました。
温泉で前日の疲れを癒し、九頭龍神社に向け準備万端の僕たちだったのですが…当日に大きな問題が発生します。
それは、天気です。
元々この日は夕方から雨の予報でしたので、午前中に九頭龍神社を回ってしまえば支障はないと思っていたんです。
ところが当日の朝起きて天気予報を見ますと、なんと朝から雨。どうやら外も既に小雨が降っているようです。
けっこうな距離を歩きますので、できれば雨は避けたかったのですが、こればかりはどうしようもありません。
嫁のテンションもあからさまに下がります。
しかしそこはプラス思考が重要です。こうなったら雨の九頭龍を楽しもうじゃないかと。
無理やりにでもそんなふうに気持ちを切り替え、宿を出発。
いざ、雨の九頭龍神社を目指します。
ご由緒
ご祭神は、水の力を司るとされる、九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)です。芦ノ湖の守護神でもあります。
創建は奈良時代で、現在の箱根神社が開かれたのと同時期になります。
奈良時代以前、現在の芦ノ湖は万字ヶ池と呼ばれていて、湖には一つの尾に九つの頭を持つ毒龍が棲んでいました。毒龍は大波を起こすなどして人々を苦しめていたため、それを鎮めるため、毎年若い娘が人身御供(生贄)として毒龍に捧げられるようになったそうです。
それを知った箱根神社を創建した万巻上人が、法力により毒龍を退治し説き伏せ、もう二度と悪さはしないと誓わせ、地域一帯の守り神となることを約束させました。そして、その約束が堅いことを知った万巻上人が、毒龍を九頭龍大神として芦ノ湖のほとりに祀ったのが、九頭龍神社のはじまりです。
本宮が気軽に参拝できない場所に鎮座しているため、平成11年には箱根神社の境内に新宮が建立され、より多くの人が参拝できるようになりました。
かつて人身御供をしていた代わりに、現在でも芦ノ湖の湖水祭では、赤飯が湖に捧げられています。赤飯の入ったお櫃(ひつ)を船に載せ湖底に沈め、お櫃が浮かび上がると龍神がお供えを受け入れなかったとされ、災いが起こるといわれています。関東大震災が起きた大正12年には、このお櫃が浮き上がったことから、湖水祭が知られるようにもなったそうです。
九頭龍の森(旧箱根樹木園)の中に鎮座し、水の神様としてだけではなく、縁結びや商売繁盛の御利益でも知られています。
九頭龍の森には、同じく龍を祀った白龍神社もあります。
古くから箱根神社とともに、厚く崇敬されてる神社です。
境内案内
こちらが湖尻ターミナルです。九頭龍神社へと続く遊歩道は、ここがスタート地点です。
遊歩道の入口には大きな木。思わず立ち止まってしまいます。
いざ、九頭龍神社を目指し出発です。九頭龍神社まで2.0kmとの案内も出ていました。
この道は「神山通り」とも「箱根九頭龍の森セラピーロード」とも名前がついてるみたいですね。
森の中を進みます。聞こえるのは雨の音だけです。
いたるところに大きな木が聳えています。右手には芦ノ湖が見えます。
坂を上ったり下ったり。人の気配は全くありません。
途中、金色に光っているかのようにひときわ目立つ、ヒメシャラの木がたくさん茂っている場所もありました。
そして、この杉林が凄かったです。神域に足を踏み入れてしまったような感覚になります。
杉林の途中、左手には石碑と看板がありました。どうやらここは駒ヶ岳や神山に向かう登山道の入口にもなっているようです。
杉林の先には川が流れています。水の音が心地よいです。
しばらく歩くと、上に歩道橋。この歩道橋は、九頭龍神社のある九頭龍の森と繋がっているものだと思われます。
湖尻から歩くこと35分。九頭龍神社の入口に到着です。ここを右に曲がると九頭龍神社、真っ直ぐ進むと箱根園です。
正面の建物が九頭龍の森への入口です。
左下に見える白い鳥居と社は、白龍神社です。
九頭龍の森に入るには入園料が必要です。大人500円、子供250円。嫁と二人分を払い入園します。
入口の建物を抜けると、開けた景色が目に飛び込んできます。右手にはコテージも。
左が芦ノ湖です。九頭龍神社にはこちらに進みます。
左手に白龍神社への入口がありましたが、後ほど参拝させて頂きます。まずは九頭龍神社へと向かうため、芦ノ湖へと続く桟橋門をくぐります。
門をくぐり芦ノ湖を左手に見ながら進みます。途中、九頭龍の森の案内図がありました。
気持ちのいい遊歩道が続いています。
芦ノ湖の波の音を聴きながら、歩きます。
5分ほど歩くと、前方に赤い建物が見えてきます。
九頭龍神社に到着です。社殿の右側から近付く形になります。
右手には休憩所があります。
社殿の前へと歩を進めます。こちらは社殿を右斜め前から。
左には九頭龍神社のご由緒です。
社殿からは芦ノ湖の側に石段が延びています。手水鉢や鳥居が下に見えましたので、参拝前にいったん下りてみます。
石段を下ります。社殿側を背にしますと、こんな景色です。鳥居の先には赤い祠があるのも見えます。
白い鳥居を出て芦ノ湖畔まで行ってみますと、湖へと続く桟橋と鳥居がありました。この桟橋が「神山桟橋」です。
船での参拝の際には、こちらの神山桟橋から境内に入る形です。
社殿を背にして真っ直ぐ、湖の中にも少し小さめの赤い鳥居が建っています。
こちらは境内社の弁財天社です。参拝します。
再び社殿へと向かうため、参道を進みます。
改めて、一礼して石鳥居をくぐります。
鳥居の先には石燈籠。
右手に手水鉢です。手水鉢には龍がいます。
お清めをします。龍を正面からよく見ますと、左手の方が右手よりも少し前に出ていて、飛びかかってきそうな姿勢でして、迫力がありました。お顔も少し怖い顔でした。
こちらは、手水鉢の龍越しに見る、九頭龍神社の社殿です。
石段を上ります。
社殿は赤を基調とした建物で、雨の森の中に佇む姿が綺麗です。
静かな雨の音を聞きながら、参拝します。
社殿には龍の彫刻があります。描かれているのは三頭の龍です。
こちらは社殿を左斜め前から。
社殿から左奥へも遊歩道が続いています。こちらから九頭龍の森を一周できるようです。
休憩所の後ろには苔で埋め尽くされた石垣があり、綺麗でした。
雨の境内にてしばらく静かな過ごし、九頭龍神社を後にします。
来た道を戻り、白龍神社にも参拝します。こちらが白龍神社の入口です。
参道の左手には、ひときわ目を惹く植物が。こちらは「アブラチャン」という名前の木です。僕も嫁もその名前にすっかりこの木が気に入ってしまいました。
参道の先には、御神木の切り株です。元はどんな姿だったのか、見てみたくなりますね。
こちらが白龍神社の正面です。参拝させて頂き、九頭龍の森を後にしました。
参拝を終えて
雨の中の九頭龍神社。
もの凄く良かったです。雨にも負けず行ってみてよかったです。
まず、湖尻から九頭龍の森へと続く道が素晴らしかったです。
7~8年振りに同じ道を歩いたわけですが、そのときと同じく誰ともすれ違うこともなく、歩いているのは僕たち夫婦のみで、森はとても静かでした。
幸いにも雨が大降りにならず小雨だったため、木々が雨よけになり、途中から傘も必要ないくらいでした。
静かな雨の音を聞きながら、水をたくさん吸い込んだ森の中を歩くのは、本当に気持ちが良かったです。
歩き始めてすぐの巨木や、前回から強く印象に残っていた杉林など、思わず足を止めてしまう場所もいくつかありました。
神聖な場所を歩かせて頂いた気分です。
森を歩いているだけで、自分が浄化されたような感覚にもなりました。
九頭龍神社の入口である九頭龍の森(旧箱根樹木園)までは35分ほどで到着しました。森の空気を楽しみながらのハイキングでしたので、けっこうあっと言う間に着いてしまった気がします。
上り下りもけっこうあったはずなのですが、疲れたな~とも特に思いませんでした。
九頭龍の森の入口から九頭龍神社の社殿までは、5分ほどです。
森の中は綺麗に整備されていて、こちらも歩くのには気持ちのいい場所でした。芦ノ湖に面していて、打ち寄せる波の音も心地よいです。
木々にはところどころ、名前を紹介するカードが掛けられていまして、気になっていた木の名前など知ることもできました。
森の中を歩いていたときから、金色のツルツルした木を何本も見掛けていて、何の木なんだろう?と嫁と話していたんです。そちらは「ヒメシャラ」というツバキ科の木でした。
あとは、「アブラチャン」というのがとっても記憶に残っています。まず名前が好みだったんですけどね。
木全体に油が多いことに由来している名前とのことですが、このアブラチャンがけっこう存在感がありまして、密集している様は目を惹きました。
芦ノ湖の波の音や木々の名前を勉強しながら歩いていますと、九頭龍神社にもあっと言う間に到着です。
実際に境内を散策してみて、7~8年前に訪れた際の記憶が蘇ります。
芦ノ湖に面した鳥居、手水鉢のかっこいい龍、赤い社殿と龍の彫刻、境内社の弁財天社。
境内が広いわけではないのですが、雨の中、ゆっくりと散策させて頂き、とても素敵な時間を過ごすことができました。
九頭龍神社には、船で芦ノ湖からも参拝できるようですので、今度はそういうルートでも改めて訪れてみたいです。
帰り道には白龍神社にもしっかり参拝させて頂きました。
以前来た際には、ここから箱根園まで歩くというコースで帰ったのですが、今回は元来た道を引き返すことにしました。桃源台からロープウェイに乗りたかったので。
ちなみにですが、九頭龍の森の受付のおばちゃんに、徒歩での所要時間を確認したところ、箱根園からですと【15分】、湖尻からですと【30分】とのことです。しかも箱根園からの方が歩きやすい道のりとのこと。九頭龍神社へは、間違いなく箱根園から歩いた方が楽みたいです。
しかし僕も嫁も、やっぱりどっちの道が好きかと言われたら、湖尻からの30分掛けて歩く道の方が好きです。
歩くのが苦ではない方には、是非湖尻からのコースをお勧めしたいです。
また、湖尻からも箱根園からも、レンタサイクルという便利な手段もあります。個人的にはやっぱり徒歩が一番ですけれど。
天気の方も、大雨だったら話は別ですが、小雨くらいだったらむしろ、晴れた日よりも森の中を歩くのは気持ちいいかもしれません。晴れるに越したことはないですけどね。
雨の九頭龍を後にした僕たちは、再び森の中を歩き、無事に桃源台まで到着です。
そこからはロープウェイ、ケーブルカー、登山鉄道を乗り継ぎ、湯本まで戻ってきました。箱根フリーパスをフル活用です。
本当は湯本にてあと一ヶ所、玉簾神社という神社に訪れる予定だったのですが、雨がかなり激しくなってしまったので、今回は諦めました。
湯本にて自然薯の蕎麦を食べ、箱根を後にします。
一泊二日の箱根旅行。今回は神社巡りが中心ではありましたが、とても良い旅になりました。
今回行けなかった玉簾神社をはじめ、箱根ではまだまだ行きたいところがありますので、またいつか遊びに行こうと思います。
いい神社巡りができました。
御朱印
こちらが九頭龍神社の御朱印です。
御朱印の受付時間
九頭龍神社の御朱印は、箱根神社の札所にて頂くことができます。受付時間は、9時から16時までです。また、九頭龍の森の開園時間は9時から17時までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は神奈川県足柄下郡箱根町元箱根 箱根九頭龍の森です。
九頭龍神社の公式サイトはこちらです。(箱根神社サイト内)
http://hakonejinja.or.jp/02-contents/02-main/08-keigai-jinja/03-contents/03-kuzuryuu/02%20%20kuzuryuu.html
九頭龍神社への詳しいアクセスは、以下の記事で紹介していますので、よろしければ参考にしてみてください。
電車
箱根園から徒歩15~20分、湖尻ターミナルから徒歩30~35分、桃源台駅から徒歩35~40分です。
湯本から箱根園には、箱根登山バスor伊豆箱根バスが一番早いです。桃源台へは箱根ロープウェイという手段があります。
箱根園、湖尻ではそれぞれ電動アシスト付きのレンタサイクルもありますので、自転車ですと上記徒歩での時間の半分以上は短縮できるかと思われます。
九頭龍神社は九頭龍の森の中にあり、九頭龍の森に入るには大人一人500円が必要です。
船
毎月13日の月次祭では、遊覧船で行くことができます。詳しくは下記芦ノ湖遊覧船のHPをご覧ください。
http://www.izuhakone.co.jp/hakone-yuransen/3747/index.html/
また、少々お値段は高めになりますが、箱根園・元箱根・湖尻・箱根町よりモーターボートで連れて行って頂くことも可能です。
駐車場
九頭龍の森には車で入ることができません。入口まで行くこともできません。箱根園や湖尻ターミナルに駐車し、徒歩かレンタサイクルか船で向かう形になります。箱根園、湖尻には駐車場があります。
周辺のパワースポット
箱根町の神社一覧
僕が参拝した箱根町の神社一覧です。
箱根の神社巡り
箱根三社を中心とした箱根の神社巡りについては、こちらの記事でまとめてあります。