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金王八幡宮(渋谷区)の御朱印と見どころ

金王八幡宮の紹介

渋谷区にある金王八幡宮の参拝レポートです。

読み方は「こんのうはちまんぐう」です。境内の金王桜は、江戸三名桜の一つに数えられています。神門と総漆塗りの社殿は、三代将軍家光の乳母である春日局による造営とも伝いわれています。最寄駅は各線の渋谷駅になります。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

渋谷の「金王八幡宮」へ

以前このブログのコメント欄にて、「渋谷の金王八幡宮がお勧めですよ」というコメントを頂きました。「金王桜という綺麗な桜も見どころ」だとも教えて頂きました。

金王八幡宮は渋谷駅からも近くにある神社です。僕は名前だけは認識していましたが、一度も訪れたことがありませんでしたので、コメントをきっかけに興味を持ち、いつか行ってみようと思っていました。

また、その後『天地明察』という小説を読んだ際にも、重要な場所として登場した神社でして、さらに行ってみたくなっていました。

そんな中、8月の下旬に、嫁と二人で渋谷駅周辺の神社巡りを決行し、金王八幡宮にもついに参拝することに。

桜がお勧めだと教えて頂きながら、桜の時期とは全く関係のない8月に行ってしまったんですけどね。

この日は渋谷駅周辺の神社を全部で9ヶ所回る予定で出掛けてきました。

気温が35度近い猛暑日でしたので、体力的にはけっこうしんどい神社巡りではありますが、熱中症対策も万全にして、朝から渋谷に降り立ちます。

前日にこの日立ち寄る神社をピックアップし、ルートなどもある程度決めておりまして、金王八幡宮は4ヶ所目に訪れる予定でした。

しかしです。

うっかり3ヶ所目で訪れてしまいました。

金王八幡宮のお隣には豊栄稲荷神社がありまして、事前に調べましたところ、そちらの御朱印が金王八幡宮の授与所で頂けるみたいなんです。

「御朱印は参拝後に頂くものだ」と僕も嫁も考えておりますので、まず豊栄稲荷神社に参拝し、その次にお隣の金王八幡宮に参拝し、二つの神社の御朱印を頂くのが一番良い形かと。

この日最初に訪れた神社は、明治通り沿いの恵比寿寄りにある商和稲荷神社です。二番目はそこからすぐ近くの渋谷氷川神社。そして三番目に豊栄稲荷神社、四番目に金王八幡宮という予定だったんです。

渋谷氷川神社への参拝を終え境内を後にし、三ヶ所目に予定していた豊栄稲荷神社を目指します。

地図を確認しつつ歩いて行きますと、車道を跨ぐ形で大きな黒い鳥居が姿を現しました。金王八幡宮の鳥居です。

僕たちはそんな鳥居の姿にテンションが上がり、ついついそのまま参道の先、金王八幡宮へと入って行ってしまったんです。完全に無の状態で、豊栄稲荷のこともすっかり失念してしまい…。

そんなわけで、この日三ヶ所目の神社が、豊栄稲荷神社ではなく、金王八幡宮へと変更になりました。

結局順番を誤ったことに気付いたのは、御朱印を頂く際にです。

僕も嫁も、完全に豊栄稲荷神社のことを忘れたまま、金王八幡宮への境内へと足を踏み入れます。

 

ご由緒

ご祭神は、武神である八幡神と同一とされる、応神天皇(おうじんてんのう)です。誉田別尊(ほむたわけのみこと)などとも称されます。

総本社は大分県の宇佐市にある宇佐神宮です。

金王八幡宮の創建は、平安時代の中期です。

後三年役という戦の際に、源義家のもとに300騎余を従え一番で参向し、武功をあげた河崎基家という武将がいました。彼は氏族である渋谷氏の祖となった人物です。

義家は戦の勝利は河崎基家の崇敬していた八幡神のご加護だと考え、現在の渋谷の地にあった渋谷城内に八幡神を勧請し、創建しました。

基家の子である重家は、堀河天皇より渋谷の姓を賜り、これが渋谷という地名の発祥といわれています。

重家は子供ができずに夫婦で八幡宮に祈願していたところ、金剛夜叉明王が妻の胎内に宿る夢を見たそうです。その後男子を授かり、金剛夜叉明王の化身として金王丸と名付けられました。金王丸は源義朝、頼朝に仕え、武勇に優れその名を轟かせたことから、いつしか社名も金王八幡宮と呼ばれるようになったそうです。

境内にある金王桜は、源頼朝が金王丸の誠忠を偲び、そう名付けて植えたものだといわれています。江戸三名桜の一つに数えられています。

江戸時代には将軍家から信仰を得て、神門と総漆塗りの社殿は、三代将軍家光の乳母である春日局による造営とも伝えられています。当時は渋谷八幡と称され、江戸八所八幡の一つにも数えられていました。

渋谷の歴史とも深く関わりがあり、現在も厚く崇敬されている神社です。

 

境内案内

こちらが、金王八幡宮へと続く最初の鳥居です。道路をまたいで建っている大きな鳥居です。車が来ないのを確認して、一礼してくぐります。

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道路の左側には神輿庫がありました。

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参道を進むと、木々の緑に挟まれた金王八幡宮の入口です。

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石段の上には二之鳥居、その先には門も見えます。

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石段を上がった左手に、ご由緒などが書かれていました。

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一礼して鳥居をくぐります。

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鳥居の先、右手には日露戦争の戦没記念碑がありました。書いたのは乃木希典大将との説明書きもありました。

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境内には緑も多く気持ちいいです。

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鳥居の先には赤い神門です。春日局によって造営されたともいわれている門です。

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門の左手はこんな感じで続いています。

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一礼して門をくぐりますと、参道の先に社殿です。

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右手にかなり古いかと思われる御神木です。

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てっきりこの御神木が金王桜かと思ってしまったのですが、桜ではなくシイノキでした。

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左手に手水舎です。

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お清めをします。

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手水鉢の龍がかっこよかったので、接写。

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手水舎の奥には境内社が二つありましたので、後ほど行ってみます。

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参道に戻り、拝殿へと進みます。

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左の境内社の先に神楽殿です。

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右手には社務所。境内は広々としています。

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拝殿は赤を基調とした建物で、綺麗です。

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拝殿前には狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。

金王八幡宮の左の狛犬

 

こちらが右の狛犬さんです。どちらも優しそうなお顔をしています。

金王八幡宮の右の狛犬

 

右の狛犬さんの後ろには、稲が植えてあり、隣りにはかかしもいました。

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拝殿の右手に立派な桜の木です。こちらが金王桜ですね。

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拝殿は赤に金が施され、煌びやかな印象を受けます。

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正面に金の龍です。思わず見入ってしまいます。

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左奥には躍動感のある虎です。

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虎と対象の位置、右奥には獏(バク)です。最初は麒麟か象に見えたのですが、獏でした。

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しばらく彫刻を眺めてから、参拝させて頂きます。

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参拝を終え境内の散策へ。拝殿を振り返るとこんな感じです。夏の濃い緑が綺麗です。

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拝殿の左手前には、かつてこの辺りにあったという、渋谷城の砦の石が置かれていました。

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社殿を左斜め前から。

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さらに左には、西側の参道と鳥居がありました。境内にはそちらからでも出入りできます。

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拝殿の右手側に行ってみます。木の奥の建物は社務所です。

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こちらが江戸三名桜の一つと言われる、金王桜です。夏なので花はもちろん咲いていませんが。

夏の金王桜

 

脇には金王桜の説明もありました。源頼朝がこの場所に移植したといわれているんですね。

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金王桜の右には松尾芭蕉の句碑です。

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さらにその右には、真ん中の窪んだ石がありました。手水石に使われていたものでしょうか。

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境内社に参拝します。まずは神楽殿の手前にあるお稲荷さんへ。社名は玉造稲荷神社でした。

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次に、お隣の御嶽神社へ。境内社のすぐ脇にあった境内社です。

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御嶽神社前の狛犬さんが可愛かったです。

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境内の右手、社務所の手前には大きなクスノキと石碑がありました。

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拝殿に向かい、境内の右後ろにあたる場所に、もう一つ境内社が見えましたので、行ってみます。

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こちらの境内社は、金王丸御影堂と書かれていました。この中には、金王丸が自分の姿を彫刻した木像が納められているそうです。

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こちらは金王丸御影堂の前にいた狛犬さんです。

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金王丸御影堂の辺りから社殿の方を見ますと、こんな景色です。緑の中の赤が映えています。

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一通り境内を散策し、授与所にて御朱印を頂きました。

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授与所のお隣に宝物館がありまして、拝観自由と書かれていましたので、中に入ってみます。

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宝物館の中には、御神輿や扁額など、歴史を感じる古いものが展示されていました。

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こちらの扁額は、八幡宮の「八」の字が、八幡様では神の使いとされる鳩になっています。

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宝物館を出て、西側の参道より、金王八幡宮を後にしました。そちらの鳥居の脇にもご由緒が書かれたものがありました。

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参拝を終えて

金王八幡宮は、赤と金の社殿が印象的な、素敵な神社でした。

渋谷駅からは徒歩5分という立地ですし、周囲には高層ビルがあちこちに聳えています。そんな場所に、こんな神社があったんですね。

大きな黒い鳥居をくぐり参道を進むと、石段の上には神門があります。春日局により造営されたとも言われている赤い神門です。

そして神門をくぐったすぐ右手に、大きくて古い木があるんです。木に関してそんなに知識を持ち合わせていない僕は、一見してその木を「金王桜」だと思ってしまい、勝手にテンションが上がり、しきりに隣にいる嫁に「これが有名な金王桜だよ、やっぱすげーよね」と。

大きな桜だな~と見上げ感心していますと、嫁が一言。

「これ、桜じゃないよ」。

嫁が指を差した先には「保存樹 シイノキ」と書かれた札が…。桜じゃなくて椎でした。馬鹿でした。お恥ずかしい。

金王桜は社殿の脇にある木でした。早まりました。

とは言え、椎の木も見事だったのは変わりません。

金王桜の方は、とても立派な桜の木ではあるのですが、やっぱり花が咲いた状態を見てみたくなるものですね。当たり前かもしれませんけれど。

金王桜は江戸三名桜の一つとのことですが、あと二つは、文京区にある白山神社の「旗桜」と、新宿にある円照寺の「右衛門桜」とのことです。

僕は白山神社の方は、葉桜になってしまった頃ですが訪れたことがあります。

金王桜も含め、満開の時期に三名桜を全て回ってみたいですね。

金王八幡宮で僕が今回一番印象に残ったのは、社殿です。

赤を貴重とした建物に、前面の一部が金色で彩られ、龍や虎の彫刻が施されています。

最初、四神の彫刻なのかな?と思ったのですが、中央が龍、左が虎、右は獏(バク)でした。これらの彫刻が色鮮やかで素敵でした。

桜の季節には、この社殿と金王桜が隣り合う姿が、素晴らしくないはずはありません。

また、境内には渋谷城の砦の石が置かれていて、この地に渋谷城なるお城があったということも初めて知りました。現在の渋谷警察署、ヒカリエ、クロスタワーなどを含む一帯にあったそうです。

きっとその当時は、今の渋谷からは想像もつかない景色が広がっていたんでしょうね。

渋谷城のこと、渋谷という地名のこと、金王丸のこと。

何かと今回の参拝で、勉強になることが多かったです。

境内社の金王丸御影堂には、金王丸が自分の姿を彫刻し母に遺したという木像が納められていて、三月の最終土曜日には御開帳されているようです。金王丸が所持していた毒蛇長太刀という刀も、八幡宮に保存されているとのことで、そちらもどんな刀なのか気になります。

境内を一通り散策したあと、社務所の脇にあった宝物館が見学自由になっていたので入ってみたところ、中には大きな御神輿が二基と、歴史を感じる古い品々が展示されていました。本当はもっとじっくり見たかったのですが、あまりの暑さに危険を感じ早々に出てしまいまして、それが少々心残りです。

そして、最後に御朱印を頂く際にようやく気付きました。

先に豊栄稲荷神社に参拝してから金王八幡宮に来る予定だったのに、豊栄稲荷をすっ飛ばしてしまったことを…。

本来御朱印というのは、参拝した後に頂くものです。ですので順番としては、豊栄稲荷にちゃんと参拝してから、金王八幡宮の授与所にて頂くべきなのですが…。

そこは僕も嫁も「まぁ、いいか」と。

豊栄稲荷にはこの後すぐに参拝するわけですし、先に御朱印頂いてしまってごめんなさい、と謝ろうということで着地しました。

というわけで、授与所では金王八幡宮と豊栄稲荷神社、二つの御朱印を頂き、さっそくお隣の豊栄稲荷に向かいます。

 

御朱印

こちらが金王八幡宮の御朱印です。

金王八幡宮の御朱印

 

御朱印の受付時間

御朱印と御守りを頂ける時間は、9時30分から16時30分までです。

金王八幡宮では、向かいにある豊栄稲荷神社の御朱印も頂くことができます。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は東京都渋谷区渋谷3-5-12です。

金王八幡宮の公式サイトはこちらです。
http://www.geocities.jp/ynycr674/

 

電車

各線 「渋谷駅」から徒歩5~7分。

東口方面です。渋谷警察署の脇に出て、渋谷駅を背にして首都高の右側を東に進み、少し先の路地を右折です。

 

駐車場

5台ほど停められる駐車場がありますが、そちらは結婚式やご祈祷の方専用です。参拝者用の駐車場はありません。近くにコインパーキングがいくつかあります。

 

周辺のパワースポット

 

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