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靖国神社にある遊就館。戦争と向き合うことができる場所

遊就館

靖国神社には、遊就館(ゆうしゅうかん)という大きな宝物館が併設されています。

ご祭神である英霊にゆかりの資料を集めた宝物館で、戦争に関する多くの展示物があり、日本人でしたら一度は訪れるべき場所です。

零戦の復元機やカノン砲をなどを間近に見ることもできますし、館内には食堂や売店もあります。

こちらの記事では、そんな遊就館について、著者の私見も交えつつご紹介させて頂きます。

遊就館に行こう

僕はこれまでにも数回、遊就館には訪れていますが、今年の一月に久しぶりに再訪しました。

靖国神社にはちょいちょい参拝しているものの、遊就館にまで足を延ばすことはなかなかなく。行こうと思ったらちょうど休館日だったり、時間がギリギリだったりと、タイミングが合わないこともありました。

また行きたいと思いながらもなかなか行く機会を作れずにいた昨年末。靖国神社から遊就館の招待券が届きました。

僕は一昨年に靖国神社で昇殿参拝というのを行っておりまして、その関係で招待券が送られてきた形です。

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さらに以前の昇殿参拝の際にも招待券を一枚頂いていましたので、我が家には遊就館の招待券が二枚。

これはもう行くしかないと。

そんな流れで、嫁を伴い、靖国神社に参拝させて頂きつつ、久しぶりに遊就館へも行ってみることにしたんです。

以前遊就館を訪れた際の記憶もそれなりには残っていますが、細部までというとなかなか思い出せず。一番しっかりと覚えているのは、やはりゼロ戦でしょうか。

ちょうど最近、百田直樹さんの『永遠のゼロ』を読み返したばかりということもあり、また遊就館にてゼロ戦に再会できるのかと思うと、テンションも上がってしまいます。

そんな、どちらかいいますと気軽な気持ちで遊就館を訪れたのですが…。

実際の遊就館は、やっぱりとっても重たい施設でした。空気も張り詰めています。

重たい、と言う表現が正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも笑って見ていられるような場所ではありません。

遊就館には、戦争に関するたくさんの資料や遺品などが展示されています。零戦もその一部です。

館内はとても広く、全て見て回るのはかなりの時間を要します。じっくり見るのでしたら、下手をすると一日では足りない可能性もあるくらいです。

それくらい中身の詰まった施設なんです。

そして…

遊就館は訪れた人は、おそらく「戦争と向き合う」と言う行為を、自然とすることになると思います。また、「国を守る」ということについても、考えさせられるのではないかと。

少なくとも僕は遊就館にいる間、戦争というものに向き合い続けたことは間違いありません。

遊就館は、今の日本では数少ない、「戦争と向き合うことができる場所」でした。

 

戦争と向き合うことができる場所

僕は現在40歳ですし、当然戦争は経験していません。

僕の両親も戦後生まれですし、戦争と言うものを身近に感じたことはこれまでありません。それは僕に限らず、多くの日本人に共通していることでもあります。

戦争を知る世代はどんどん少なくなっていますし、おそらくその記憶は風化して行く一方です。

普段生活しているうえで、戦争について日常的に考えることもほとんどありません。

もちろん国防に対する意識や、世界情勢については、人並みに勉強はしております。お花畑の理想論を振りかざすことが、いかに意味がないことであるのかもよくわかっております。

最近では北朝鮮情勢が緊迫したものになりますし、中国の脅威も日々大きくなっていますので、戦争について少しリアルに考えた人も多いかとは思いますが、それでもやはり多くの人が「自分には関係のない出来事」だと思っている気がします。

そんな僕達でも、戦争について考える場を提供してもらえる場面はあります。

映画だったり本だったりニュースだったり。そう言ったものから学ぶことはできます。

そしてそれ以上に、「リアルなもの」と言うのは、より心に響きます。例えば、戦争で亡くなった人の遺品や、直筆の遺書。

そこには、僕たちと変わらない一人の人間がいるんです。

そんな誰かの人生を想うことが、何よりも戦争と言うものを深く考える瞬間なのかもしれません。

僕はこれまで、「広島の平和記念資料館」を二度訪れました。隣接する原爆ドームや平和記念公園にも、もちろん訪れています。

平和記念資料館で僕が何よりも印象的だったのは、亡くなった人が実際に着ていた血まみれの衣服が展示されていて、その隣りには本人の写真も並べて展示されていました。いつどこで被爆し、亡くなったのかも書かれています。

胸が詰まり、なんとも言えない気持ちになりました。

他にも、変形してしまった弁当箱だったり、血まみれの靴だったり…忘れられないものがいくつも展示されていました。

広島を訪れた際には、また必ず行こうと思っています。

一方、広島と同じく原爆を投下された長崎。こちらにも長崎原爆資料館と言うのがあるのですが、残念ながら僕はまだ一度も訪れたことがありません。知覧の特攻平和会館も同じくです。

いつか必ず行こうと思います。

そして、今回僕が訪れた靖国神社の遊就館。

こちらは僕の中で、「戦争と向き合う」と言う意味で、広島の平和記念資料館と同じです。

特攻隊員が実際に着ていた服だったり、特攻の前に書いた遺書だったり。

そこには一人一人の人生がありました。

僕は遊就館で、何度も何度も泣きそうになってしまいました。

遊就館は東京の都心にある施設です。しかし、その存在すら知らない日本人が多いのではないかと思うと、大変残念な気持ちにすらなってしまいます。

広島でも長崎でもなく、東京の九段下にこんな場所があるのにって。

広島の平和記念資料館や、長崎の原爆資料館、知覧特攻平和会館と同様に、遊就館は一度は訪れるべき場所なのではないかと、改めて僕はそう感じました。

 

ゼロ戦も見れるしランチもできる

ここまでで、なんとなく遊就館は重たい場所、気軽に行ってはいけない場所、みたいに思われてしまったかもしれません。

僕がそんな感じで書いてしまったんですけどね…。

しかしながら、ゼロ戦も見れますし、ランチできる食堂もありますし、お土産物屋さんもあります。それらは無料で出入りできるエリアにあり、気軽に訪れることができるかと思います。

どうかあまり構えずに、まずは気軽にゼロ戦でも見に行ってもらえればと思います。

きっかけは何でもいいと思いますので。僕自身、最初はゼロ戦が見たくて遊就館に行ったようなものですし。

遊就館の入口はこんな感じです。とても綺麗な建物です。

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入口を入ってすぐのところに、ゼロ戦が展示されています。このゼロ戦は、戦後発見されたいくつかの機のものを使い、復元されたものです。

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ゼロ戦を見れるだけでも、訪れる甲斐があると思います。

東京で、こんなふうに実際のゼロ戦が見れる場所があるんですよ。これ、意外と知ってる人は少ないんじゃないかと思います。

ちなみに、僕の友人や知人などに聞いてみたところ、知ってる人の方が圧倒的に少なかったです。遊就館という施設も含めて。

これはとてももったいない気がします。ですので僕は皆に遊就館を勧めてるんですけどね。

ゼロ戦は、無料エリアでも見れますが、中の有料エリアにも展示されています。近くでじっくり見ることもできますし、他にも魚雷だったり砲弾だったり、実際に戦争で使われた物が色々と展示されています。

お時間がある方は、是非遊就館の中も時間を掛けて見て回ることをお勧めします。

中は重たくて張り詰めた空気がある、と書きましたが、もしかしたら日によっては空気も違うかもしれません。僕たちが訪れたのは平日で、中は人も少なかったので、そのように感じただけの可能性もあります。土日などはもっと多くの人で賑わい、違った空気かもしれません。

おなかが空いたら、食堂もあります。

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ファストフード的な食堂ではありますが、普通に美味しいですし、食欲は満たせるかと思います。

 

また、お土産もかなり充実しています。

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僕の嫁は、こちらで「のらくろの手ぬぐい」を購入してました。

遊就館の中は本当に見るものが多くて、じっくり見ようと思ったら一日でも足りないくらいです。館内では映画の上映などもされています。早足で見たとしても、2~3時間はあっと言う間に過ぎてしまうのではないかと。

なかなか丸一日掛けて、と言うのは大変かもしれませんが、観光気分とかでも全然OKだと思いますので、是非ともまずはゼロ戦でも見に行ってみてください。

 

靖国神社への偏見

遊就館は靖国神社の中にあります。

「靖国神社」と聞いただけで、中には嫌悪感も示す人もいます。反日国家である中国や韓国には政治利用されていますし、国内でも自虐史観から抜け出せない方々は、批判的な意見を持っています。

また、「靖国神社=右翼」だとか、参拝する人は「右よりの思想」だとか、そういった間違ったイメージが広がっていることも否めません。確かに、終戦記念日には右翼団体が参拝したりもしていますので、そういった側面も否定はできない部分もありますけれど。

しかし靖国神社は、日本人にとっては、とてもとても大切な場所です。

靖国神社は、戦争で亡くなった人たちを「英霊」としてお祀りしている神社です。

僕の祖父も戦争で亡くなっています。

たくさんの人たちが、「国を守るために」戦争で命を落としています。その「国」というのは、本当は一人一人が、自分の家族だったり、大切な人だったりを指しているはずです。

亡くなった一人一人に、それぞれの生活があり、人生があり、守りたい人がいたんだろうなって。

そんな人たちの未来に、きっと自分も含め、今生きている大勢の人たちがいるんだと思います。

少なくとも戦争で亡くなったご先祖様たちを大切にすることは、当然の行為です。

靖国神社が国際的に問題になるのは、いわゆる「A級戦犯」と呼ばれる、東京裁判で有罪になった人たちも祀られていることにあります。中国や韓国、日本の左翼などはそれを問題視している形です。

東京裁判を含め、靖国問題については、書くとめちゃめちゃ長くなりそうなので、また別途どこかで書きたいとは思っていますが…。靖国問題からは、戦争を裁くことの難しさや、歴史を裁くことなんてできるのか?という部分にまで話が及んでしまうかと思います。

特定の国から問題視されたり、爆破事件も起きたりなど、何かと話題になることが多い靖国神社ではありますが、純粋に「戦争で亡くなった人たち」を祀っている神社だということを理解していたら、そこを訪れる行為自体が「右翼」だったり「右寄り」だと言う偏見を持つことは、間違った認識だと思います。

靖国神社に参拝するだけでは、そのことをしっかりと認識することは難しいかもしれませんが、遊就館を訪れますと、またかなり違った認識を持つことができる気がします。

拝殿の向こう側には、戦争で命を落とした一人一人の人間がいるんだ、と少なからず実感できるのではないかと僕は思いました。

靖国神社への参拝は、若干こちらの記事と重複する部分もありますが、以下の記事で紹介しています。

靖国神社と、併設している遊就館。

どちらも併せて、一度は訪れてみてください。

今のこの国の平和は、尊い命を犠牲にされた英霊の上にあります。

 

遊就館のアクセスや営業時間

それでは最後に、遊就館へのアクセスや定休日、営業時間などを紹介しておきたいと思います。

アクセス

住所は東京都千代田区九段北3-1-1です。靖国神社の境内に併設されています。

電車

東西線 / 半蔵門線 / 都営新宿線 「九段下駅」1番出口から徒歩5分。

JR総武線 / 有楽町線 / 南北線 / 大江戸線 「飯田橋駅」から徒歩10分。JRなら西口、地下鉄はA2かA5出口です。

JR総武線 / 有楽町線 / 南北線 / 都営新宿線 「市ヶ谷駅」から徒歩10分。地下鉄はA4出口です。

上記のどの駅からでも徒歩圏内ではありますが、一番近いのは九段下駅です。

靖国神社の境内に参拝者用の有料駐車場があります。駐車料金は普通車で1時間400円です。

 

定休日

年中無休ですが、臨時休館日があります。臨時休館日の案内は、公式サイトのトップページに掲載されています。

遊就館の公式サイトはこちらです。
http://yusyukan.yasukuni.jp/

 

開館時間

午前9時~午後4時30分までです。

入館は閉館時間の30分前までとなりますのでご注意ください。

また、元日は午前0時~午後4時30分、7月13日~16日のみたままつり期間中は午前9時~午後9時となっています。

 

拝観料

・大人 …800円
・大学生…500円
・中高生…300円
・小学生…無料

 


以上、本日は靖国神社にある遊就館について書いてみました。

是非一度は足を運んでみてください。