広島市の中区にある白神社の参拝レポートです。
読み方は「しらかみしゃ」です。平和大通りと鯉城通りの交差点付近にある神社で、「しらかみさん」と称され親しまれています。境内には、クスノキ、狛犬、常夜灯など、被爆したものが現在も残されています。最寄駅は広電の袋町駅で、平和記念公園からも近くです。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
広島市の「白神社」へ
嫁と二人、三泊四日で広島旅行に出掛けて来ました。白神社を訪れたのは、その最終日の午前中です。
初日は市内観光をして、二日目と三日目は宮島で過ごし、市内には三日目の夕方に戻ってきました。で、平和記念公園の近くにあるホテルに宿泊です。
前日の夜には、原爆ドームに行ったり、近年できたばかりの「おりづるタワー」に行ったりもしました。
最終日のこの日は、まずは平和記念公園に足を運び、そのまま資料館を見学する予定です。そしてその後、宿泊していたホテルの近くにあった、こちらの記事で紹介する白神社にも立ち寄る計画です。
白神社は、ホテルを予約した時点で、地図上にて見つけました。ホテルのすぐ近くでしたので、宿泊するその足で、せっかくなので参拝してみようと。
事前に少し下調べをしたところ、境内には被爆した狛犬さんなどが残っている神社のようで、興味も沸きました。
僕たちは初日には広島城にある広島護国神社に参拝していますので、白神社は市内で参拝する二つ目の神社ということになります。
市内では他にもいくつか気になる神社はあったのですが、今回は時間的にそこまで回れませんので、白神社が最後です。
お昼過ぎには新幹線に乗る予定でしたので、観光できるのは午前中のみ。早起きをして出掛けます。
重たいリュックはホテルで預かってもらえましたので、身軽になって出発です。まずは平和記念公園へ。
平和記念公園、平和記念資料館、原爆ドーム。どれも僕は今回が三度目になるのですが、訪れるたびに、戦争というものを肌で感じてしまいます。必然的に、戦争と向き合わざるをえない場所なんだと思います。
普段の生活では、なかなか戦争というものと向き合う時間はありません。本だったり映画だったり、そういったもので向き合うことはできますれど、広島の地では、もっと直接的な感じがします。
やっぱりここには、日本人はもちろんですが、世界中の人が来て欲しいと、そう思ってしまいます。
公園内や原爆ドーム周辺を一通り散策した後は、白神社に向かうため、広電に乗って袋町駅へ。
袋町駅のちょうど前辺りには、原爆でも外形が生き残った「旧日本銀行広島支店」の建物があります。
建物の前には、当時の写真や、説明書きもありました。
広島という街は、今でもこんなふうに、戦争を感じることができる建物が、色々なところに残されている街です。
白神社は、旧日本銀行から徒歩1分ほどです。交差点に向かい歩いて行きますと、左手に社殿の側面が見えてきます。
到着です。
ご由緒
ご祭神は、菊理媛神(くくりひめのかみ)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の三柱です。
菊理媛神は、現世と霊界を繋ぐ神様で、天照大御神の伯母でもあります。全国の白山神社に祀られている白山比咩神(しらやまひめのかみ)と同一神とされています。
伊弉諾尊は日本神話の男神、伊弉冉尊は日本神話の女神です。二神は夫婦でもあり、天照大御神や素戔男尊など多くの子を作った夫婦神です。
白神社の創建の年代は不明です。かつてこの辺り一帯は海で、現在神社のある場所は、海面から岩礁が突き出ていて、船が衝突する事故が絶えなかったそうです。そこで事故を防止するため。岩礁の上に白い紙が立てられました。やがて、船の安全な運航に貢献した白紙に代わる守り神として、その場所に祠が建てられたのが、白神社の始まりと考えられています。祠は白紙にちなみ、白神(しらかみ)と称されました。
安土桃山時代には、毛利輝元により新しい社殿が建立されています。その後は、広島城下の総産土神として発展しました。
昭和20年には原爆により焼失してしまいます。それまでは広い境内を有していましたが、戦後の道路整備などにより、規模を縮小して再建されています。
社殿の後ろには、かつて海だった頃の岩礁が残されていて、「白神社の岩礁」として、市指定史跡と天然記念物にも指定されています。
また、境内には、クスノキ、狛犬、常夜灯など、被爆したものが現在も残されています。
古くより「しらかみさん」と呼ばれ、人々から親しまれている神社です。
境内案内
鯉城通りを平和通り方面に歩いて行きますと、交差点の手前、左手に白神社の境内が現れます。こちら側からでも境内には入れるようです。
正面に回ります。こちらが白神社の入口になります。
右手前に御由緒書きがありましたので、目を通します。
鳥居の手前には注連縄が掛けられています。一礼してくぐり、境内へ。
すぐ右手が手水舎です。手水舎にも注連縄が掛けられています。
お清めをします。手水舎にはかっこいい龍がいました。
参道に戻ります。鳥居の両脇に狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。怪獣のようなお顔をしていますが、可愛らしくもある狛犬さんです。
こちらが右の狛犬さん。左右両方とも玉に乗っています。どちらも被爆した狛犬さんとのことです。爆心地から近かったにも関わらず、こうして残っているんですね。
一礼して石鳥居をくぐります。
右手には授与所がありますが、閉まっています。
拝殿へと進み、正面に立ちます。階段の両脇に、二対目の狛犬さんがいます。
社殿は少し高い位置にありますので、高さがある分、大きな建物に感じます。
こちらは階段脇、左手の狛犬さん。一対目とはまた違った容姿で、愛嬌のある顔立ちの狛犬さんです。
こちらが右の狛犬さん。左右どちらも一対目と同様に、被爆した狛犬さんたちです。
こちらは狛犬さんたちの後ろ姿です。黒くなっていたり、ところどころ剥げていたりするのは、原爆の影響なのかもしれません。
拝殿へと続く階段を上ります。
参拝させて頂きます。鈴を鳴らしたところ、神職の方が中から現れ、お祓いをしてくださいました。これは初めてのパターンです。
参拝を終え、境内を散策してみます。こちらは拝殿を振り返った景色です。
参道にあった授与所は閉まっていましたが、拝殿の左手が開いていまして、授与所になっていました。こちらで御朱印も頂きました。その際に、白神社の戦時中のお話なども聞かせて頂きました。
社殿の右奥に、赤い鳥居の連なる境内社がありましたので、行ってみます。
境内社は常盤稲荷神社です。一礼して鳥居をくぐります。
鳥居の先には狛犬さんがいらっしゃいました。白神社にて対面する、三対目になります。こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも玉に乗っています。おそらくこの狛犬さんたちも、被爆して生き残ったものだと思います。
こちらが常盤稲荷神社の祠です。岩の上に載っているような造りですね。後方にも岩が積み重なっているのが見えます。かつてこの辺りが海だった頃からあるという、岩礁です。参拝させて頂きます。
岩礁の上には、クスノキも聳えていました。
再び拝殿前に戻り、今度は左手奥に行ってみます。
こちらの常夜灯も、被爆したものだと思われます。
こちらは、拝殿を左斜め前から。
奥へと進んでみます。右に見えるクスノキも、被爆したものとの説明書きがありました。
奥にも、大小の常夜灯が並んでいます。
境内の常夜灯は、戦時中に米軍機から大砲と間違われ、機銃掃射を受けたそうです。その弾痕が残っているとのことで探してみたところ、それらしきものがいくつかありました。
さらに奥に進みますと、社殿の後方に岩礁が見えてきます。白神社は、岩礁の上に建てられた神社であることが、後ろを見るとわかります。
本殿は完全に岩礁の上にあります。
左手奥から境外に出たところには、岩礁についての説明書きもありました。岩礁や社殿をもう一度眺め、白神社を後にしました。
参拝を終えて
平和記念公園の近く、大通り沿いにある白神社。
三泊四日の広島旅行の最後に、素敵な神社に参拝することができました。
白神社は、交通量の多い二本の道路が間近に走っているのですが、境内に入ってしまいますと、不思議と車の音も聞こえなくなります。静かです。
拝殿前にて参拝のため鈴を鳴らしますと、神職の方が現れまして、お祓いをしてくださいました。
僕はこれまでそこそこの数の神社巡りをしていますが、このように参拝中に目の前でお祓いをしてくださる神社は、こちらが初めてです。
僕たちが拝殿に向かって階段を上っていたとき、中からは尺八の音が聞こえていましたが、参拝時にはその音が止みましたので、おそらく尺八の演奏を中断して、お祓いをしに来てくださったものと思われます。
その後も、参拝者が拝殿の前に立つたびに、お祓いをされていました。
御朱印を頂いた際にも、色々なお話を聞かせて頂きました。かつては境内がもっと先まであり広かったことや、戦時中に米軍の機銃掃射を受けて、その痕が残る常夜灯があるお話など。丁寧に説明してくださり、より有意義な参拝ができました。
境内もゆっくりと散策させて頂き、被爆した狛犬さん、常夜灯、クスノキなども、しっかりと見させて頂きました。それらはみな、原爆の広島を見てきたものなんですね。
初日に訪れた広島護国神社でも被爆した狛犬さんがいらっしゃいましたが、そのことを認識しながら見るたびに、「この狛犬さんはどんな光景を目にしてきたんだろう」と考えてしまいます。
被爆した狛犬さんというものは、どこにでもいるわけではないですからね。被爆は見た目にはぱっとわかるものではありませんけれど、それでもそんな狛犬さんたちに出会えてよかったです。
社殿の後ろにある岩礁も、いいものが見れました。かつてはこの場所が海だったというのも初めて知ったのですが、その頃にはこの岩礁が突き出ていたとのことで、当時の景色も見てみたくなりますね。今こうして普通に陸地になっている場所が、かつては海だったというだけで、不思議な感じもしてしまいます。
白神社は、岩礁を御神体とする民俗信仰とも結びついているみたいです。社殿を造営した毛利輝元は、岩礁を守り神として、その上に社殿を建立したそうです。
白神社を訪れた際には、是非とも後ろまで回ってみて、岩礁を見ることもお勧めしたいです。
白神社、参拝できてよかったです。
この後僕たちは、預けていた荷物を取りにホテルに戻り、そこから広電で広島駅へ。
お土産を買ったり、お弁当を買ったりして、新幹線に乗り込み、広島を後にしました。
三泊四日という日程での広島旅行は、僕たち夫婦にとって、とてもいい旅になりました。素晴らしい旅ができました。
広島は本当に魅力的なところですし、まだまだ他にも行ってみたい場所がありますので、またいつか訪れてみたいと思います。
御朱印
こちらが白神社の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から15時半までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は広島県広島市中区中町7-24です。
白神社の公式サイトはありません。
電車
広島電鉄 「袋町駅」から徒歩1~2分。
平和大通りと鯉城通りの交差点付近です。鯉城通り沿いですが、正面の入口は平和大通り側になります。
駐車場
境内に数台でしたら駐車できるスペースがあります。鯉城通りから入れます。周辺にはコインパーキングもいくつかあります。
周辺のパワースポット
広島市の神社一覧
僕が参拝した広島市の神社一覧です。