宮崎県西諸県郡高原町にある狭野神社の参拝レポートです。
読み方は「さのじんじゃ」です。神武天皇が御生誕された地に創建された神社で、元は現在の皇子原神社の地に鎮座していました。杉並木の1kmにも及ぶ参道は、直線の参道では日本で一番長いといわれています。境内には御神木の大きな狭野杉があります。霧島六社権現の一社です。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
霧島六社権現の一社「狭野神社」へ
まずこちらの狭野神社ですが、なかなか読み方を覚えられず、ちゃんと頭に入るまで少々時間が掛かりました。アホなので。
狭野と書いて「さの」。もうばっちり覚えました。
狭野神社は、初代天皇である神武天皇をお祀りする神社です。神武天皇は幼名を狭野尊(さののみこと)といい、皇族の幼名は生まれ育った地名を付ける慣習があったとのことで、この辺りの狭野という地名に由来しているとのこと。
そんな神武天皇がご生誕された地に創建されたのが、狭野神社なんです。
元は現在の場所より1kmほど西に創建され、そこには元宮として皇子原神社が鎮座しています。で、そこは神武天皇がお産まれになった産屋跡とも言われているそうです。
つまり狭野神社やその周辺は、神武天皇にゆかりの深い場所。ゆかりが深いというか、直結してる場所ですね。
霧島は天孫降臨の高千穂峰があり、日本神話から繋がっている地です。
僕は2年前には宮崎の高千穂にて、嫁と二人でがっつり神社巡りをしまして、そちらでも日本神話にゆかりの場所をあちこちと散策しました。
そのときに続き、今度は霧島の地にて、また神話の時代から繋がる世界を体感できるというのは、神社好きとしては最高の時間です。
この度も嫁と二人、高千穂峰への登山も含め、霧島にて3泊4日を費やして神社巡りをしました。
狭野神社はそんな霧島神社巡りの最後に訪れた神社です。
初日、二日目と天気には恵まれまして、二日目には高千穂峰への登山も無事に果たしました。しかし三日目は朝から生憎の雨でして、最初は小雨だったのですが、お昼くらいから本降りになり、気付けばなかなか激しい降りに。
4社目に訪れた皇子原神社の参拝時には、もう土砂降りでした。
そんな大雨の中、霧島で最後の狭野神社へと向かいます。
狭野神社は「杉並木の長い参道が素晴らしい」といわれています。距離は約1kmです。その長い参道を歩かずとも、近くの駐車場に車を停めて参拝できるのですが、どうせなら歩いておきたい。たとえ大雨の中であろうとも。
じゃっかん嫁は渋ってはいたのですが、そこは半ば強引に押し切ります。
近くの駐車場ではなく、あえて遠い二の鳥居前に車を停め、雨の参道へ。
ご由緒
ご祭神は、日本の初代天皇である神武天皇(じんむてんのう)です。幼名は狭野尊(さののみこと)です。
創建は紀元前、第5代天皇である孝昭天皇の御代といわれています。神武天皇が御誕生された地である、高千穂峰の麓の皇子原に創建されました。
その後、幾多の火山噴火の災禍に見舞われ、焼失や再建を経て、江戸時代初期の慶長15年に現在の地に遷座しています。元の鎮座地には現在、元宮として皇子原神社が鎮座しています。
薩摩藩主である島津氏より篤く崇敬され、社殿の寄進なども度々行われています。
豊臣秀吉公の朝鮮の役では、戦勝祈願が行われ、凱旋後には300本の杉が植栽されました。大正13年には狭野の杉並木として国の天然記念物に指定されます。現在も参道沿いは杉並木になっていて、直線の参道では日本で一番長いともいわれています。
現在の地に遷座後も、噴火に伴い一時的に遷されます。近年では平成23年の新燃岳の噴火により、小林市の霧島岑神社にしばし遷されています。
神武天皇ゆかりの神社として、古くから崇敬されてきた神社です。
霧島六社権現の一社です。
境内案内
こちらが狭野神社の二の鳥居です。長い参道を歩く場合はこちらからになります。一の鳥居はこの少し手前にあり、車で通過してきました。
左手に猿田彦神社がありますので、まずはそちらに参拝させて頂くことに。
社殿に上がり(土足厳禁)、参拝させて頂きます。こちらには馬頭観音もお祀りされています。
奥には注連縄の掛けられた石も。
猿田彦神社への参拝を終え、いざ狭野神社の参道へ。鳥居は足のある両部鳥居です。
一礼して鳥居をくぐり、杉並木の真っ直ぐ延びている参道へ。
雨の参道を進みます。前方にはぼんやりと鳥居の姿。
左右には無数の杉です。
次の鳥居がはっきりと見えてきました。ところどころに杉ではない木も聳えています。
ひときわ大きな杉も。
鳥居をくぐります。
参道は少しだけ左、右と折れ、続いています。そして前方には次の鳥居。
前方の鳥居が、入口から数えて四つ目の鳥居ではあるのですが、案内図には三の鳥居と表記されていました。手前は少し開けています。
この右手に駐車場があります。奥に見えるのが境内社の神徳神社で、お隣には仁王像があるようですので、後ほど行ってみることに。
三の鳥居をくぐり、進みます。
途中には、こぶのある異形の杉も。
少し進むと、小さな川が流れ、赤い橋が掛かっています。
橋の先にも大きな杉。
前方には石段と神門。
石段を上がると左に手水舎。お清めをします。
反対側、右には修祓殿です。
神門へと進みます。
神門をくぐりますと、開けた境内へと出ます。前方右手の大きな杉が、御神木の狭野杉です。正面の奥にも大木が見えます。
右手が社殿です。
狭野杉の前へと進みます。狭野杉は樹齢400年、樹高61mとのこと。でかいです。
右を向くと拝殿の正面。
左右には狛犬さんです。御神木の脇が左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。左右どちらも、なかなか迫力のあるお顔です。
激しい雨の中、拝殿へと進みます。拝殿の手前に外拝殿です。
右には授与所と、豊磐門戸神をお祀りする東門守社。
反対側、左手には櫛磐門戸神をお祀りする西門守社です。奥の境内社は摂社の水神社。
外拝殿の中へ。雨が凌げて助かります。
前方が拝殿です。参拝させて頂きます。
外拝殿には御朱印がセルフサービスで置かれていましたので、頂きました。
拝殿を振り返りますと、こんな景色です。やっぱり御神木の存在感が圧倒的です。
こちらは社殿を右斜め前から。本殿も見えます。
外拝殿の左手には、昭和天皇が皇太子のときに御手植えをした杉が以前はあったようですが、現在は新たに植えられたものが。
摂社の水神社へ。水の神様と山の神様をお祀りしている摂社です。ご祭神は罔象女神(みつはのめのかみ)、豊受姫神(とようけひめのかみ)、大年神(おおとしのかみ)、大山祇神(おおやまつみのかみ)、大山咋神(おおやまくいのかみ)、白山媛神(しらやまひめのかみ)です。後方にも大きな狭野杉。御神木より50年の後に植栽されたものとのこと。
こちらは水神社の前辺りから見た社殿の景色。
もう一度御神木の狭野杉を見上げ、境内を後にすることに。
東門守社側の二本の木が、この角度からですと重なって見えて素敵です。
参道を戻る途中、トイレに寄りましたところ、その近くには池がありました。
三の鳥居の近くに鎮座する神徳神社に立ち寄ります。かつて別当寺だった神徳院(明治に廃寺)を再興して令和元年に創建された神社です。御祭神は天照大御神と神徳院之大神。
左には豊受神社です。脇には新燃岳大噴火乃碑。
そして反対側、神徳神社の右に仁王像です。江戸時代中期の享保19年に造られたもので、けっこう大きくて迫力があります。
長い参道を二の鳥居まで戻り、狭野神社を後にしました。
参拝を終えて
霧島にて最後に訪れた狭野神社。
なかなか激しい雨の中ではありましたが、長い参道を歩き、無事に参拝を果たすことができました。
二の鳥居前に車を停めますと、鳥居から真っ直ぐに杉並木の参道が延びていまして、まるで異世界に続いているかのような景色でした。雨も激しかったですし、僕たち夫婦以外に人の姿もありませんでしたので、余計にそんなふうに感じてしまいました。
参道は木々のおかげで雨も少しは凌げまして、歩きやすかったです。
雨の音しかしない参道は、とっても神秘的でした。
そんな参道を独占できたことが、嬉しくもあり申し訳なくもあり。
そして思っていたよりも、あっという間に三の鳥居まで到着しました。もっと長い距離を歩くのかと思っていましたし、こんな素敵な参道ならまだまだ歩けたな~と。
三の鳥居前で、初めて他の参拝者さんと遭遇。少しお話をさせて頂いたのですが、鹿児島の方で、一人で神社を巡っているとのこと。この後も境内で一緒になりました。雨のせいなのか、参拝者はその方と僕たち夫婦のみでした。
三の鳥居からの参道も、大きな杉がところどころに聳え、これまた素敵でした。
で、神門をくぐりますといっきに景色が開けます。それと同時に雨から守ってくれていた木々もなくなりますので、直撃ではありましたが…。
その景色がまた美しかったです。
目の前には大きな御神木の狭野杉が聳え、右手には雨の社殿。
激しい雨の中だからこその、厳かで神秘的な景色を見ることができました。
御神木はひときわ大きく、圧倒的な存在感。
で、その足元には銅製か鉄製か、ちょっとわからなかったのですが、可愛らしい狛犬さんがちょこんと座っていたのも印象的でした。
拝殿の手前には屋根のある外拝殿があり、これには助かりました。雨を気にせず参拝できましたし、御朱印やおみくじもゆっくり見ることができました。
外拝殿の脇には、以前は昭和天皇が皇太子のときに御手植えをした杉が聳えていたようですので、その景色も見てみたかったです。
水神社の後方に聳えている杉もでかかったですね。水神社は延命長寿のご利益でも知られているそうです。
帰り道に立ち寄った仁王様もインパクトがありました。けっこう大きいうえに、どことなくボブ・サップ感もありまして、威圧感がありつつも愛嬌もあるような、なんだか惹かれる仁王像でした。
大雨の狭野神社。いい思い出になりました。忘れることはないと思います。
参拝できてよかったです。
狭野神社が霧島で最後の神社と書きましたが、この後僕たちは、この日の宿をとっている霧島温泉郷へと戻る途中、もう一度霧島神宮に立ち寄り、参拝をさせて頂きました。
そして宿では、温泉はもちろん、美味い食事と美味い酒で大満足。
霧島には3泊4日の滞在でしたが、神社巡り、高千穂峰への登山、温泉などなど、どれも本当に素晴らしいものばかりでした。
またいつか足を運びたい場所です。
霧島最高。
翌日は霧島を後にして、まずは日本一の大楠があるという蒲生八幡神社へと向かいます。
御朱印
こちらが狭野神社の御朱印です。元宮である皇子原神社と一体になった御朱印になります。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から16時までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は宮崎県西諸県郡高原町蒲牟田117です。
狭野神社の公式サイトはこちらです。
https://sanojinjya.web.fc2.com/
駐車場
一番近いのは、西参道の入口(画像左上)です。数台駐車可能です。
表参道の三の鳥居周辺が一番台数が停められる駐車場です。
二の鳥居から1kmの参道を歩く場合は、二の鳥居の手前に数台駐車が可能です。
高原ICから車で10分ほどです。霧島神宮からは約30分です。
電車
JR「高原駅」から車で10分ほどです。タクシーを利用するのがよいかと思います。
トイレ
参道の途中にあります。
周辺のパワースポット
高原町の神社一覧
著者が参拝した高原町の神社一覧です。