宮崎県の小林市にある霧島岑神社の参拝レポートです。
読み方は「きりしまみねじんじゃ」です。霧島六社権現の一社で、同じく六社権現の夷守神社が合祀されている神社です。かつては高千穂峰の中腹に鎮座していましたが、度重なる噴火により遷座や再建が繰り返され、現在は夷守神社の跡地に鎮座しています。拝殿の雲龍巻柱でも知られています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
霧島六社権現の「霧島岑神社」へ
天孫降臨の地とされる高千穂峰にどうしても登りたかったので、嫁と二人、鹿児島旅行を決行しました。
高千穂峰の周辺には、霧島神宮をはじめとした魅力的な神社も多く鎮座しています。ですので登山とともに神社巡りもガッツリしてやろうと。
そして事前にあれこれ下調べをした際に、「霧島六社権現」というものがあることを知ります。
霧島六社権現は、その名のとおり六社から成るものなのですが、そのうちの一社は別の一社に合祀されているため、実際に回るのは五社です。
少々わかりづらいかと思うので、六社権現を書き出してみますと…
- 霧島岑神社
- 夷守神社
- 狭野神社
- 東霧島神社
- 霧島東神社
- 霧島神宮
上記の六社になります。
このうち夷守神社(ひなもりじんじゃ)が、明治に霧島岑神社に合祀されたため、現在は実質的には五社になりました。
つまり霧島岑神社には、六社権現のうち二社がお祀りされていることになりますので、参拝すれば二社のご利益が受けられることに。一度で二度おいしい。
こちらの記事で紹介しますのが、そんな霧島岑神社です。
この日は鹿児島旅行の三日目で、雨の中を朝から神社巡りに出発し、東霧島神社~霞神社と参拝し、続く霧島岑神社が三社目になります。
霞神社への参拝を終えた時点で、時間はお昼少し過ぎ。そろそろおなかも減ってきた頃ではありますが…この後回る神社の数や場所を考えると、どうやらお昼ご飯をしている余裕はなさそうです。
僕たちは初日も時間的に昼飯抜きでしたが、それに続きこの日もまた昼飯抜きという苦渋の選択をします。神社か昼飯かどちらか選ばなければならぬのなら、神社をと。
そういう意味ではストイックな旅行です。
また、朝から降っていた雨も、午前中は降ったり止んだりでしたし、だいぶ小降りではあったのですが、じょじょに本降りになってきましたので、できるだけ弱いうちに神社を回っておきたい。
そんな想いもあり、昼飯抜きで霧島岑神社を目指します。
霞神社からは30分弱でした。
特に迷うこともなく到着です。
ご由緒
ご祭神は、瓊瓊杵命(ににぎのみこと)、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、鸕鶿草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)、玉依姫命(たまよりひめのみこと)の六柱です。
瓊瓊杵命は天照大御神の孫神で、高千穂峰に天降った神様で、木花咲耶姫命はその妻です。彦火々出見命は瓊瓊杵命と木花咲耶姫命の子で、豊玉姫命はその妻です。鸕鶿草葺不合命は彦火々出見命と豊玉姫命の子で、神武天皇の父にあたります。玉依姫命はその妻です。日向三代とその配偶神になります。
創建の年代は不明です。6世紀の中頃ともいわれていますが、日向三代とも関りが深く、天孫降臨に始まるともいわれています。
かつては高千穂峰の脊門尾(せとのお)に鎮座し、瀬多尾権現とも称されていました。
平安時代の前期には、天台宗の僧である性空上人(しょうくうしょうにん)により、霧島岑神社を本社として霧島六社権現が整えられます。以降、霧島信仰の中心地として信仰を集めます。
度重なる噴火により、社殿の焼失、再建、遷座を幾度も経て、江戸時代中期の享保14年には夷守岳(ひなもりだけ)の中腹に再建され、明治初頭まで鎮座します。
明治6年に、霧島六社権現の一社である夷守神社を合祀し、夷守神社の跡地である現在の地に遷座しました。
社殿の雲龍巻柱(うんりゅうまきばしら)は、江戸時代の文久2年の再建で造られたもので、小林市の有形文化財に指定されています。
参道の入口には、仁王像と、みやざきの巨樹100選に選ばれているイチイガシ、境内には珍しい形の繭神社などもあります。
霧島六社権現の中心として古くから信仰されてきた神社です。
境内案内
こちらが霧島岑神社の入口です。左右には仁王像。その後ろには大木が何本も。見惚れてしまう美しい入口。
左の仁王像の脇には、水道通水の碑。神社の下の集落が水不足だったとき、神社近くから水を通したときの碑とのこと。
こちらが右の仁王像。仁王像は、享保元年の新燃岳の大きな噴火で甚大な被害を受けた後、霧島山の怒りの鎮魂や、災害からの復興などを願い、奉納されたものになります。
そして仁王像の先、左右に大木が聳える参道が続きます。神秘的な景色。
右の二本の大木の間に、「みやざきの巨樹100選」のイチイガシとの説明書きがあります。どうやら奥の方の大木を指しているようです。
反対側、左の大木の足元には石祠。
その先に手水舎です。
手水鉢にはお花や玉が並べられていて綺麗です。お清めをします。
この先は緩い石段が続いていて、前方に赤い鳥居が見えます。
巨樹100選のイチイガシは、樹齢400年、幹回りは590㎝、樹高は38m。根本は祠になっていて、古くから「お熱の神サァ」と呼ばれ、子供が熱を出したときにはお参りされてきたそうです。
参道を進みます。
上の方まで来ますと、社殿の姿も見えてきます。
左右には細い木々が連なっているのですが、中には大木も。
鳥居に到着です。
一礼して鳥居をくぐります。すぐ左に境内社が見えましたので、そちらには後ほど行ってみます。
前方にも何本か木が聳え、その向こうが社殿です。左右には門社で、左には豊磐間戸神、右には櫛磐間戸神がお祀りされています。中には木像が納められていました。
木々の間を抜け、進みます。
右に二つめの手水舎がありました。両脇の絵は、かつての霧島岑神社と夷守神社がそれぞれ描かれたものになります。
手水舎の向こうが社務所です。後ほど御朱印を頂きます。
拝殿へ。社殿は左寄りに入口がある造り。
反対側、左手はこんな景色。森です。
参拝させて頂きます。
脇には龍が描かれた大きなマラカスにようなものが。鈴でしょうか。
拝殿の奥には、雲龍巻柱(うんりゅうまきばしら)も見えます。
右手にご由緒書きがありました。
こちらは社殿を右斜め前から。
右の奥には大山祇大神をお祀りする脇社。本殿は黒い建物です。
その手前にも社が一つ。こちらは詳細はわからず。
今度は社殿を左斜め前から。
左の奥には豊受大神をお祀りする脇社です。
拝殿側から境内を見ますと、こんな景色です。手水舎の脇に聳える大木もイチイガシでしょうか。
鳥居脇の境内社に行ってみることに。一度鳥居まで戻ります。
境内社は二つ。まず手前の変わった社殿は、養蚕の神である大気都比売命(おおげつひめのみこと)をお祀りする繭神社です。社殿には蚕の繭が奉納が奉納されているそうです。この形の社殿は僕は初めて見ました。
奥の社殿は、馬頭観音をお祀りする馬頭神社です。
境内社も回りましたので、最後にこちらの授与所にて御朱印を頂きます。霧島岑神社と夷守神社、二つの御朱印が頂けます。
霧島岑神社を後にしました。
参拝を終えて
この日の三か所目に訪れた霧島岑神社。
まず、参道の入口の景色にやられました。素晴らしかったです。
事前に下調べをした際にも、画像で見て惹かれていた景色だったので、それを実際にこの目で見ることができたのが嬉しい。
参道の仁王像というのは、僕は以前に高千穂町でも何社かで目にしていまして、それ以来です。
仁王像が立っているだけでも惹きつけられるのですが、その後ろの大木の聳え方がまた凄いんですよね。みやざきの巨樹100選のイチイガシをはじめ、左右に独特の傾斜で大木が聳えているので、神秘的な景色になっているんです。
この入口の景色を見られただけでも、来た甲斐がありました。
その先の参道は、緩やかな石段が続き、左右には比較的細い木々が茂り、前方に赤い鳥居。その景色も美しかったです。
参道を抜けた先の境内も、独特の空気感がありました。
雨の中で静かに佇んでいる社殿は、周囲の森に守られているかのようでした。
参拝時には、拝殿の奥の雲龍巻柱も、遠目でしたが見ることができました。
社殿は幣殿と本殿が黒で、これは前日に訪れました霧島東神社と同じです。他ではあまり見ない色の組み合わせかと。
境内社の繭神社も、三角形の小屋のような、とっても珍しい形の社殿でした。僕は初めて見ました。
雨が降っていたからなのか、他の参拝者の姿はなく、始終僕たち夫婦しかおらず。ゆえに、別の世界に来てしまったかのようでもありました。
雨の中ではありましたが、素敵な境内を満喫させて頂きました。
ただ一つだけ心残りが…。
どうやら拝殿に向かって左手の階段を上がって行った先に、室町時代の古石塔があったみたいなんです。下調べの際もチェックした覚えはあったのですが、当日は完全に抜けておりまして、階段を上がることもなく、帰って来てしまいました。
この度の神社巡りでは、そういう見逃しがちょいちょい発生していて、自身の詰めの甘さを何度も思い知らされています。
また来いよ、ということだと、そう前向きに解釈することにします。
実際、またいつの日か足を運びたいと思わずにはいられない、素敵な神社でしたので。
霧島岑神社、参拝できてよかったです。
続いては、狭野神社の元宮である、皇子原神社へと向かいます。
御朱印
霧島岑神社では二つの御朱印を頂くことができます。
こちらが霧島岑神社の御朱印です。
こちらが夷守神社の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から17時までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は宮崎県小林市細野4937です。
霞神社の公式サイトはこちらです。
https://kirisimaminejinjya.webnode.jp/
駐車場
参道入口に向かって左手に、100台駐車できる大きな駐車場があります。仁王像の右手を上がった先にも40台駐車できます。
高原ICから車で15分ほどです。霧島神宮からは約30分です。
電車
JR「小林駅」「広原駅」「高原駅」から車で10分前後です。タクシーを呼ぶのがベターかと思います。
トイレ
参道入口の駐車場にあります。
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小林市の神社一覧
著者が参拝した小林市の神社一覧です。