台東区にある浅草神社の参拝レポートです。
読み方は「あさくさじんじゃ」です。三社権現(さんじゃごんげん)、三社さま(さんじゃさま)とも称されている神社で、浅草寺本堂のお隣に鎮座しています。例大祭の三社祭も有名です。社殿の後ろにある末社の被官稲荷神社(ひかんいなりじんじゃ)は出世のご利益で知られています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
浅草寺のお隣「浅草神社」へ
この日は朝から嫁と二人で台東区の神社巡りにやって来まして、この浅草神社が8ヶ所目に訪れる神社です。
朝から巡り始めて既に時間はお昼過ぎ。おなかもペコペコ。この浅草神社をこの日の神社巡りの締めに決めていましたので、参拝を終えたら一杯引っ掛けながらのランチが待っています。ランチの後には、知り合いの陶芸家さんが浅草で個展を開催していましたので、そちらに顔を出す予定です。
といいますか、陶芸展ありきでの神社巡りだったんですけどね。個展の場所が浅草だと知り、じゃあその足で浅草周辺の神社も巡ってみようか、って流れです。
僕たちは台東区の神社巡りをするのは今回が三度目。
昨年の5月、上野の近くにある下谷神社に参拝したのが最初です。その時に「台東区神社マップ」なるものを頂いてしまい、そこから僕たちの「台東区神社巡り」が始まりました。
こちらが台東区神社マップです。
このマップに載っている神社は全部で26ヶ所です。さすがに26ヶ所を回るには、何度か台東区に来ないと無理です。で、三度目と言うわけです。それでもまだ全部は回り切れません。
今回は陶芸展と言う素敵なきっかけがあり、久しぶりに台東区神社巡りを再スタートできました。
8月末のまだまだ暑い日で、汗だくで浅草周辺を歩き回り、ここまでに7ヶ所の神社に参拝。次がいよいよこの日の締め、8ヶ所目の浅草神社です。
向かう前に地図で確認しますと、どうやら浅草寺のすぐお隣にある模様。
僕も嫁もこれまでにも浅草寺は何度か来ているのですが、お隣に神社があるのは全く知らなかったです。気付きませんでした。けっこう大きめな神社っぽいんですけど、きっと浅草寺とか五重塔にばかり目を奪われていて、神社の存在まで気付いてないんでしょうね。
そんなまだ見ぬ浅草神社に期待を抱きつつ、7ヶ所目に訪れた浅草富士浅間神社から歩き始めます。
歩き始めて5分ほどでしょうか。
雷門とは逆側の入口から浅草寺に到着。これまで雷門方面からしか浅草寺に来たことがなかったので、裏側からは初めてです。
境内はたくさんの観光客で賑わっています。外国人の方の姿もかなり多いです。
そして浅草寺の本堂のすぐお隣に、今まで全く気付かなかった浅草神社を発見しました。
無事到着です。
ご由緒
ご祭神は、土師真中知命(はじのまつちのみこと)、檜前浜成命(ひのくまのはまなりのみこと)、檜前武成命(ひのくまのたけなりのみこと)です。いずれも浅草神社の草創に関わった人物が神格化されたご祭神です。
創建は飛鳥時代よりも前、推古天皇の時代と伝えられています。漁師であった檜前浜成・竹成の兄弟が漁をしていたところ網に人形の像がかかり、物知りだった土師真中知にそれは観音像であると教えられ、二人はその像に毎日祈念するようになりました。その後に土師真中知は僧となり自宅を寺にして、それが浅草寺の始まりだと言われています。土師真中知の歿後、その子にお告げがあり、真中知・浜成・竹成のを神として祀ったのが、浅草神社の起源とされています。三人を祀ったことから「三社権現」と称されました。
そのような言い伝えがある一方で、実際は平安時代の末期から鎌倉時代にかけて、三人の子孫が祖先を神として祀ったのが始まりだとも言われています。
明治の神仏分離により浅草寺と分かれる形となり、明治元年に三社明神社に改称され、明治6年に現在の浅草神社へと改称されています。
浅草寺本堂の東側に位置し、現在の社殿は江戸幕府三代将軍、徳川家光の寄進によるものです。
例大祭の三社祭でも有名な神社です。
古くから「三社さま」と称され親しまれ、多くの参拝者が訪れる神社です。
境内案内
浅草寺の本殿の東側、雷門から向かうと右手にあたる位置に、浅草神社は鎮座しています。こちらが正面の鳥居になります。
一礼して鳥居をくぐり境内へ。参道の先には拝殿が見えます。
鳥居のすぐ先、参道の両脇には、奉納された立派な天水桶がありました。こちらは参道の左手にあったものです。天水桶とは雨水を貯めるための桶で、防火用水として使われたものだそうです。
天水桶の奥には石碑です。こちらは明治から昭和にかけての歌舞伎役者、初代市川猿翁の句碑でした。
参道の右手には神楽殿。
参道を進みます。岩の台座に載る狛犬さんが目を惹きますね。
参道の左手はこんな感じです。左の狛犬さんの後ろあたりですね。その後ろに見える赤い建物は、浅草寺の本堂です。
参道左手のエリアに行ってみます。桜の木の後ろには石碑が並んでいます。
桜の前には「扇塚」です。古くなった扇を納めるものだと説明書きもありました。
扇塚の隣りには、日本舞踊花柳流の初世家元である「初代花柳壽輔」の碑です。
石碑のエリアをしばし散策した後、参道に戻ります。そして狛犬さんをじっくり観察。こちらは左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも比較的大きめな狛犬さんです。台座の岩も大きいです。
左の狛犬さんの先に手水舎です。
お清めをします。後ろに見える柳の緑がいい感じです。
お清めを終え、拝殿の正面に立ちます。大きくて立派な拝殿で、色合いも素敵です。
拝殿の両脇にも狛犬さんです。こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも逞しい容姿をしています。
右の狛犬さんの脇に、浅草神社のご由緒。その後ろには天水桶です。
拝殿の屋根に、逆立ちをするような態勢の狛犬さんが載っているのを嫁が見つけました。写真だとちょっとわかりづらいかもしれませんが。狛犬さんでしょうか、獅子でしょうか。かなり珍しい態勢かと思います。反対側の屋根にも同じものが載っていました。
こちらは拝殿の扉の上辺りです。彫刻も見事ですが、黄色の壁に描かれた龍や麒麟が目を惹きます。
龍は「飛龍」と言う体が魚で翼をもつ霊獣です。西洋のドラゴンのようにも見えますね。しばらく絵や彫刻を眺め、参拝します。
拝殿の中も鮮やかな色合いで、鳳凰らしき絵も見えました。奥には右大臣と左大臣の姿も。
参拝を終え、境内を散策してみます。拝殿に向かい右手の方では、流しそうめんをやってました。
拝殿の右手に授与所です。御朱印はこちらで頂けるようですので、一通り境内を散策して、後ほど頂くことにします。浅草神社では、浅草神社の御朱印、末社の被官稲荷神社の御朱印、浅草七福神の一人である恵比須神の御朱印、計三つの御朱印を頂くことができるようです。浅草神社の恵比須像は御扉の奥に安置されいて、残念ながら実際に見ることはできません。
授与所の右奥にも参道が続いて鳥居が見えましたので、行ってみます。
この先には、末社である被官稲荷神社があります。一礼して鳥居をくぐります。
参道を進みます。こちらが被官稲荷神社の正面です。煌びやかな浅草神社とは対照的に、厳かで少し空気が張り詰めている感じがします。
鳥居の脇には被官稲荷神社のご由緒。江戸時代後期、安政の時代の創建と書かれています。
被官稲荷の左手は抜けられるようになっていて、そのまま進むと、浅草神社の社殿をぐるっと一周する形になります。
鳥居の脇と、その奥にも神狐さんです。こちらは左側の神狐さん。
こちらが右の神狐さん。左と同じく鳥居の脇と奥の両方にいます。二対の神狐さんがお出迎えしてくれている形です。灯篭も立派です。
三つ連なっている鳥居をくぐり境内へ。三つ目の鳥居に掛けられた社名のところに、神狐さんが一対いました。こんな鳥居は僕はここで初めて見ました。珍しい形なのではないかと思います。
社殿の正面に立ちます。中はかなり空気が張り詰めています。この社殿は創建以来のものとのこと。
社殿の覆屋(おおいや)は大正時代に造られたものだそうです。見上げるとなかなか素敵な景色です。
社殿は岩の上に載っている形です。小さな神狐さんもいます。静寂な空気の中、参拝します。
社殿の周りを回ってみます。左手には奉納された小さな神狐さんがたくさん。
右手には、奉納された小さな鳥居がたくさんです。独特の空気を肌で感じつつ、被官稲荷を後にします。
再び浅草神社の拝殿前に戻り、授与所で御朱印を頂きました。写真は右斜め前からの浅草神社の拝殿です。
拝殿を背にして参道を見ますと、こんな景色です。境内はけっこう広いです。
拝殿に向かい参道右手の一角では、稲が育てられていました。御神田です。
稲の後ろには立派なクスノキの御神木。
入口の方にも、何やら色々とありそうなエリアが見えましたので、行ってみます。
入口の鳥居をくぐり、すぐ右手にあたる場所です。「夫婦狛犬」の立て札があり、奥にはいくつか石碑もあるようです。
こちらは、小説家、川口松太郎の句碑です。
おみくじが綺麗なオブジェのようになっていました。
その奥には夫婦狛犬です。仲良く寄り添う夫婦の狛犬さんは可愛いですね。どうやらここは、恋愛成就のパワースポットにもなってるみたいです。僕たち夫婦も、ずっと仲良くいられるようにと手を合わせます。
夫婦狛犬の右手には「祓皿」と書かれた一角がありました。ここにお皿をぶつけて割って、お祓いをする場所のようです。
一通り境内を散策し、浅草神社を後にします。そしてせっかくなので、お隣の浅草寺にも参拝します。
浅草寺本堂の左奥にある影向堂には、浅草七福神の一神である大黒天が祀られていますので、そちらにも参拝し御朱印を頂きました。その後は境内を少々散策し、浅草寺を後にしました。
参拝を終えて
浅草寺のすぐお隣にある浅草神社。
これまで浅草寺には何度か来ているにも関わらず、一度もその存在すら気付かなかった神社です。しかもけっこう大きな神社なのに。
浅草神社が、僕たちにとってはこの日8ヶ所目に訪れた神社です。ここまでの7か所は、今戸神社を除き、ほとんど僕たち夫婦しか境内にはいない、と言うちょっと淋しくもあり、のんびり散策もできてしまうような状況でした。
それに対し、この浅草神社は大賑わい。お隣の浅草寺からも多くの人が流れて来ているのだと思うのですが、特に外国人の方が多かったです。撮影するのが一苦労でした。
浅草神社は境内も広々していますし、見どころも色々ありました。
中でもやはり一番目を惹いたのは拝殿です。赤を基調とした建物で、少し横長になっていて、大きいです。近付くにつれ、その魅力が露わになってくる感じです。建物自体も煌びやかな雰囲気があって素晴らしいのですが、拝殿の上部や内部には、黄色の背景に麒麟や飛龍や鳳凰が鮮やかに描かれていて、それがこの拝殿を魅力的にする大きな要因になっています。
麒麟や鳳凰は神社でもたまにお見掛けする霊獣ですが、飛龍と言うのはもしかしたら、僕はここで初めて見たかもしれません。(他でも見ている可能性は否定はできませんが)なんだか不思議な龍だな~と思いながら絵を見ていたのですが、飛龍と言う体が魚で翼のある霊獣だったんですね。霊獣の絵や彫刻と建物の色のバランスがとても素敵な拝殿でした。
さらには屋根の両側に、狛犬なのか獅子なのかはわからなかったのですが、逆立ちのような姿勢で載っかってるんです。これはかなり珍しいものではないかと思いますし、印象に残りました。僕は全く気付いていなくて、嫁が発見したんですけどね。
それ以外にも、二対の狛犬さんや、大きな天水桶、たくさんの石碑、柳の木などなど、じっくり見て回ると意外と時間を費やしてしまうものが多かったです。扇塚と言うのも珍しかったですね。
入口の右手にあった夫婦狛犬も、二匹とも笑っていて仲がよさそうな狛犬さんで、気持ちが和みました。こんなふうに二匹が寄り添う狛犬さんを見たのも、僕はここが初めてです。夫婦狛犬さんに僕たちも夫婦揃ってお会いすることができて良かったな~と。
浅草神社は、参拝者も多くて全体的には賑やかな雰囲気がありましたね。
しかし、そんな賑やかな雰囲気からは想像もできないくらい、空気が張り詰めていた場所が一ヶ所。
それが末社の被官稲荷神社です。
浅草神社の社殿右奥にあたる一角に位置しているのですが、ここだけとても厳かで独特の空気が漂っていました。特に覆屋の内部はなかなか凄かったです。とは言え、空気こそ張り詰めてはいますが、居心地は良かったです。ついつい長居してしまうくらい、気持ちは落ち着く場所です。それに、被官稲荷まで足を延ばす人はかなり少ないようで、この辺りだけとても静かなんです。
浅草神社に参拝した際には、是非奥にある被官稲荷にも参拝してみてください。
浅草神社を後にした僕たちは、せっかくなので久しぶりに浅草寺にも参拝。さらにはお隣にある影向堂にも初めて入り、浅草七福神の一人である大黒天にも参拝しました。
大黒天は撮影禁止でしたので、浅草観光連盟のHPより画像を引用させて頂きます。
(画像出典:e-asakusa.jp)
なんとも言えない、とても魅力的な大黒天でした。
他にも浅草寺には色々と見どころがありますので、ゆっくり散策もしたかったのですが…何しろもう僕も嫁も腹ペコでして、ランチを優先させました。お寿司屋さんに入り、一杯引っ掛けて大満足です。
その後は予定通り、知り合いの陶芸展に顔を出し、帰宅しました。
三度目となる台東区の神社巡り、無事終了です。
台東区神社マップに載っている神社を全部回るには、少なくともあと一度は台東区に来なければ回り切れませんので、近々また挑戦しようと思います。
御朱印
こちらが浅草神社の御朱印です。
こちらが、末社の被官稲荷神社の御朱印です。
浅草神社では、この他に浅草七福神の一つ、恵比須神の御朱印も頂くことができます。
お隣の浅草寺の左手にある影向堂では、浅草七福神の一つ、大黒天の御朱印を頂くことができます。
御朱印の受付時間
御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から17時までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は東京都台東区浅草2-3-1です。
浅草神社の公式サイトはこちらです。
http://www.asakusajinja.jp/
電車
①銀座線 / 浅草線 / 伊勢崎線 「浅草駅」から徒歩7分。銀座線は1番出口、浅草線はA5出口、伊勢崎線は正面口からが近いです。
②つくばエクスプレス 「浅草駅」から徒歩10分。
各線の浅草駅から、徒歩で10分圏内かと思います。田原町駅やとうきょうスカイツリー駅からも行けるかとは思いますが、20分前後はかかるかと思います。
駐車場
参拝者用の駐車場はありません。近くにパーキングがいくつかあります。雷門地下駐車場が一番大きいです。
周辺のパワースポット
台東区の神社一覧