川崎市多摩区の稲田堤にある子之神社の参拝レポートです。
読み方は「ねのじんじゃ」です。旧菅村の鎮守社で、JR南武線の稲田堤駅から南に徒歩約10分、山の上に鎮座している神社です。拝殿には、樹齢300年の椎の木の一部が御神木として保存されています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
稲田堤の「子之神社」へ
最近、都心からはだいぶ離れた地域の神社ばかり訪れています。ある意味で、ニッチな神社ばかりに足を運んでしまっている気がします。これは決して意図しているわけではなく、たまたまそうなってしまっているだけなんですけどね。
都心の神社でも行きたいところは山のようにありますし、行こう行こうとは思ってるんですよ。8月の下旬に港区の神社を巡って以来、なかなか都心には足を延ばしていませんし、そろそろどこかガッツリ回りたいとは常々思っています。
しかし、自分の休日とか、予定とか、天気とか、そんな諸々の兼ね合いで、なかなか行く機会を得ず。
その代わりといっては何ですが、かなりマニアックな神社(失礼な言い方ですみません)に、ちょいちょい訪れることとなっております。
こちらの記事で紹介する子之神社も、そんな神社の中の一つになるのではないかと。
僕はまた、そういう神社がけっこう好きなんです。大きな神社には大きな神社の魅力がありますけれど、そうじゃない神社にもまた、そこにしかない魅力があるものです。
僕の嫁は実家が稲城でして、この日も所用でそちらにお邪魔しておりました。で、特にどこにも出掛ける予定はなかったのですが、めちゃめちゃいい天気だったので、少しだけでもどこかお出掛けをしようと。
一週間ほど前にも全く同じ流れで、稲城市内の神社を二ヶ所回りました。
今回は、実家からもすぐに行ける、南武線沿いの稲田堤駅にスポットを当ててみます。
以前から、稲田堤駅の近くに「子之神社」というのがあるのは認識しておりまして、気にはなっていたんです。駅から微妙に距離はありそうですが、じゅうぶん徒歩圏内かと思われますので、この機会に行ってみようと。
さらに事前に地図にて確認したところ、周辺にはいくつかの小さな稲荷神社だったり、八雲神社というのも見つけましたので、それらにも立ち寄ってみることにします。
お昼過ぎに出発し、南武線の稲田堤駅に降り立ち、地図を確認しつつ、子之神社を目指します。
私事ではありますが、最近スマホを機種変しまして、色々と快適になりました。マップやGPSもサクサク使えます。これでもう、迷うこともありません。
稲田堤駅からは歩くこと10分ちょっとでしょうか。
山の上へと続く石段と、鳥居が現れました。
無事、子之神社に到着です。
ご由緒
ご祭神は、大己貴神(おおなむちのかみ)です。日本神話の神様で、国土の創造神である大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名です。
創建の具体的な年代は不明ですが、鎌倉時代と考えられています。
豪傑として名を馳せた、平安時代末期の武将である源為朝が、敵対した源義朝に放った矢じりを、義朝の子である義経が持ち続けていたそうです。そして義経が当地を訪れた際に、その矢じりの根を地主明神の祠に納めたことから、「根之神」と称されるようになったそうです。
また、流鏑馬が行われた際に、「子」の方角であるこの地に祠を建て、矢の根を納めたことから、「子之神」と称されるようになったという説もあります。
鎌倉時代には、この地域の七か村の総鎮守でした。
江戸時代には旧菅村の鎮守となり、根ノ上社、根上明神、根之神社と称されていましたが、明治になり現在の子之神社へと改称されています。
新田義貞の鎌倉攻めや、豊臣秀吉の小田原攻めの際に社殿は焼失してしまいますが、その都度再建されています。現在の本殿、拝殿ともに江戸時代の末期に造営されたものですが、拝殿はその後、明治13年に改築されたものになります。
境内案内
山の方へと歩いて行きますと、前方に鳥居と石段が見えてきます。
右手には、かつて子之神社を管理していた法泉寺というお寺です。
お寺の先には数段の石段があり、さらにその上、石鳥居の先には山へと石段が延びています。
鳥居の前に立ちます。こちらが子之神社の入口です。鳥居の脇には立派な銀杏も聳えています。
鳥居の右手には坂が延びていました。女坂でしょうか。そちらからは車でも境内まで行くことができそうです。
一礼して鳥居をくぐります。
石段を上がります。緩やかとかいえませんが、遠目に見るよりは急ではありません。
一歩一歩確実に。上の右手にも立派な木の姿。
無事、上まで到着です。正面に手水舎、右手には社殿改修を記念した石碑です。どうやら参道は突き当たりから右に延びていて、その先が社殿のようです。
左手にご由緒書きです。後ろは竹林になっていました。
お清めのため手水舎へ。手水舎の脇の碑は「石坂改築記念碑」と刻まれています。
お清めさせて頂きます。蛇口をひねって水を出すタイプの手水でした。
右手には立派な石灯籠と、数段の石段、そしてその先に社殿が見えます。
右の燈籠の脇には、本殿に関する説明書きがありました。
石段の上には狛犬さんです。
こちらが左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらも風格がありかっこいい狛犬さんです。
拝殿の前は開けていて、広々としています。
左手は山です。
右手は神楽殿かと思われます。
拝殿へと進みますと、拝殿の一部、右の前方に御神木らしき木が見え、建物と一体化しているようにも見えます。
拝殿の前へ。社殿は木の茶色を基調とした、落ち着いた雰囲気の建物です。荘厳な空気感もあります。やはり右の御神木に目が行ってしまいます。
まず、気になる御神木に近づいてみます。説明書きもありました。かつて境内にあり枯死しそうだった樹齢300年の椎の木の一部を、このような形で現在も保存しているそうです。
ついつい御神木に気を取られていましたが、見上げると拝殿の彫刻が素晴らしかった。正面には何かの物語の一部、左右には獅子や獏がいました。奥には兎の姿も。
しばし彫刻を眺めてから、参拝させて頂きます。
御神木と彫刻を、少し遠目に。
御神木は樹皮の一部とのことで、裏側は空洞のようになっていました。
拝殿を振り返りますと、こんな景色です。境内を散策してみます。
こちらは社務所です。拝殿に向かって左手後方です。おそらくお正月の三が日などは開いているものと思われますが、この日は閉まっていました。
こちらは社殿を左斜め前から。美しい社殿です。
左手に一つ社がありましたので、境内社かと思い近づいてみたところ、納札所でした。
納札所の先には、石碑と一対の狛犬さんです。
狛犬さんの後ろには、特に祠などはありませんでした。狛犬さんはだいぶ古いもののように見えます。右の狛犬さんは、お顔もなくなってしまっています。
さらに境内の左奥には、砲弾が一つ。特に説明書きなどはありません。
奥からは、本殿の姿を見ることもできます。本殿は白です。
再び拝殿前に戻ります。こちらは右斜め前から。
神楽殿の向こう側からの眺めが良さげでしたので、行ってみます。左に見える木は入口の鳥居脇にあったイチョウですね。
境内は山の上ですので、街を一望することができます。しばしその景色を楽しみます。
境内にてしばらくのんびりと過ごし、子之神社を後にしました。
参拝を終えて
子之神社は、山の中にひっそりと佇む、とても静かな神社でした。
木々に囲まれた境内にて、気持ちのいい時間を過ごすことができました。この日は祝日だったのですが、境内には始終僕と嫁の二人しかおらず、ゆっくりと散策させて頂きました。
まず最初に石段の下に立った際には、山の上がどうなっているのか全く見えませんでしたので、石段が延々と続くのではないかと、そんな恐ろしさもありました。
しかしながらそんな不安は、上まで上った時点ですぐに払拭されます。上がった先、すぐ右手の前方が社殿でした。
そして遠目に見た社殿に、あれ?と思うものがあるんです。
拝殿の右手前に、建物と一体化するように木が生えておりまして、自然とそちらに視線が釘付けになります。僕はこれまでそれなりの数の神社を訪れていますが、こちらで見る社殿と木の組み合わせというのは、目にするのは初めてです。
最初は、御神木が拝殿を突っ切っている、もしくは御神木をそのままに、社殿がそれを覆うように建てられたのかと、そんなふうに見えてしまったのですが…。よく見ると、そうではありませんでした。
境内にあった樹齢300年の椎の老木が枯死の寸前だったため、その樹皮の一部を社前にお祀りしたものとのこと。つまり、木が社殿と一体になって生えていたわけではなく、老木の一部がそちらに安置された形のようです。近くで見ますと、そのことが一目でわかりました。
このような形で御神木が祀られている神社というのは、大変珍しいかと思います。貴重なものが見れました。
そして、見上げた拝殿の彫刻がまた素晴らしかった。
両端には獏や獅子、そして正面には物語の一部が描かれたと思われる精巧な彫刻の数々。本殿には三国志の一場面が描かれた彫刻が施されているとのことなので、拝殿のものももしかしたら三国志かもしれません。
御神木や彫刻を、心ゆくまで眺めさせて頂きました。社殿の右手から眺めますと、御神木と彫刻のコラボを見ることもできます。
社殿自体も落ち着いた色合いで、境内の静かな空気にとても合っていました。
境内の左奥には、一対の狛犬さんがいらっしゃり、さらにその奥には砲弾もありました。狛犬さんの後ろには祠などありませんでしたので、もしかしたら昔の狛犬さんが安置されているのかもしれません。もしくは、その先のさらに山の上に、何かがあるかですね。
境内は山の上ですので、右手の方に街を見渡すこともできまして、その景色も素敵でした。
僕は子之神社という社名の神社に訪れるのは、今回が初めてです。そもそも最初は、社名が何と読むのかもわからなかったですからね。普通にそのまま「このじんじゃ」かと思っていましたら、「ねのじんじゃ」でした。
同名の神社は、南関東から東海地方に掛けて多いみたいです。横浜なんかも多いみたいですね。
いつか他の子之神社にも訪れてみたいです。
晴天の秋空の下訪れた、稲田堤の子之神社。
参拝できてよかったです。
続いては、地図にて見つけた小さな稲荷神社に立ち寄りつつ、京王稲田堤駅近くにある、八雲神社へと向かいます。
御朱印
子之神社では通常、御朱印は扱っていません。お正月の三が日のみ、授与して頂けるそうです。
(※ご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は神奈川県川崎市多摩区菅北浦5-4-1です。
子之神社の公式サイトはありません。
電車
①JR南武線 「稲田堤駅」から徒歩10~12分
改札を出て左、踏切を渡って真っ直ぐ進み、大きな交差点に出たら、橋を渡って左前方の少し細い路地を直進します。そのまましばらく歩くと橋がありますので、その手前を左折。少し歩いた先を右折すると鳥居が見えます。
②京王線 「京王稲田堤駅」から徒歩12~15分。
府中街道に出て、駅を背にして(南へ)歩きます。しばらく進むと「JR稲田堤駅入口」の交差点がありますので、その橋を渡った先の路地を右折です。そのまましばらく歩くと橋がありますので、その手前を左折。少し歩いた先を右折すると鳥居が見えます。
駐車場
境内に駐車できるスペースがあります。鳥居の手前、右手に上がっていく坂がありますので、そちらから入れます。特別な日でなければ、問題なく駐車できるかと思われます。稲田堤駅方面には、いくつかコインパーキングもあります。
周辺のパワースポット
川崎市の神社一覧
僕が参拝した川崎市の神社一覧です。