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豊国神社【千畳閣】(宮島)の御朱印と見どころ

宮島にある豊国神社の紹介

宮島にある豊国神社の参拝レポートです。

読み方は「ほうこくじんじゃ」、または「とよくにじんじゃ」です。どちらの読み方でも正しいようです。豊臣秀吉公をお祀りする神社で、畳857枚分の広さがあることから、千畳閣(せんじょうかく)とも呼ばれています。宮島内では最も大きな建物で、厳島神社の境外末社になります。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

宮島の「豊国神社(千畳閣)」へ

豊国神社には、宮島滞在の二日目に訪れました。前日に宮島内のホテルに宿泊し、この日は早朝から厳島神社や大願寺を訪れ、いったんホテルに戻って朝食をとりチェックアウト。

大きなリュックはホテルで預かって頂けたので、身軽な格好での出発です。

そしてまず向かったのが豊国神社になります。

僕たち夫婦は過去にも二度、豊国神社には訪れたことがありまして、今回が三度目の参拝になります。

前回の参拝はもう4~5年前になるのですが、大きな建物、掛けられたたくさんの額、五重塔、見渡せる景色など、記憶に残っているものがいくつもあります。僕にとって、それだけ印象に残る場所だったんだと思います。

初めて訪れたときには、真夏の蒸し暑い時期だったにも関わらず、千畳閣の建物の中は涼しい風が吹き抜けていたこともよく覚えています。汗だくで歩き回っていた僕たちは、しばらく涼ませて頂きました。

当時は全く知識もなく訪れていましたので、千畳閣がいったいどのような建物なのかも全くわからず立ち寄っていたんですけどね。

二度目のときもそれは怪しいです。御朱印も頂いているのですが、わけもわからず頂いていたような気がします。

宮島といえば厳島神社をまず思い浮かべる人が多いとは思いますが、僕も嫁も、最初は宮島イコール厳島神社な感覚でいました。つまり、言い方を変えれば、宮島には厳島神社しかない、といった捉え方でしょうか。

豊国神社をはじめ、ロープウェイとか弥山とか、大聖院の存在すら知りませんでしたからね。

ですので初めて宮島を訪れた際には、厳島神社から五重塔が見えたり、隣に大きな建物が見えて、あれは一体何だろう?と思い近づいてみた覚えがあります。

で、行ってみますと千畳閣というとっても素敵な空間が広がっていて、びっくりしました。厳島神社だけじゃなかったんだ、他にもすごいところがあったんだ、と。

無知というのは怖ろしいです。色々ともったいないです。

そんな過去二回の訪問に対し、三度目となる今回は、弥山にも登ったり、厳島神社以外の神社巡りもしてみたりと、宮島を満喫するコースです。

千畳閣に関しても、少しは知識を仕入れての参拝です。

宿泊していたホテルより町屋通りという通りを歩き、近くに見えてくる五重塔を目指します。

三度目となる豊国神社に、しっかりと参拝させて頂きます。

 

ご由緒

ご祭神は、戦国武将で、織田信長の家臣から天下人となった、豊臣秀吉公(とよとみひでよしこう)と、豊臣秀吉の家臣である加藤清正公(かとうきよまさこう)です。

創建は安土桃山時代です。祈願のために同じ経を千人の僧が一部ずつ読む「千部経」のために、秀吉が毛利家の参謀だった僧侶、安国寺恵瓊に命じて建立させた大経堂です。元々は、造船のため島内の巨大なクスノキを伐採し、神の土地を荒らした償いとして建立されたともいわれています。

畳857枚分の広さがあることから、千畳閣と呼ばれてきました。宮島内では最も大きな建物です。

秀吉の急死により工事が中止されたため、一部の天井や板壁がない、未完成の状態のまま残されています。

江戸時代には人々の交流や納涼の場としても親しまれていました。

釈迦如来坐像、阿難尊者像、迦葉尊者像などの仏像も祀られていましたが、明治の神仏分離により大願寺へと遷されています。豊臣秀吉公の霊神を祀る豊国神社となったのも、そのときになります。

大正時代には、宝山神社(現在の多宝塔)に祀られていた加藤清正公の霊神を合祀しています。

隣に建つ五重塔は室町時代の創建で、元は大聖院の子院である金剛院の五重塔でしたが、明治の神仏分離により、厳島神社の管理下となり、豊国神社の五重塔となりました。かつては釈迦如来座像、文殊菩薩、普賢菩薩などが祀られていましたが、豊国神社と同様に、神仏分離により全て大願寺に遷されています。

豊国神社、五重塔はともに国の重要文化財に指定されています。

厳島神社の境外末社です。

 

境内案内

町屋通りを豊国神社目指して歩いて行きますと、前方に五重塔が見えてきます。

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こちらは、五重塔下のトンネルの入口にある「誓真釣井(せいしんつりい)」です。誓真さんという人が宮島のために掘った井戸で、現在も4つの井戸が残されているそうです。こちらもそのうちの一つです。

誓真釣井

 

トンネルを抜けた先に、千畳閣や五重塔へと続く石段がありましたので、上がります。

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上がった先は、五重塔があることから「塔の丘」と呼ばれる場所で、毛利元就と陶晴賢の厳島合戦では、晴賢が本陣を構えた場所だそうです。この先、前方を下って行きますと、幸神社に繋がっています。

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幸神社と反対側が五重塔です。

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茶屋の脇を通り、五重塔へと進みます。

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五重塔の脇を歩いて行きますと、前方には大きな建物が見えてきます。豊国神社(千畳閣)ですね。

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到着です。正面が千畳閣で、左後ろが五重塔になります。

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五重塔の正面に立ちます。近くで見ると大きいです。何度か改修はされていますが、室町時代に創建された塔です。

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五重塔を下から見上げます。当たり前かもしれないですけど、遠くからの方が全体像は見やすいですね。

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豊国神社の前には、大きなソテツの木です。とても目を惹くソテツです。

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千畳閣の建物へと向かいます。宮島で最も大きな建物とのことですが、実際かなりでかいです。

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先ほどのソテツを、千畳閣前からの左手に見るとこんな感じです。支え木がないと倒れてしまいそうなくらい、傾いています。

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千畳閣の正面に立ち、見上げます。

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中へは入口で靴を脱いで入ります。入場料は大人100円、小中学生50円です。

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中に入りますと、いっきにタイムスリップしたような空間に。

千畳閣

 

千畳閣と呼ばれるだけあって、広いです。右前方に見えるのは、豊国神社の本殿ですね。

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上には大きな額が、そこかしこに掛けられています。

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大きな杓子もありました。額にしても杓子にしても、豊国神社にあるものは、基本的にでかいです。

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天井は未完成の状態で、天井板がありません。

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参拝のため、本殿へ歩を進めます。大きな建物の中に、このような形で本殿が祀られているというのは、かなり珍しいのではないかと思います。

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本殿の正面へ。両脇には大きな杓子も見えます。

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参拝します。上には龍の姿も。静かな千畳閣にて、時間を掛けて参拝させて頂きました。

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本殿の左手には、少し小さめの杓子もたくさんありました。杓子は、「飯とる」を「敵をめし取る」にかけて、必勝祈願などで奉納されるようになったそうです。

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こちらは本殿を右斜め前から。

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散策してみます。未完成で壁がない建物ですので、外もよく見えます。厳島神社も見えますね。

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内部はもちろんですが、この外の廊下もなんだか凄いです。

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中の額などを観て回ります。こちらは、大きな杓子に龍が描かれています。

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額は字だけのものもあれば、絵が描かれているものも。様々です。

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奥には船の模型がありました。上にあったのは、管絃祭という祭祀で使われる、御座船の模型だそうです。

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下にあった方は、江戸時代から明治にかけて、瀬戸内海で海運に使われていた木造帆船、弁財船の模型です。

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十二支が刻まれた、大きな方位盤もありました。

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こちらは、二頭の鹿が向かい合っている、もみじ饅頭の生誕百周年を記念した額です。

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ひととおり建物の中を散策し、御朱印を頂きます。授与所は本殿の左手にあります。窓口に掛かっている杓子には、宮島の杓子に関しての由来が書かれていました。

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御朱印を頂き、外の景色を楽しみます。眼下には瀬戸内海も見えます。

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厳島神社の先には、山の麓にある、これから僕たちが向かう、大聖院の姿も。

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外の廊下も満喫します。こんなに気持ちのいい廊下は、そうあるものではありません。

千畳閣の廊下

 

しばし外の景色を見ながら、嫁と二人、ボケ~っと過ごします。ちなみに、寝転がるのは禁止です。

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建物の周囲には、大きな木も何本かありました。

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千畳閣からは、五重塔もよく見えます。

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こちらは千畳閣から見上げた五重塔。

五重塔

 

外の景色を楽しみ、建物を出ます。千畳閣は、外側の端が通路のようになっていまして、そこを通って反対側に行くことができます。

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建物の下を歩いて反対側へ。

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五重塔とは反対側に到着です。ぱっと見は、どっちも同じように見えますね。

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こちら側にも階段があり、ここを下ると厳島神社入口近くに繋がります。

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建物の前には大島桜でしょうか。白い花が咲いていました。千畳閣には、こちらからでも建物の中に入ることができます。

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心行くまで、大きな建物を見上げます。

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中からも外からも、千畳閣を堪能させて頂きました。

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再び五重塔側まで戻り、名残惜しさを感じつつ、千畳閣を後にしました。

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参拝を終えて

今回が三度目の参拝となった豊国神社。

以前と変わらず、とても素敵な場所でした。

千畳閣の建物の中は、そこに一歩足を踏み入れるだけで、色々なものに圧倒されます。

まず、一番はその広さですね。千畳閣という名のとおり、かなり広いです。天井板がないので天井も高いですし、壁もないので外がよく見えます。そういった部分でもより広く感じるのかもしれません。開放感もかなりあります。

天井は骨組みの木が丸見えで、その下には至るところに大きな奉納額が掛けられています。額は全てかどうかはわかりませんが、元は厳島神社の廻廊に掛けられていたものだそうです。

額には絵だったり字だったり様々なものがあり、とにかくどれもでかいです。額だけではなく、でかい杓子に絵が描かれたものなどもありました。

厳島神社の大鳥居が明治8年に建て替えられた際に使われた、尺定規なんかもありました。

そこらじゅうに大きなものが掛けられていますので、それだけで圧倒される感はありますね。大きな額と天井板のない天井の景色にも、否が応でも惹き付けられてしまいます。

さらにですが、大きなものは上だけではありません。本殿の脇をはじめ、何ヶ所かには大きな杓子も置かれています。明らかに僕の身長よりでかいものがいくつもあり、それらの存在感も大きいです。

千畳閣の中にあるものは、一つ一つが基本的にでかい感じがします。

とっても不思議な空間です。

未完成であるが故に、他の建物ではなかなか見ることができない、独特の空間が出来上がっているのかもしれません。

廊下に出てみますと、廊下自体の景色も素敵なのですが、瀬戸内海や厳島神社、少し先には大聖院など、様々な場所を上から眺めることができるんです。その景色もまたいいんです。

心地良い風が吹き抜ける中、ボケ~っと外の景色を眺めたり、中の額を眺めたりしていますと、いつまでもそうしていられる気がします。冬はきっと寒いでしょうけれど。

目の前にある五重塔も綺麗でしたし、その手前にある傾いた大きな蘇鉄(ソテツ)の木も魅力的でした。

本殿にもしっかり参拝させて頂きましたし、千畳閣の素敵な空間をと景色を存分に堪能し、もう大満足です!と言いたいところですが…。

僕たち夫婦は本当にアホなんだと思います。大事なものを完全に見逃してしまいました。

それは、「龍髯の松(りゅうぜんのまつ)」という、千畳閣の前にある長い枝の松です。

僕たちは夫婦ともども、五重塔前にあるソテツを「龍髯の松」だと思い込んでしまったんです。よくよく考えれば、ソテツはソテツで、松でないのは一目瞭然なんですけどね。ソテツの形がなんとなく龍っぽかったので、勝手にそう思ってしまったんです。

そしてソテツを龍髯の松だと思い込んだまま、何枚か記念撮影もしちゃいました。

アホです。

龍髯の松は、龍の髭のように長い枝の松なので、そのように呼ばれているとのこと。

帰宅後にソテツと松の勘違いに気付いた僕は、龍髯の松の画像や場所などググってみましたところ、なんとその横を思いっきり歩いてました…。

上の画像の中でも紹介した中の写真に、ばっちり写ってました。多分こちらです。

龍髯の松

松など全く見ずに通ってしまいました。

無念です…。

僕たちはこの日の早朝に訪れた幸神社でも、御神体の陰陽石を見逃していますし、豊国神社でも龍髯の松を見逃してしまいましたし…。

せっかくののんびりスケジュールにも関わらず、連続で失態を犯してしまいました。

しかしながら、これは「また宮島に来なさいよ」ということだと、そう前向きに捉えることにします。

次回訪れた際には、龍髯の松もしっかり見届けようと思います。

龍髯の松は見逃してしまいましたけれど、豊国神社には参拝できてよかったです。

いい時間を過ごさせて頂きました。

続いては、大聖院へと向かう途中にある、「粟島神社」を目指します。

 

御朱印

こちらが豊国神社の御朱印です。

豊国神社の御朱印

 

御朱印の受付時間

御朱印と御守りを頂ける時間は、8時半から16時までです。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は広島県廿日市市宮島町です。

厳島神社入口の左手に、丘の上へと続く石段があります。その他、周囲にはいくつかアクセスできる石段があります。宮島桟橋からは徒歩10分ほどになります。

豊国神社の公式サイトはありません。厳島神社の公式サイト内に、境外末社としての掲載があります。
http://www.itsukushimajinja.jp/setumatusya.html

豊国神社は拝観料が掛かります。大人100円、高校生100円、小中学生50円です。開門時間と閉門時間は8時半~16時です。

 

周辺のパワースポット

 

宮島の神社仏閣巡り

宮島にあるその他の神社や寺院については、全体をこちらの記事でまとめてあります。

 

廿日市市の神社一覧

僕が参拝した廿日市市の神社一覧です。