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御座石神社(茅野市)の御朱印と見どころ

御座石神社の紹介

茅野市本町にある御座石神社の参拝レポートです。

読み方は「ごさんしょじんじゃ」または「ございしじんじゃ」です。どちらの称され方もされています。諏訪大社上社の境外摂社です。諏訪地方では大変珍しい「御柱を建てない神社」(三ヶ所しかないといわれています)で、約800年続くという「どぶろく祭り」でも知られています。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

茅野の「御座石神社」へ

御座石神社に参拝したのは今年の5月。

僕は東京在住なのですが、実家が茅野市でして、5月に用事があって帰省した際に、嫁を伴い訪れました。

僕は茅野で生まれ育ち、高校生まで茅野市民だったのですが、御座石神社を訪れたのは今回が初めてです。これまでも数え切れないくらい神社前の道路は車で通っていたにも関わらず、神社の存在を認識したのはごく最近なんです。

その場所に神社があることは、おそらくなんとな~くはわかっていたのかとは思います。しかし神社に興味がない頃は、視界には入っていても、脳が認識していなかったのではないかと。

御座石神社は、ビーナスラインと呼ばれる蓼科の方まで延びている道路と、メルヘン街道と呼ばれる国道152号線、いずれも交通量の多い二本の道路が交わる場所にあります。

数ヶ月前にその前を車で通り、助手席に乗っていた嫁が神社があることをしっかりと発見し、帰宅後に調べましたところ、そこが「御座石神社」という神社であることがわかりました。

実家にて両親に御座石神社を知ってるのか聞いたところ、「どぶろく祭り」で有名な神社とのこと。

どぶろく祭りは毎年春に行われ、醸造されたどぶろくを皆で飲むそうです。うちの両親も一度だけ行ったことがあると。

御座石神社の存在はもちろん、どぶろく祭りについても僕は初めて知りました。

地元と言えど、本当に知らないことだらけですね。

この日は朝から予定がなかったので、嫁と二人で蓼科の方までドライブがてら出掛けました。現在僕の実家は茅野駅の近くなのですが、高校生のときまではずっと蓼科でして、その辺りが今どうなってるのか見に行ってみようと。

で、昔住んでいた場所の近くにある横谷観音と大瀧神社、御射鹿池にも足を延ばしてみました。

御射鹿池を出たときにはお昼を少し過ぎていましたので、帰りにテンホウ(長野県民なら知っているラーメンチェーン店)でお昼でもしようかと、茅野市街の方に戻ります。

その帰路に、以前見つけた御座石神社にもちょっと寄ってみようか?という話になりまして、参拝を決行することに。

御座石神社は二本の道路に面しているのですが、国道152号の方からですと車で入れます。

今まで何度となく前を通りながら、立ち寄ることなど一度もなかった神社に、初めて足を踏み入れます。

 

ご由緒

ご祭神は、日本神話の女神である高志沼河姫命(こしぬなかわひめのみこと)です。諏訪大社のご祭神である建御名方神(たけみなかたのかみ)の母神であり、大国主神の妃神でもあります。

諏訪大社上社の境外摂社で、創建の年代は不明です。

高志沼河姫は高志の国(現在の北陸地方)の翡翠(ひすい)の女王といわれ、翡翠を求めて出雲よりやって来た大国主命との間に生まれたのが、御名方神です。高志沼河姫は鹿に乗ってこの地にやって来たと言われ、境内にはその鹿の足跡が残ったとされる御座石があります。

諏訪地方の神社は、社殿や祠の四方に御柱と呼ばれる柱を建てるのが常ですが、ご祭神が女神の場合、御柱を建てないとされる神社が三ヶ所あり、御座石神社はその一つです。御柱の代わりに、黒丸大鳥居と呼ばれる松の丸太を用いた鳥居が建てられます。

境内には御座石の他にも、高志沼河姫が履物を履き替えたとされる御履石や、矢ヶ崎村七石の一つである穂掛石があります。

また、諸説あるようですが、諏訪七石の一つである御座石が境内にあるという説もありますが、どれを指すのか定かではありません。(おそらくこちらの御座石とは関係ないのでは、というのが有力な説のようです)

社名の「御座石」は、高志沼河姫が滞在したことから当初は「御座所宮」と呼ばれていたものが、いつしか御座石神社になったのではないかとも言われています。

毎年春には、約800年ほど続くという、どぶろくを醸造し神前にお供えする神事「どぶろく祭り」があり、盛大な宴が催されます。

水やお酒の神、安産や子育ての神としても、古くから厚く信仰されている神社です。

 

境内案内

車を停めてから、いったん鳥居の正面に周ってみます。こちらが御座石神社の入口です。

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石鳥居の奥に木の鳥居、その奥に社殿が見えます。

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鳥居の脇には大きなケヤキ。

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思わず見上げてしまいます。

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左手前には、御座石神社のご由緒と、どぶろく祭りについて書かれたものがありました。

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ご由緒の後ろに大きな石です。こちらが、高志沼河姫が履物を履き替えたとされる「御履石」です。

御座石神社の御履石

 

一礼して鳥居をくぐり境内へ。

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二つ目の木の鳥居が、御柱の代わりに七年に一度建て替えられる、黒丸大鳥居と呼ばれる鳥居です。

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右手に社務所らしき建物がありました。無人のようです。

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黒丸大鳥居をくぐります。緑が鮮やかで綺麗です。

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参道の左手はこんな感じです。車もそちらに駐車させて頂きました。隣接する建物は保育園です。

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右手の前方もこんな感じで開けています。木が多いです。

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拝殿へと歩を進めます。

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参道の左には囲われた神域。諏訪大社の御神紋にもなっている梶でしょうか。

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拝殿の手前、多くは狛犬や狐がいるであろう場所に、一対の大きな石が並んでいます。

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こちらが左にあった石です。

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こちらが右の石。狛犬や狐と同じ意味を持っている石なのかもしれません。

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拝殿の前には大きな杉の木も。左にはさらに大きな石も見えます。

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木が多いせいか、境内全体が木陰になっています。

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拝殿はかなり古い建物のように見えます。静かにひっそりと佇んでいる拝殿です。

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大木と社殿の間に、高志沼河姫を乗せてやって来た鹿の足跡が残っているとされる「御座石」があります。確かに鹿の足跡のような窪みがありました。

御座石神社の御座石

 

時が止まったような清とした空気の中、参拝します。

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拝殿を振り返り参道を見ますと、こんな景色です。

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拝殿の左手に、矢ヶ崎村七石の一つと言われる、稲の穂を掛けたという「穂掛石」です。

御座石神社の穂掛石

 

穂掛石の説明にも目を通します。矢ヶ崎村七石というものの存在を、僕は初めて知りました。武田信玄も賛美したと書かれていますね。

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境内を散策してみます。拝殿を右斜め前から。

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社殿の右奥には、小さな石仏がたくさん並んでいました。道祖神のようです。手を合わせます。

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横から社殿を見ますと、拝殿の奥にある本殿も見えます。

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右手の先に祠がいくつか見えましたので、行ってみます。

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その先には、四方を御柱で囲われた祠が一つ。参拝します。

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祠の周囲には高い木が何本も聳えています。

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入口寄りの方には、石の祠と石仏などがいくつか並んでいます。こちらにも参拝します。

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そこから入口の社務所の方を振り返りますと、酒蔵があります。どぶろく祭りで使用する酒蔵ですね。境内に酒蔵のある神社というのも、珍しいのではないかと。

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境内の右手をさらに奥へと進んでみます。見事な木がたくさんあり、ついつい木を撮ってしまいます。

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大木たちの後ろに、境内社があるのが見えます。

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その先には、今は一部しか残っていない竜田川という境内を流れる川についての説明がありました。

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こちらが境内社の八櫛社(やくししゃ)です。参拝します。

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手前には八櫛社のご由緒がありました。変わった名前だな~と思ったのですが、薬師如来との神仏習合に由来している社名のようです。

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八櫛社側から、御座石神社社殿の方を見ますと、こんな景色です。

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しばらく境内で木と石の景色を楽しみ、御座石神社を後にしました。

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参拝を終えて

御座石神社は、「木と石の神社」といった印象を受けました。

ついつい見上げてしまうような大木が至るところに聳えていて、ひっそりとした森の中のようでした。

また、「石」の入った社名の通り、境内には様々な石があり、木と石の景色が神秘的な空気を作っていました。

御履石、御座石、穂掛石などそれぞれに伝承があり、もちろん真偽のほどはわかりませんけれど、ロマンは感じてしまいます。

諏訪地方には「諏訪七石」という霊石が古来よりあるとされていて、その起源は石器時代にまで遡るとも言われています。しかしその七石には諸説あるようで、現在も明確にはわかっていません。

そんな諏訪七石の一つである「御座石」が、この御座石神社にあるのでは?という説もあるようですが、どうやら御座石という社名も御座所が変わっていったもののようで、この場所ではないというのが有力みたいです。

諏訪七石、いつか全部見てみたいですけどね。

境内では、先に挙げた三つの石の他にも、他の神社でしたら狛犬さんのいる位置に石(諏訪大社の起源とされるミシャグジ信仰に関係があるとされる石との説もあるようです)があったり、道祖神の石像が並んでいたり。

また、敷き詰められた白く細かい砂利も特徴的でした。

何かと石に関して印象に残ることが多かった気がします。

それともう一つ、僕は諏訪地方の神社で「御柱が建てられていない神社」を見るのは、ここが初めてでした。

この地方ではどこの神社にも、どんなに小さな祠にでも、必ず四方に四本の柱が建っているんです。

御座石神社も、境内社の祠には御柱が建てられていました。しかし、御座石神社の社殿の周囲には見当たらないんです。

御柱のない神社があるんだな~と不思議に思い帰宅後に調べたところ、それにはちゃんと理由がありました。

どうやらご祭神が女神の場合、御柱を建てないとしている神社が三ヶ所あるみたいなんです。その代わり、鳥居の建て替えをするんだと。その一つがこの御座石神社でした。

こういう珍しいパターンがあるということも、このたび初めて知りました。

御座石神社の他にもあと二ヶ所あるようですが、それがどこなのか調べても全くわからず…。わかった際には追記させて頂こうと思います。

変わったことと言えばもう一つありました。御座石神社は、なんと境内に酒蔵があるんです。

どぶろく祭りで使われるものだと思うのですが、ぜひ一度どぶろく祭りにも行ってみたくなりました。

全国郷土紙連合さんというサイトにどぶろく祭りの写真がありましたので、転載させて頂きます。

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(画像出典:kyodoshi.com)

この絵を見る限り、完全な宴会ですね。

たくさんの石がある不思議な境内で、こんな宴会に参加してみたいものです。

御座石神社を後にした僕たちは、テンホウにて昼飯を済ませ、実家に帰宅。

この日は横谷観音、大瀧神社、御射鹿池、そしてこの御座石神社と周ったのですが、どこも素敵な場所でして、いい一日になりました。

次回帰省した際にはまた、他の気になっている神社を回ってみようと思います。

 

御朱印

御座石神社では御朱印は扱っていません。

(※ご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は長野県茅野市本町東15-46です。

御座石神社の公式サイトはありません。

 

電車

JR「茅野駅」から、バスorタクシーで約10分です。バスの場合は茅野駅からいくつかの路線で行くことができますが、路線が多いため乗車時に確認することをお勧めします。「御座石神社」バス停下車で目の前になります。茅野のバス案内については、茅野市公式HPの路線バス案内を参照してみてください。徒歩ですと30~40分掛かるとかとは思います。

 

駐車場

国道152号線(メルヘン街道)沿いから入りますと、数台しか停められませんが、駐車可能なスペースがあります。

 

周辺のパワースポット

 

茅野市の神社一覧

僕が参拝した茅野市の神社一覧です。