新宿区の矢来町にある秋葉神社の参拝レポートです。
読み方は「あきはじんじゃ」、または「あきばじんじゃ」です。他の秋葉神社と区別するため、「矢来町(やらいちょう)秋葉神社」と称されることもあります。神楽坂駅の南に鎮座する神社で、境内にはキリシタン灯籠があります。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
神楽坂の「矢来町秋葉神社」へ
この日僕たち夫婦が訪れたのは神楽坂。
神楽坂といえば、僕の中では料亭のイメージです。
僕は実際にそんな料亭には一度も足を踏み入れたことがありませんし、なんとなく敷居の高い街、というイメージすら持ってしまっていたかもしれません。
一月の中旬、そんな神楽坂にて、嫁と二人で神社巡りを決行しました。
訪れた神社は全部で6ヶ所です。お昼過ぎに神楽坂に降り立ち、地図を見ながら駅の周辺を反時計回りでぐるっと歩く感じです。
ここまで回ったのは以下の5つの神社。
- 赤城神社
- 筑土八幡神社
- 改代稲荷神社
- 北野神社
- 両社稲荷神社
そして最後の締め、6つめに訪れる予定だったのが、こちらの記事で紹介する秋葉神社になります。
僕は秋葉神社という社名の神社を訪れるのは、今回が三ヶ所目です。境内社などではけっこう参拝している記憶があるのですが、社名で数えると意外と少ないです。以前訪れているのは、台東区の入谷にある秋葉神社と、墨田区の曳舟にある秋葉神社です。
神楽坂の秋葉神社は、駅の南側、徒歩ですと駅から5分ほどの場所にあります。
5ヶ所目に訪れた両社稲荷神社が駅の西でして、僕たちはそちらから向かったのですが、大通りには出ずにショートカットで入り組んだ路地を進むことに。
しかしながら、思った以上に入り組んだ路地でした。
お寺のお墓の回りをぐるっと歩いたり、めちゃめちゃ細い坂を上ったり下ったり。
果ては「私有地」と書かれた、おそらく入ってはいけないところをうっかり通過してしまい、後から不法侵入に気付いたり。すみません…。
神楽坂の完全な路地裏を、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら、ようやく大きめの通りに出ます。
神楽坂は料亭の街とか、お洒落な街、とイメージしていた僕ですが、路地裏をあちこちと歩いてみると、下町感がものすごくあることに気付かされます。面白い散歩ができました。
大きめの通りに出て少し歩くと、秋葉神社の看板を発見。
無事、到着です。
ご由緒
ご祭神は、迦具土神(かぐつちのかみ)です。伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の間に生まれた火の神様です。
創建の年代は不明ですが、江戸時代の前期までは牛込寺町に鎮座していて、火伏せの神様として崇められていました。
その後、矢来町にあった小浜藩(現在の福井県)酒井家邸内に遷座し、邸内社となります。当時の矢来町は、ほぼ酒井邸の下屋敷だったそうです。
明治には門戸を開き、一般の人でも参詣できるようになりました。
昭和27年に酒井家より無償贈与され、現在に至ります。
境内には、元はキリシタン灯籠(こっそりとキリストを拝むために造られた灯籠)ではないかと言われている、正雪地蔵もあります。
境内案内
駅から南へと延びる、少し大きめな道路添いを南下して行きますと、右手に秋葉神社入口の看板です。
路地を入ってすぐ、左手に鳥居が見えました。
こちらが秋葉神社の入口です。クリーム色の鳥居の先、参道が右に折れて社殿が建てられています。
一礼して鳥居をくぐり境内へ。
鳥居のすぐ先に狛犬さんです。こちらは左の狛犬さん。
こちらが右の狛犬さん。どちらもだいぶ古いもののように見えます。
右の狛犬さんの後ろにお地蔵さんがありましたので、後ほど参拝させて頂くことに。
参道を進みます。
右が社殿です。茶色と白を貴重としたシンプルな社殿です。
左には小さな手水鉢もありました。並んでいるのは何の木でしょうか。
社殿の正面に立ちます。
静かな境内にて、参拝。
社殿の左手には、社務所とヨガ教室がありました。
こちらは社殿を左斜め前から。
お地蔵さんのところに行ってみます。キリシタン灯籠といわれている正雪地蔵です。確かに、不思議な形をしたお地蔵さんです。手を合わせます。
しばし正雪地蔵を眺め、秋葉神社を後にしました。
参拝を終えて
この日の神社巡りの最後に訪れた秋葉神社。
小さな神社でしたが、意外と印象に残るものが多かったです。
まず、クリーム色の鳥居が目を惹きました。形とかは特別なものではないのですが、色がおもいっきり「クリーム色」でして、これはけっこう珍しいのではないかと。鮮やかに目に飛び込んできました。
なんとなくクリーム色っぽいのは他でも見たことがある気がするのですが、これだけおもいっきりなクリーム色は、もしかしたら僕は初めてかもしれません。
鳥居の先、足が太くて逞しい容姿の狛犬さんもかっこよかったです。
そして、境内の右手にあった「正雪地蔵」が、これまたかなり特殊なものとのこと。
最初は普通のお地蔵さんかな~と思い近づいてみますと、いわゆる一般的な「お地蔵さん」の姿はしてないんですよ。顔や胴体と思われる造形は特になく、失礼な言い方かもいれませんが、ただの石、みたいな…。
年月の風化により、顔かたちがなくなってしまった、というものでもないっぽいんです。そこにはとっても興味深い由来がありました。
なんとこのお地蔵さん、元々は「キリシタン灯籠」という、隠れキリシタンのための灯籠だと考えられているみたいなんです。
そもそも僕は「キリシタン灯籠」というもの自体、初めて知りました。江戸時代、キリスト教が禁じられていたときに、キリシタンがこっそりと拝むために造られた灯籠で、形が十字架に似ていて、一部が地中に埋まっているのが特徴とのこと。
正雪地蔵も、元は地中に埋まっていたのを掘り出したものだそうです。この近くには、キリシタン大名として知られている大友義鎮の子孫、義乗のお屋敷もあったそうで、関連があるとも考えられているみたいです。
正雪地蔵という名前は、慶安の変(江戸時代前期に起きたクーデター未遂事件)の首謀者だった由比正雪の屋敷から掘り出されたとも言われているため、そのような名が付けられているとか。
江戸時代、このお地蔵さんを十字架に見立てて、キリシタンの方たちがこそり拝んでたのかな~と思うと、なんだか不思議な気持ちになります。
僕はけっこう最近、江戸時代の潜伏キリシタンと布教について書かれた遠藤周作さんの小説、『沈黙』を読んだばかりでして、潜伏キリシタンの里と言われる、天草とか行ってみたいな~と思ってたんですよ。
ですので、そんな当時のキリシタンに縁のあるものに、このような形で出会えるとは。
キリシタン灯籠というものを知るきっかけにもなりましたし、この日最後に立ち寄った神社にて、いいものが見れました。
しばし境内にてのんびりした後、秋葉神社を後にします。
そして、4ヶ所目に訪れた北野神社の御朱印が、赤城神社の授与所にて頂けるとのことでしたので、再度赤城神社に立ち寄ってから帰路に就きました。
久しぶりに出掛けた神社巡りは、どこも素敵な神社ばかりで、いい散策ができました。
また近々出掛けようと思います。
御朱印
秋葉神社では御朱印は扱っていません。
(※ご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は東京都新宿区矢来町1-9です。
矢来町秋葉神社の公式サイトはありません。
電車
①東西線 「神楽坂駅」から徒歩5分。
2番出口を出て、まっすぐ(南に)進みます。少し歩いた先の路地を右折すると、すぐ左手にあります。
②大江戸線 「牛込神楽坂駅」から徒歩6~7分。
A1出口を出て右へ。最初の大きな交差点を右折します。しばらく歩き左の路地を入るとすぐです。
駐車場
参拝者用の駐車場はありません。神楽坂駅の周辺にコインパーキングかいくつかあります。
周辺のパワースポット
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