新宿区にある多武峯内藤神社の参拝レポートです。
読み方は「とおのみねないとうじんじゃ」です。新宿御苑の東に位置していて、駅ですと新宿御苑前駅、四谷三丁目駅、千駄ヶ谷駅、信濃町駅などのちょうど中間辺りになります。かつては新宿御苑内に鎮座していた神社です。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
新宿御苑東にある「多武峯内藤神社」へ
多武峯内藤神社の存在は、僕はかなり前から認識しておりました。
神社巡りをする際に新宿近辺を地図検索していますと、よくその名を目にしていましたし、ずっと気にはなっていました。
しかしながら、微妙にどの駅からも遠い場所にありまして、なかなかこれまで訪れる機会を得ず。
新宿御苑のちょうど東にありますので、新宿駅から向かうとなると、御苑を丸々越えた反対側になります。また、北には丸ノ内線、南には総武線と大江戸線が走っているものの、どの駅からも中間辺りの位置でして、なんとも絶妙に行きづらい場所なんです。
もちろん、各駅から全然歩ける距離ではありますので、行こうと思えばいつでも行けるんですけどね。ついつい行きやすい神社を優先してしまうと、後回しになっちゃうんですよ。
そんな感じですので、多武峯内藤神社という名前はよく見てはいるものの、その読み方も長いことわからず。
参拝が決まればちゃんと調べるのですが、そうでないとなかなか調べもしないという、薄情な男なんです、僕は。
そんな失礼を重ねている多武峯内藤神社に、この度ついに訪れる機会がやってきました。
雨ばかり続いていた7月の中旬、珍しく曇りという予報の一日がありましたので、新宿に用事があったその足で、四谷三丁目近辺の神社巡りを決行しました。
前日にざっくりとルートを決め、多武峯内藤神社もばっちりその締めに組み込みます。
その時点で社名も「とおのみねないとうじんじゃ」と覚えはしたのですが、10秒後にはすぐに忘れ、また確認しては忘れるというアホぶりを発揮してしまい、結局参拝時まで社名を覚えられないままでした。
多武峯内藤神社さま、申し訳ない。
この日はまずお岩さんを祀っている陽運寺、続いて須賀神社、雨宝稲荷大明神、大京神社と四か所を回り、続いて向かったのが多武峯内藤神社になります。
午前中から回り始めましたので、四か所目の大京神社への参拝を終えた時点で、ちょうどお昼くらいです。
体力的にはまだまだ回れそうではありましたが、コロナの真っ只中ではありますし、あまり調子に乗って歩き回らず、早めに帰る選択をします。
故に次の多武峯内藤神社をこの日の締めにして、帰路に就く予定です。
大京神社から地図を確認しますと、ちょうどまっすぐ西に進んだ辺りが、多武峯内藤神社のようです。
そして歩くこと5分ほど。
木が茂る公園のような一角が見えてきて、そちらが多武峯内藤神社の入口でした。
無事、到着です。
ご由緒
ご祭神は、藤原鎌足公(ふじわらのかまたりこう)です。飛鳥時代の政治家で、大化の改新の中心人物であり、藤原氏の始祖です。
相殿には、武甕槌神(たけみかづちのかみ)、経津主神(ふつぬしのかみ)、天児屋根神(あめのこやねのかみ)、姫神(ひめかみ)、内藤家歴代祖霊が祀られています。
創建は江戸時代初期の慶長の時代です。江戸幕府の重臣であった内藤清成(ないとうきよなり)という武将が、家康より現在の新宿御苑の地に広大な屋敷地を拝領し、家祖である藤原鎌足公を敷地内に祀り、内藤神社として創始したのが始まりです。藤原氏の氏神である奈良の春日大社より、武甕槌神、経津主神、天児屋根神、姫神を勧請し、合祀もしています。
明治になり敷地が官有地として上納された後も、新宿御苑内に残っていましたが、明治19年に現在の地に遷座しています。
長く武州多武峯神社と称されていましたが、昭和42年に現在の多武峯内藤神社に改称されています。
新宿御苑の歴史ともゆかりのある神社です。
境内案内
こちらが多武峯内藤神社の入口です。公園の入口のような感じです。
右手にご由緒書きがありましたので、目を通します。ここで改めて、社名の読み方を確認。「とおのみねないとうじんじゃ」です。なかなか覚えられない。
左に社号碑、右に社務所です。
参道は右に折れる形になっています。境内は木が多い印象です。
右に折れますと、鳥居と社殿の姿が目に入ります。左手の大きな木も目を惹きます。
参道の左手は公園になっていました。トイレもあります。
大きな木が何本も茂っていて、見上げると森の中のようです。
石鳥居へと進みます。境内に人の気配はありません。
左手には石碑。
鳥居の脇に、ひときわ大きな二本の木です。手前がアラカシ、奥はケヤキと書かれていました。
一礼して石鳥居をくぐります。
前方には数段の石段があり、その先が社殿です。左の立派な木はアカガシと書かれていました。木の後ろの門柱に刻まれている家紋は、藤原氏のもののようです。
左手の大きな木々をしばし見上げてから、進みます。
石段の手前、右手はこんな感じです。石灯籠が一基。その後ろのエノキの木も立派でした。
左側が手水舎です。木の陰になっていて近づくまで気付きませんでした。
お清めをします。手水鉢にも藤の家紋です。
拝殿へと歩を進めます。
数段の石段を上がると、左手に神楽殿。
右手には大きなケヤキです。
鳥居脇の二本も大きかったですけれど、こちらのケヤキも大きいです。
社殿の周囲にも緑が多く、境内は全体的にひっそりした雰囲気です。
左手に境内社がありました。後ほど参拝させて頂きます。
社殿は黒に近い木の茶色を基調とした建物です。左右には狛犬さん。狛犬さんの台座には、金で藤の家紋が刻まれています。
こちらが左の狛犬さん。可愛らしいです。
こちらが右の狛犬さん。笑っているようなお顔ですね。
拝殿前へと進みます。遠目に見ると社殿は黒っぽく見えたのですが、近くですとそれよりは少し茶色に見えます。
静かな空気の中、参拝させて頂きます。
境内を散策します。こちらは社殿を左斜め前から。
先ほどの参道左手にあった境内社に参拝します。鳥居の扁額には、稲荷大明神、八幡大菩薩、と書かれていました。
境内の左手奥はこんな感じです。境内社脇の碑には、大願成就と赤い字が刻まれていました。
奥にも木々が茂っているのが見えます。
境内の右手には神馬殿。中には白馬の姿。参拝させて頂きます。
神馬殿の奥には「駿馬塚」と書かれた石碑です。こちらの神社を創建した内藤清成と、徳川家康の面白い逸話が書かれていました。
しばらくしずかな境内にて過ごさせて頂き、多武峯内藤神社を後にしました。
参拝を終えて
多武峯内藤神社は、「ひっそり」という表現がぴったり合う、そんな雰囲気の神社でした。
参拝者は僕と嫁以外見当たらず、人の気配も一切なく、とても静かでした。
大きな木が何本も茂っていて、森の中のようでした。特に鳥居の近くにあったアラカシ、ケヤキ、アカガシ、そして石段の先にあったケヤキが大きくて立派でした。
すぐお隣には広大な緑を持つ新宿御苑がありますので、その一部のようにも思えてしまう境内です。
元々は御苑内にあったものが、明治になり現在の地に遷座したとのこと。
と言いますか、多武峯内藤神社と新宿御苑は、とってもゆかりがありました。神社を創建した内藤清成が、家康より拝領した広大な屋敷地というのが、現在の新宿御苑になっているとのことなんです。
明治維新後に屋敷地が官有地として上納され、そこが農業振興を目的とした内藤新宿試験場というものになり、明治12年に皇室の御料地・農園である新宿植物御苑となり、明治39年に新宿御苑として開園した、という歴史です。
このたび多武峯内藤神社に参拝しなければ、僕は新宿御苑のそのような歴史を知ることもありませんでした。
また、境内にあった「駿馬塚」にも、面白い逸話がありました。
家康が家臣であった内藤清成に、現在の新宿御苑一帯を示し、「馬でひと息に回れるだけの土地を与える」と語ったそうです。そして清成の乗った駿馬は、千駄ヶ谷、代々木、大久保、四谷を走り、広大な領地を与えられることになったと。しかし走った駿馬は疲れ果てて死んでしまい、埋葬され碑が、駿馬塚なんです。
その駿馬がいなかったら、新宿御苑はもしかしたらなかったかもしれません。
駿馬塚にも、しっかり手を合わさせて頂きました。
黒に近い色合いの社殿や、石で囲まれた手水舎、笑っているような狛犬さんなど、他にも目を惹くものがいつくかありました。
ひっそりとした森の雰囲気と、落ち着いた色合いの社殿が、とてもよく合っていた感じがします。
素敵な神社でした。
この日の神社巡りの締めに、いい時間が過ごせました。
多武峯内藤神社、参拝できてよかったです。
この後僕たちは新宿御苑駅まで歩き、帰路に就きました。
どの駅からも遠い、と勝手に思っていたのですが、御苑駅には10分くらいで着いちゃいました。
今度はお隣の新宿御苑にも、ゆっくり散策にでも出掛けようと思います。
御朱印
多武峯内藤神社では御朱印は扱っていません。
(※ご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は東京都新宿区内藤町1-8です。
多武峯内藤神社の公式サイトはありません。
電車
①丸ノ内線 「四谷三丁目駅」から徒歩10分。
1番出口を出て、新宿御苑方面です。
②丸ノ内線 「新宿御苑駅」から徒歩10分。
1番出口を出て、四谷三丁目方面です。
③JR総武線 「千駄ヶ谷駅」から徒歩10分。
改札を出て左、途中でJRの高架下をくぐり、御苑方面です。
④JR総武線 「信濃町駅」から徒歩13分。
線路沿いを千駄ヶ谷方面に進み、途中右折で北上です。
⑤大江戸線 「国立競技場駅」から徒歩12分。
A3出口を出て、JRの高架下をくぐり、御苑方面です。
駐車場
参拝者用の駐車場はありません。近くにコインパーキングがいくつかあります。
周辺のパワースポット
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