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四本龍寺(日光市)の御朱印と見どころ

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日光市にある四本龍寺の参拝レポートです。

読み方は「しほんりゅうじ」です。現存はしていない寺院で、二つの堂宇のみ残っている幻の寺院です。輪王寺の元となる寺院で、本宮神社の旧別当寺であり、本宮神社とともに日光の原点とも呼ばれています。世界遺産である日光の社寺の一部です。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

幻の寺「四本龍寺」へ

日光の二社一寺をじっくり回ろうと、11月の日光にやって参りました。嫁と二人、二泊三日の行程です。

11月とはいえ比較的暖かい日が続いていたのですが、この日だけは最高気温6度という、めっちゃ寒い一日です。日光に到着した朝の時点での気温は、1~2度くらいかと。

マフラーやももひきで、完全防寒をしての神社巡りです。

しかし寒さは厳しいものの、天気は快晴でして、絶好の散策日和です。寒さ故に空気も透き通っていまして、青空に紅葉も映えています。

朝イチで東京より特急に乗り、東武日光駅に到着。そこからバスにて、まずは日光山内の入口まで進み、神橋に参拝します。

続いては日光橋を渡り、左手の東照宮や二荒山神社の方面には向かわず、反対方面の右手にある石段を上がり、本宮神社に参拝。

東照宮方面は多くの参拝者の姿が見られましたが、本宮神社の方は人の気配もありません。夫婦が一組だけ僕たちの前に参拝していましたが、その後は誰一人現れず。

まさかの世界遺産を独占という、とっても贅沢な時間を過ごさせて頂きました。

本宮神社は、二荒山神社が元あった地に鎮座している神社でして、二荒山神社発祥の地とも呼ばれています。

そんな本宮神社の別当寺(付属、管理するお寺)だったのが、四本龍寺です。輪王寺の元となった寺院です。

その二つは境内も繋がっています。本宮神社の本殿前まで行きますと、後方に立派な三重塔が建っているのが見えまして、そちらが四本龍寺の三重塔です。

僕たちはいつも、神社にしろ寺院にしろ、参拝の際にはできるだけ正面の鳥居や正門から境内に入ることを心掛けてはいます。うっかりそうではない入口から入ってしまうこともありますが、そんな場合には改めて入り直したりも。

ですのでこの度の四本龍寺も、本当は正門から入りたいところではありますが、僕たちはそのまま本宮神社の本殿脇より、まずは三重塔へと向かうことに。

といいますのも、そもそも四本龍寺には正門がありません。さらには四本龍寺というお寺自体、既に現存していないんです。

残されているの観音堂と三重塔だけなんです。故に、幻の寺院とも言われています。

本宮神社の境内より進み、まずは三重塔から参拝させて頂きます。

 

ご由緒

ご本尊は千手観音です。生きとし生けるもの全てを、千の手と千の眼で漏らさず救うといわている菩薩です。

創建は奈良時代です。日光開山のため大谷川を渡った勝道上人が、この地に草庵を建てたのが始まりとされています。上人が千手観音を拝んでいると、東の空に四本の紫の雲が立ち、龍の形となって天に昇っていくのを見たことから、四本龍寺と称されるようになったそうです。元は「四雲立寺」だったのものが、いつしか「四本龍寺」になったといわれています。

現在の輪王寺の元となった寺院で、現存はしていません。旧地には観音堂と三重塔のみ残されています。

観音堂は平安時代の初期、下野国司である橘利遠という人物により建立され、ご本尊も安置されます。日光内では唯一の白木造り(素の木のまま造ること)ですが、江戸時代に焼失し、その後再建されています。明治には金剛童子をお祀りしたことから、金剛堂とも称されるようになりました。

隣接する三重塔は、鎌倉時代の中期に、将軍だった源実朝を弔うため、弁覚上人により建立されたものです。当初は現在の東照宮近くに建立されていましたが、後に現在に地に遷されています。幾度かの焼失と再建を経て、現在のものは江戸時代中期に再建された塔で、平成には大修理が行われました。

観音堂も三重塔も、輪王寺の一部として、国の重要文化財に登録されています。

二荒山発祥の地といわれる本宮神社とともに、日光の原点ともいわれている寺院です。

平成11年に世界遺産登録された、日光の社寺の一部でもあります。

 

境内案内

本宮神社の本殿から、右手の奥に小路が続いていまして、その先に三重塔があります。

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三重塔の前へ。人の気配はなく、静かです。

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左手に「紫雲石」と掛かれた碑と、その周囲にはいくつもの石。脇には説明書きもありまして、勝道上人はこの石の辺りから、紫の雲が立ち昇るのを見たそうです。奥には石仏の姿も見えます。後ろに見える堂宇が観音堂です。

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三重塔の正面に立ち、手を合わせます。立派な三重塔です。

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手前には説明書きがありましたので、目を通します。塔には十二支の彫刻があると書かれています。

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こちらは塔を左斜め前から。最下層の軒下には、各面に三つずつ、干支の彫刻が施されていました。

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左手を見ますと、観音堂です。

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紫雲石の先にいらっしゃった石仏にも、手を合わせます。

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三重塔と観音堂の間には、小さな石鳥居と不動明王像です。先ほどの説明書きには、「石護摩壇」とありました。

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こちらで火が焚かれ、護摩修行をしていたんですね。石造りものもは大変珍しいそうです。

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後ろには不動明王像。参拝させて頂きます。

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石護摩壇や三重塔をひととおり眺め、お隣の観音堂へ。お堂の右手前にはご由緒書きがありました。

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観音堂の正面に立ちます。現在のお堂は江戸時代中期に再建されたものとのこと。とても古い建物に見えます。

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参拝させて頂きます。扁額には「金剛山」とありまして、これは明治に金剛童子をお祀りしたことに由来しているとのこと。

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左手を見ますとこんな景色です。石碑がいくつか並んでいます。境内の向こうは幼稚園でして、子供たちの声が聞こえてきました。

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観音堂を左斜め前から。脇に三重塔がある絵は、とても素敵です。

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観音堂の左後方に、このような石畳の小路が続いていまして、そちらからも境内には出入りできます。二つのお堂を心行くまで眺めさせて頂き、僕たちもこの小路より、四本龍寺を後にしました。

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参拝を終えて

幻の寺院、四本龍寺の境内にて、「え、ほんとにいいの?」と思ってしまうくらい、贅沢な時間を過ごさせて頂きました。

最初から最後まで僕たち夫婦しかおらず、完全にその空間を独占させて頂きました。

本宮神社に続き、誰もいない世界遺産を満喫できるという、またとない時間です。

四本龍寺は輪王寺の元となったお寺で、現存はしていません。故に幻の寺院と呼ばれているそうですが、境内に誰も人がいなかったので、ほんとに幻の空間に迷い込んでしまったかのようでした。

まず、本宮神社からも見えた三重塔が、これまた立派な塔なんです。思う存分、ゆっくりと眺めさせて頂きました。

勝道上人が紫の雲が立ち昇るのを見たという、紫雲石のある一帯も、不思議な感じのする場所でした。上人の逸話を知らなければ、ただの石がゴロゴロしているだけの場所かもしれませんが、そういった伝説を踏まえたうえで見ますと、特別な場所に見えてくるものです。

不動明王像のある石護摩壇は、実際に護摩修行が行われていた遺跡とのことで、そこで山伏が修行をしていた姿を思い浮かべてみたり。

石護摩壇の前まで行って初めて、その後方に幼稚園があることに気付きまして、子供たちの声も耳に聞こえてきました。

とはいえ境内はとっても静かなものでして、始終現実離れしたような、そんな空気の中にいた感じがします。

僕が一番印象に残ったのは、観音堂です。

観音堂はこれといった特徴があるわけではなく、派手さがあるわけでもないのですが、ものすごく惹かれるものがある建物でした。

白木造りという、木地のまま(皮を剥ぎ削っただけで、何も塗ってない木のまま)造られた建物とのことで、これは日光で唯一だそうです。確かに木の感じが、他の堂宇や社殿で見るものとは少し違っていまして、美しかったです。

お隣には煌びやかな三重塔があり、観音堂と並んだ絵が、素晴らしかったです。

いいものが見れました。

一つ前に訪れた本宮神社は、二荒山神社発祥の地。そしてこちらの四本龍寺は、輪王寺発祥の地です。

どちらもまさに「日光の原点」です。

そんな日光の原点を、僕と嫁の二人だけで散策してしまい、申し訳ないくらいではありますが、素晴らしい参拝ができました。

ぜひ日光にお出掛けの際には、立ち寄ってみてください。

続いては、日光三社の一つである、滝尾神社方面へと向かいます。

 

御朱印

こちらが四本龍寺の御朱印です。

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御朱印の受付時

四本龍寺の御朱印は、輪王寺の三仏堂にある授与所にて頂くことができます。書置きのみのご対応となります。

御朱印と御守りを頂ける時間は、季節によって異なりますが、8時から16時まででしたら、どの季節でも頂けるかと思います。詳しいお時間は、輪王寺の公式サイトにてご確認ください。なお、三仏堂に入るには拝観料がかかります。

(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は栃木県日光市山内です。

四本龍寺の公式サイトはありませんが、輪王寺のサイト内に記述があります。
https://www.rinnoji.or.jp/history/

 

電車&バス

神橋」バス停より徒歩4~5分。

バス停より日光橋を渡り、信号の先にある左手の石段、右手の石段、どちらからも行くことができます。左から行きますと観音堂の正面に出る小路に続いていまして、右から行きますと本宮神社を通って行く形になります。

バスは東武日光駅の「世界遺産めぐり(2B)」乗り場より乗車します。日中でしたら1時間に3~4本出ています。Suika、PASMOなど利用できます。

駅から徒歩でも行けない距離ではありませんが、神橋まで20~25分ほど掛かるかと思われます。

JR「日光駅」からも「日光東照宮」行きのバスで行くことが可能ですが、そちらは本数が少ないので、すぐ近くの東武日光駅まで歩いて移動し、そこからバスの方が確実です。

 

駐車場

参拝者用の駐車場はありません。周辺に東照宮の駐車場や市営駐車場があります。神橋の公式サイトに近隣の駐車場案内がありますので、ご確認ください。

 

周辺のパワースポット

 

日光世界遺産巡り

日光の二社一寺を中心とした、世界遺産の全ての社寺については、こちらの記事でまとめてあります。

 

日光市の神社一覧

僕が参拝した日光市の神社一覧です。