
和歌山県の那智勝浦町にある青岸渡寺の参拝レポートです。
読み方は「せいがんとじ」です。天台宗の寺院で、那智山青岸渡寺が正式名称になります。「熊野三山」の一部で、隣接している熊野那智大社とともに、神仏習合の霊場として古くから崇敬されてきました。西国三十三所観音霊場の第一番札所です。豊臣秀吉により再建された本堂は、国の重要文化財に指定されています。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部です。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
熊野三山「那智山青岸渡寺」へ
嫁と二人、5月に5泊6日というがっつりな日程で熊野の神社巡り旅行に出掛けました。
僕たち夫婦は神社巡りをするようになってから、もう10年ちょっと経ちます。最初のうちは神社の知識もほぼないまま回っておりましたが、じょじょに色んな情報が蓄積されるようになり、自然と詳しくもなっていきました。それと同時に、行ってみたい神社というのも、次から次へと挙がってくるんです。
熊野三山もそんな場所のうちの一つでした。
死ぬまでに一度は行っておきたい、と。
そしてこの度、それを実現させるべく、熊野まで。
この先の人生で、おそらくそう何度も行ける場所ではありませんので、下調べは念入りにしました。後悔のないように。
その際に、熊野那智大社には青岸渡寺という寺院が隣接していて、そちらも三山の一部であるということを知ります。青岸渡寺、最初は何と読むのかすらわからなかったのですが、「せいがんとじ」としっかり覚えました。
神仏習合の歴史が今も色濃く残っている場所ですね。以前は、神仏習合というものについてもたいした知識がなく、その歴史などもちゃんと把握していなかったんですけどね。
青岸渡寺の境内は那智大社と繋がっているようなので、行かない理由がありません。
さらには那智大社と同じく、死ぬまでに一度は見たいと思っていたのが、名瀑「那智の滝」です。僕は元々、那智大社の境内に滝があるのだと思っていたのですが、少し歩いた場所でした。那智大社の別宮である飛瀧神社が、滝をお祀りする神社になっています。
那智大社や青岸渡寺から飛瀧神社までの間には、青岸渡寺の行者堂や三重塔などもありますので、立ち寄りながら向かうことができます。
そんなわけで、5泊6日の中での4日目を、この周辺の社寺巡りに使うことにしました。ここに朝イチで「熊野古道を歩く」というのも加えます。
そして迎えた当日。
天気にも恵まれまして、予定通り朝から熊野古道を歩き、続いて熊野那智大社にも参拝。那智大社へと続く参道は463段の石段地獄なのですが、その途中には青岸渡寺の観音堂があったり、信徒会館や山門も少し見えたりもしました。
石段をだいぶ上がった頃、那智大社の一の鳥居が現れ、そこを先に進むと那智大社、右に行くと青岸渡寺という分かれ道があります。僕たちはまず先に那智大社に参拝し、次に青岸渡寺という順番で向かうことに。
那智大社では、礼殿への参拝後、胎内くぐりをしたり、宝物殿を見学したり、山の景色を楽しんだりと、のんびりと過ごさせて頂きました。
そして隣接する青岸渡寺へ。
礼殿の右奥にある東門に向かいますと、門を挟んだ先がもう青岸渡寺の境内でした。
ご由緒
ご本尊は如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)です。
創建は第16代天皇である仁徳天皇の時代といわれています。飛鳥時代より前の4世紀になります。インドから渡来した裸形上人(らぎょうしょうにん)による開基とされていて、上人が那智の滝で観世音菩薩を感得し、現在の地に庵を造ったのが始まりとされています。
そこからおよそ200年後の推古天皇の時代に、如意輪観世音が安置され、如意輪堂が建立されました。
那智滝を中心とする自然信仰の場として開け、中世から近世にかけては、熊野那智大社と一体化し、那智山熊野権現や那智権現と称され、神仏習合の修験道場としても栄えます。
安土桃山時代には、織田信長の兵火にかかり本堂である如意輪堂が焼失しますが、後の天正18年に豊臣秀吉により再建され、現在も本堂として残り、国の重要文化財にも指定されています。堂内には秀吉が寄進した日本一の大鰐口があります。
明治になると、神仏分離令に端を発した廃仏毀釈により荒廃してしまいますが、明治7年には天台宗の寺院として独立し、現在の青岸渡寺と名付けられます。寺名は豊臣秀吉が、母である大政所の菩提を弔うために建立した、高野山の青巌寺に由来するといわれています。
日本最古の巡礼路である西国三十三所観音霊場の第一番札所でもあります。
平成16年にユネスコの世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一つです。
隣接する熊野那智大社とともに、熊野三山の一部として、古くから崇敬されてきた寺院になります。
境内案内
青岸渡寺の境内は、熊野那智大社の東門と繋がっています。この門の先が青岸渡寺です。

東門をくぐりますと、目の前に本堂である如意輪堂です。

本堂の左手前には、観音立像です。お隣には鯨や魚介の供養碑である魚霊供養碑。

その左手には灯籠や石碑が並んでいます。左の句碑は、どちらも俳人である水原秋桜子さんと米澤吾亦紅さんのもの。後ろの赤い建物は熊野那智大社の本殿です。

本堂へ。豊臣秀吉が再建させたという、南紀で一番古い建造物になります。大正時代に大修繕が行われたとのことですが、現存していることが凄いです。柱には、左に「那智山青岸渡寺」、右に「西国第一番札所」。

本堂前には大香炉。こちらは、尾鷲の遠洋マグロ漁船の船主・大門長一さんにより奉納されたという香炉です。この先、堂内は撮影禁止。

参拝を終え、こちらは右斜め前からの本堂です。中では日本一の大鰐口もしっかり拝見し、御朱印も頂きました。手前には、世界遺産の碑と、大門長一さんの碑です。その後ろにはご由緒書きと全景の案内図。

さらに右手側から本堂を。立派な建物です。

そして本堂に向かって右手、こちらに石段と山門があります。脇の大きな建物は信徒会館。

本堂の右手奥が開けていますので、行ってみます。前方には、樹齢700年以上で和歌山県の天然記念物にも指定されている、大きなタブノキです。高さ17m、幹回り4.4mとのこと。その左後方には水子堂です。

そしてタブの木の右奥には三重塔、その向こうには那智の滝が見えるではないですか。

こちらは右の信徒会館の入口です。

那智の滝にテンションが上がり、ついそちらの方まで。

こちらには歌碑がありました。西国三十三所一番札所御詠歌の碑で、かつて青岸渡寺の住職だった高木亮享さんという方の筆です。

水子堂の方へと戻ります。後ろには鐘楼がありました。

水子堂の手水には像も。

こちらが水子堂の正面です。水子供養のお堂で、中には如意輪観音菩薩が安置されています。

脇には宝篋印塔です。鎌倉時代に建立されたもので、日本最古の宝篋印塔。

後ろの鐘楼へ。梵鐘は鎌倉時代のものとのこと。時報の鐘で、毎朝7時に鳴らされているそうです。一般の参拝者がつくことはできません。

鐘楼の後ろには、那智七福神をお祀りする大黒天堂(如法堂)です。行ってみます。

入口には、「花山法皇西国巡礼の旅」の絵がありました。花山法皇は第65代天皇で、退位後に法皇となり出家されています。

石段を上がり大黒天堂へ。

お堂の中央には龍、左右には獏の彫刻です。

お堂の右奥には、梵字で囲まれた中に玉砂利という、僕は初めて見るものも。

大黒天堂の石段を下り、さらに奥へ進むと、行者堂への石段です。「熊野道」と書かれた碑も。

石段を上がり行者堂へ。令和5年に建てられた新しいお堂です。150年振りの再建とのこと。

行者堂に向かって左手、山の中に延びている石段は、熊野古道の中辺路です。

行者堂の石段を戻ります。そこから本堂の側を振り返ると、こんな景色です。ソフトクリームなど売られているお店は、お土産物屋さんの見晴亭。

信徒会館側の景色もまた素敵です。下に見える屋根は、青岸渡寺の宿坊となている尊勝院のもの。

見晴亭の先にはトイレもあります。

先に進みます。右は宿坊で、前方の赤い建物は阿弥陀堂です。左が参拝者用の駐車場です。

駐車場の奥は深い森。

右に下りると那智の滝との案内が。三重塔も見えます。まず先に阿弥陀堂に行ってみてから、ここを下りることにします。

阿弥陀堂の前まで行ってみたのですが、こちらは納骨堂のようでして、一般拝観はできませんでした。

先ほどの石段まで戻り、下ります。

石段の途中には観音像。

石段の下には茶室の瀧寿庵(ろうじゅあん)です。

そこから坂を下った先に、三重塔と那智の滝です。美しい。

三重塔の正面へ。昭和47年に、約400年振りに再建された建物とのこと。左奥に見えるのは、秘宝や秘仏が収蔵されている瀧宝殿(りゅうほうでん)で、そちらは通常は一般公開されていません。

三重の塔から右奥に進んで行くと、那智の滝があります。右には『吾道一以貫之』と刻まれた碑も。「わがみちは いちをもって これをつらぬく」と読むそうです。

塔に向かって右手の後方には、布袋像と六地蔵です。間には回向車も。

三重塔は中も拝観できるようですので、行ってみます。入口には手水と、水子地蔵でしょうか。入塔料は大人500円、小・中学生300円との案内も。

石段を上がって行きますと、遠目に見ていたときよりも建物が大きく感じます。

入塔料を支払い、入ります。中は撮影禁止です。

塔の上まで登りますと、那智の滝がよく見えました。塔を出て、那智の滝のある飛瀧神社へと向かいます。

参拝を終えて
熊野三山の中で、寺院として残る青岸渡寺。
見どころもたくさんありまして、神仏習合時代の熊野三山に触れることができました。
やっぱり一番印象に残っているのは、安土桃山時代に豊臣秀吉の命により再建された本堂です。僕たちは那智大社の東門をくぐり、青岸渡寺の境内へと入ったのですが、入るなり立派な本堂が目に飛び込んでくるんです。神社から寺院へといっきに切り替わりもします。
秀吉の時代から、いったいどれくらいの人がこの本堂を目にしているのだろうかと考えると、不思議な気持ちにもなります。それだけの歳月、ずっとここに在り続けているって、凄いことですからね。
歴史ある本堂を、色んな角度からじっくり見させて頂きました。
そして本堂の右奥、大きなタブノキの先に那智の滝を見つけたときは、テンション爆上がりでした。まさかこのタイミングで滝まで見られるとは思っていなかった驚きと、ついにあの那智の滝をこの目で見れたという感動とで、ついよく見える場所まで駆け出してしまいましたもの。
三重塔と那智の滝の絵も素敵で、絶景でした。
三重塔は入塔料が必要ではありますが、また特別な位置から那智の滝を拝めますので、お勧めです。
他にも、宝篋印塔、鐘楼、水子堂、大黒天堂、行者堂など、あちこちに散らばっている見どころも、ちゃんと目に収めました。
もう一つ、青岸渡寺の観音堂というのが、那智大社にも続いている参道の石段途中にありましたので、こちらで改めて画像だけ載せておきます。

そんなこんなで、抜かりなく散策をし、青岸渡寺を満喫したものと思っていたのですが…またしても大失態を犯していたことに、帰宅後に気が付きます。
山門である仁王門を見逃していたんです。
僕たちは那智大社の方から行ってしまったので、山門を通らずに参拝したわけです。それは参拝時も把握していましたし、境内からも石段の途中に門は見えていましたし、写真にも収めました。なんなら那智大社へと続く参道を歩いているときも、青岸渡寺の山門は見えてましたし。
にもかかわらず、門を通るということをせず。
門には金剛力士像や狛犬さんもいらっしゃったようでして、この目でみられなかったことは痛恨のミスです。なぜ行かなかったのかと。
これが近所の寺院だったら、また行けばいいや、で済むんですけどね。なかなかの遠方ですので、どうしても悔やむ気持ちが大きくなってしまいます。
今度また参拝の機会を得たのならば、必ずや山門は通ることにします。
そんな少しの後悔はあるものの、素敵なお寺に足を運ぶことができて大満足です。
那智山青岸渡寺、参拝できてよかったです。
続いては、那智の滝をお祀りしている飛瀧神社へと向かいます。
御朱印
こちらが青岸渡寺の御朱印です。

こちらは行者堂再興の特別御朱印。

青岸渡寺では、上記の他に、御詠歌、大黒天堂、圓通殿の御朱印も頂くことができます。詳しくは公式サイト内の下記「御朱印・授与品」ページでご確認ください。
https://seigantoji.or.jp/%e6%8e%88%e4%b8%8e%e5%93%81%e3%83%bb%e5%be%a1%e6%9c%b1%e5%8d%b0/
また、特別御朱印などは下記の「お知らせ」ページでご確認ください。
https://seigantoji.or.jp/news/
御朱印の受付時間
御朱印を頂ける時間は、7時から16時半までです。
お時間やご対応等変更になる場合もございますので、公式サイト内の下記「拝観時間・境内のご案内」ページにてご確認ください。
https://seigantoji.or.jp/services/
アクセス
住所は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8です。
青岸渡寺の公式サイトはこちらです。
https://seigantoji.or.jp/
駐車場
阿弥陀堂と見晴亭の間に、50~60台駐車できる参拝者用の駐車場があります。三重塔前にも10台ほど駐車できます。神社防災道路の通行料800円(※記事アップ時)が必要ですが、長い石段を上がる必要もなく、境内にはそこからが一番近いです。
463段の石段を上がるのでしたら、那智山観光センターに大駐車場があります。
また、大門坂から熊野古道を歩く場合は、大門坂の駐車場が利用できます。
公式サイトにも有料道路利用の駐車場案内が出ています。
https://seigantoji.or.jp/%e3%82%a2%e3%82%af%e3%82%bb%e3%82%b9%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/
電車&バス
紀伊勝浦駅、もしくは那智駅からバスで行くことができます。
駅で乗車し、那智山観光センターの前にある「那智山」バス停下車です。石段の下になりますので、石段を上る必要があります。
バスの時刻表は下記の熊野御坊何回バスのサイトよりご確認ください。
https://kumanogobobus.nankai-nanki.jp/cms/wp-kumanogobobus/wp-content/uploads/nachisansen-1.pdf
タクシーですとどちらの駅からも15~20分ほどです。
トイレ
見晴亭の隣、那智大社境内の斎館の奥、那智大社の社務所下、那智山観光センターの前、463段の石段の途中、大門坂駐車場にあります。
周辺のパワースポット
那智勝浦町の神社一覧



