宮島の弥山にある三鬼堂の参拝レポートです。
読み方は「さんきどう」です。大聖院の堂宇の一つであり、鬼を祀っている大変珍しいお堂で、かつては厳島神社の奥宮でした。伊藤博文の直筆による扁額が掛けられています。こちらの記事では、三鬼堂から観音堂(かんのんどう)と文殊堂(もんじゅどう)を経て、弥山山頂までをまとめてあります。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
弥山の「三鬼堂」へ
宮島で一番高い山である弥山(みせん)は、神の山とも呼ばれています。
僕たち夫婦は、過去にも二度宮島に訪れているのですが、これまで弥山には一度も登ったことがありませんでした。
登ろうとはしたのですが、天候に阻まれたりして実現できなかったんです。
それから数年、三度目の正直で、一番の目的を弥山登山に設定し、再び宮島を訪れました。
宮島に上陸後、厳島神社には挨拶だけして、足早に弥山を目指します。中宮ともいわれている四宮神社にも立ち寄った後、ロープウェイにて獅子岩駅へ。
そこから登山をスタートさせ、素晴らしい景色を眺めつつ、閼伽井堂を経てまずは弥山本堂へ。弥山本堂の向かいには、1200年燃え続けているという「消えずの火」がある霊火堂もあります。
この弥山本堂と霊火堂のある場所は、獅子岩駅と山頂までのほぼ中間地点でもありまして、多くの登山者の休憩スポットにもなっています。
この日は4月のド平日だったのですが、弥山登山をする方はけっこうたくさんいて、そのほとんどが欧米系の外国人でした。おそらく8~9割は外国人だったのでは?という感じです。それくらい圧倒的に日本人よりも多かったです。
弥山本堂と霊火堂の前にも、そんな外国人の方々がたくさん休憩していました。
そんな光景を見ながら嫁と「日本人少ないね~」と話していたところ…。
突然、ジャージ姿の中学生(日本人)が次から次へと現れました。
途絶えることなく、次々と。おそらく遠足だとは思うのですが、けっこうな人数でした。地元の中学生なのかどうかはわかりませんが、遠足で弥山に登れるなんて素敵だな~と。大人心にはそんなふうに思ってしまいます。
弥山本堂と霊火堂の周辺をしばしウロウロしていた僕たちも、中学生たちの後を追うように、山頂を目指して再び歩き始めます。
まずは、石段のすぐ上にその姿が見えていた、「三鬼堂」に立ち寄ります。
ご由緒
厳島神社の別当であった、多喜山大聖院の堂宇の一つです。
鬼神である三鬼大権現(さんきだいごんげん)をお祀りしています。天狗信仰や山岳仏教とも結びついている神様です。
三鬼大権現は、福徳を司る追帳鬼神(ついちょうきしん)、知恵を司る時眉鬼神(じびきしん)、降伏を司る魔羅鬼神(まらきしん)の三鬼神です。
それぞれ、追帳鬼神は大日如来の化身、時眉鬼神は虚空蔵菩薩の化身、魔羅鬼神は不動明王の化身とされています。
創建の年代はわかっていませんが、平安時代の初期に弘法大師(空海)が弥山を開基した際に、弥山の鎮守として、三鬼大権現を勧請したのが始まりとされています。
元は現在の御山神社がある場所に建立されていて、平安時代の後期に平清盛が厳島神社の大規模な社殿造営をした際には、清盛自身が三鬼堂を「厳島神社の奥宮」と定めています。
明治の神仏分離により、現在の地に遷されています。元の場所には御山神社が創建され、現在は御山神社が厳島神社の奥宮となっています。
三鬼堂の現在の建物は、平成10年に再建されたものになります。
初代総理大臣である伊藤博文からも厚く信仰され、伊藤博文の直筆による扁額が掛けられています。弥山への山道を整備したのも伊藤博文です。
日本で唯一、鬼の神様を祀っているお堂で、家内安全や商売繁盛に大きなご利益があるといわれています。
境内案内
三鬼堂は、霊火堂の脇から延びる石段の上にあります。下からでも一部その姿が見えます。
石段を登り、三鬼堂へ。
石段を上り切り、お堂の正面に立ちます。堂舎は平成10年に再建されたものとのことで、比較的新しめの建物です。
振り返りますとこんな景色です。霊火堂もよく見えます。
参拝のため、お堂の前へ進みます。この中に三人の鬼が祀られているんですね。
扁額は、下にあった弥山本堂と同じく、伊藤博文の直筆だそうです。参拝します。
振り返ると、左手後方には大きな石と木と、赤い帽子のお地蔵さんです。
堂舎を左斜め前からも撮影。
右手には祈祷受付所がありました。脇には大きな木も聳えています。
三鬼堂に別れを告げ、山頂目指して出発です。三鬼堂に向かって左に登山道が続いています。
弥山には、針葉樹であるツガの群落が発達していて、それが弥山原始林の中心をなしているとのこと。そんな説明書きがありました。
気持ちのいい登山道を進みます。
少し歩くと、並んでいる二つのお堂が見えてきました。手前に見えるのが観音堂(かんのんどう)です。観音菩薩がお祀りされているお堂です。周囲には大きな岩がいくつもあります。
奥の建物が文殊堂(もんじゅどう)です。こちらは文殊菩薩がお祀りされています。観音堂も文殊堂も、江戸時代以前の創建と考えられていますが、創建の詳細などはわかっていません。二つともに参拝させて頂きました。
文殊堂の脇には、ひときわ大きな岩がありました。
観音堂、文殊堂の前からは瀬戸内海も見えます。
そこから少し先、大きな岩が重なってトンネルのようになっている場所が見えてきました。
こちらのトンネルが「くぐり岩」です。凄い景色です。この場所は巨大な岩だらけ。
右手にもばかでかい岩です。こちらは「不動岩」です。中には石像が見え、入れるようにもなっていましたので、入ってみます。
石像は不動明王でした。不動明王が祀られているので、「不動岩」だったんですね。手を合わせます。
不動岩の先を覗いてみますと、足がすくんでしまう景色でした。
不動岩から戻り、くぐり岩をくぐります。くぐり岩と地面との幅が、地震などの影響で年々狭まってきているとのことで、ちょっと怖いです。
くぐり岩を無事に抜け、いっきに山頂を目指します。
上り坂が続きますが、景色が素晴らしいので苦になりません。
神の山を歩かせて頂いている、そんな気持ちになります。
ひときわ大きな岩があり、その間を抜けるとどうやら山頂のようです。
展望台も見えました。そして、大勢の中学生の姿も。
こちらが弥山山頂です。無事、登頂できました。長年の願いがまた一つ叶いました。弥山の標高は535mです。
展望台に向かってみます。中学生たちはどうやら山頂でお昼のようでして、みなさんお弁当を広げていて賑やかです。桜も綺麗に咲いていました。
展望台は、2013年にリニューアルされたものとのこと。広島県産のヒノキを使って建てられているそうです。利用できる時間は10時~16時まで。上まで上がってみます。
展望台から見る、弥山山頂の巨石群は凄いです。中学生の姿がなかったら、もっと神秘的だったかもしれません。こればかりはタイミングなので仕方ないです。
展望台からは、360度、素晴らしい景色を楽しむことができます。ここまで登らないと見れない景色です。
絶景をしばし楽しみ、山頂を後にします。
参拝を終えて
消三鬼堂から観音堂と文殊堂に立ち寄り、くぐり岩をくぐり、憧れの弥山山頂まで。
景色も素晴らしかったですし、巨岩が至るところにありまして、不思議な世界を歩いている気分になりました。
まず、日本で唯一鬼の神様を祀っているという三鬼堂。
僕は東京の新宿にて、稲荷鬼王神社という歌舞伎町の神社に参拝したことがあるのですが、そちらは社名に日本で唯一「鬼王」という名が入る神社でした。ただし、稲荷鬼王神社の場合は、鬼をご祭神にしているわけではありません。
それに対し、今回訪れた三鬼堂は、日本で唯一鬼を祀っているお堂とのこと。たいした予備知識も持たずに参拝してしまったのですが、とっても珍しい場所だったんですね。弥山の天狗信仰などとも深く関わっているお堂でした。
三鬼堂と、その先にあった観音堂と文殊堂、どれもしっかりと参拝させて頂きました。
山頂近くにあった「くぐり岩」と「不動岩」は、その大きさや重なっている様に圧倒されてしまいます。
ほんとに神様が積み上げたのではないかと、そんなふうに思えてしまう場所でした。
古代にはそれら弥山の巨石が、神として崇められていたとも考えられているそうです。解読できない文字なども石からは見つかっているようで、宇宙人との繋がりもささやかれているとか。トルコのギョベクリテペみたいで、僕はそういう都市伝説的な話、大好きです。
確かにですけど、僕も弥山を歩いていて、自然と「神の山」にいるんだな~、と感じてしまいましたからね。それくらい神秘的な景色の広がる道のりだったんです。
そんな素晴らしい道のりに対して、少々残念だったのは山頂です。
残念、と言ったら失礼なんですけどね。
景色は素晴らしかったんです。連なっている巨石群も素晴らしかったですし、瀬戸内海や周囲の山々の景色も最高でした。
しかしながら…。遠足の中学生たちが、山頂でお弁当タイムになっていまして、ジャージの集団に埋め尽くされていて…。
もちろん山頂は誰のものでもありませんので、これもまた景色の一つだとは思うんですけどね。
それでもやはり、神秘的な景色を思い描いていましたので、まさかそこが賑やかなジャージの中学生で埋め尽くされているとは思わず…。
これはまたいつか、静かな山頂に再チャレンジしろよ、ということだと、そんなふうに思うことにします。
思い描いていた景色とは違いましたけれど、それでもやっぱり山頂からの景色が素晴らしいことは間違いありません。ミシュラン三ツ星の景色です。
憧れの弥山に、ようやく登頂することができました。一つ願いが叶いました。
山頂での景色を存分に堪能した僕たちは、今度は別ルートより山を下り、大日堂を目指します。
御朱印
三鬼堂の御朱印はありません。
(※ご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は広島県廿日市市宮島町弥山です。
三鬼堂の公式サイトはありません。大聖院の公式サイト内に、詳しい登山案内があります。
https://galilei.ne.jp/daisyoin/pdf/map.pdf
所要時間
宮島ロープウェイ「獅子岩駅」からですと、徒歩25~30分です。そこまで険しい道ではありませんが、靴や服装は登山に適したもので行かれた方がよいです。
ロープウェイを使わずに下から登る場合、どのコースから歩いても、2時間前後だと思います。
周辺のパワースポット
宮島の神社仏閣巡り
宮島にあるその他の神社や寺院については、全体をこちらの記事でまとめてあります。
廿日市市の神社一覧
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