新宿区の余丁町にある厳嶋神社の参拝レポートです。
読み方は「いつくしまじんじゃ」です。「抜弁天(ぬけべんてん)」として親しまれ、古くから信仰されてきた神社です。新宿山ノ手七福神の弁財天でもあります。東新宿駅と若松河田駅の中間辺りに鎮座しています。
序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。
「抜弁天」と呼ばれる「厳嶋神社」へ
僕たちが抜弁天を訪れたのは、夏真っ盛りの7月下旬。今年(2018年)は7月の中旬から記録的な暑さで、エアコン無しではきつい日々が続いていたのですが、この日は前日までに比べてかなり気温が下がり、神社巡りには最適な気候です。
とは言え最高気温は30度でしたので、暑いっちゃ暑いんですけど、それまでの日々が暑過ぎたため、ものすごく涼しく感じる一日でした。
これまでにも新宿の神社巡りは何度かしていたのですが、今回は初となる東新宿エリアです。
東新宿には以前から気になっていた神社がいくつかあったのですが、なかなか足を運ぶ機会がなく、まだ一度も訪れたことがありませんでした。
この日は、嫁と新宿のバルト9に映画を観に行く予定を立てていました。僕たち夫婦は休日にはちょいちょい映画を観に出掛けていて、先々週は吉祥寺、先週は立川の映画館に行き、この日は新宿です。バルト9には『ピース・ニッポン』という、少々マニアックではありますが、日本の綺麗な風景などを撮影した映画を観に行くことに。
この日に近隣の映画館で『ピース・ニッポン』を昼間上映してるのがバルト9しかなかったので、新宿行きが決定しました。
で、ここからはいつもの流れなのですが、せっかくなら神社巡りもしようかと。
バルト9は新宿三丁目駅から近いので、副都心線で移動しやすく、まだ訪れたことがない東新宿エリアを回ってみようということになったわけです。
事前にそのエリアの神社を色々と調べてみますと、「西向天神社」という比較的大きめな神社が、東新宿駅と若松河田駅の間にあります。
その周辺にもいくつか神社はありますが、どれもそこまで大きなものではない様子。東新宿の神社巡りは、西向天神社を除き、かなりマニアックな小さめの神社巡りになりそうな予感です。
映画は午後からでしたので、午前中に神社巡りをする形で予定を立て、立ち寄る神社をピックアップ。
まずは東新宿駅で下車し、西向天神社ともう一つ、こちらの記事で紹介する抜弁天の二ヶ所に参拝することにしました。
この二つは位置的には西向天神社の方が東新宿駅に近いので、先にそちらに参拝するのが妥当です。しかしながら、どうやら抜弁天の御朱印というのが、西向天神社の社務所にて頂けるそうなんです。嫁がどこかから調べてきました。
そうなりますと、やはり御朱印というものは参拝した証として頂きたいと思ってしまうので、先に抜弁天にお参りをして、その後に西向天神社に向かう、というのが自然な流れになります。
この日最初の目的地が、抜弁天(厳島神社)に決定です。
東新宿駅に降り立ち、抜弁天を目指し歩き始めます。
僕は東新宿駅自体降りるのは初めてだったのですが、まずは駅に直結した「新宿イーストサイドスクエア」なるオフィスと商業のでっかい複合施設があり、それにビビリます。東新宿にそんなものがあったなんて、今まで知りませんでした。
イーストサイドスクエアを突っ切り、西向天神社が視界に入るもそれをスルーし、抜弁天に一直線。
駅からは7~8分でしょうか。大きな交差点の一角に玉垣が見え、抜弁天(厳島神社)に到着です。
そして、まさにその交差点が「抜弁天」という名前の交差点でした。
ご由緒
ご祭神は、日本神話の女神で水の神様でもある、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)です。仏教の弁財天と習合しています。
創建は平安時代中期です。源義家が奥州平定に向かう途中、この地にて安芸国(現在の広島)の厳島神社に向けて戦勝祈願をしました。この場所は付近で最も高い場所にあり、かつては富士山もよく見えたそうです。源義家は富士山を望み、さらにその先にある厳島神社に祈願をしたそうです。
そして奥州を平定した義家が、その帰途に戦勝のお礼としてこの地に厳島神社を勧請し、創建したのが始まりとされています。
義家がこの地で祈願をし、苦難を切り抜けたという言い伝えから「抜弁天」と呼ばれるようになったそうです。また、一説には境内の参道が南北に通り抜けできることから、そう呼ばれるようになったとも言われています。
江戸時代には稲荷神社もあり、5代将軍徳川綱吉による生類憐れみの令の際には、付近に野犬のための広大な犬小屋が設置され、最大で4万2千匹もの犬がいたそうです。
こちらの弁財天は、新宿山ノ手七福神の弁財天でもあります。
古くから抜弁天と称され、人々に親しまれ信仰されてきた神社です。
境内案内
東新宿駅より地図を頼りに歩いて行きますと、抜弁天という交差点の向こうに玉垣が見え、神社らしき一角が現れます。
交差点を渡り、抜弁天に到着です。境内は玉垣と緑に囲まれています。
左手に周ってみますと、鳥居がありました。北側にあたる位置です。
一礼して鳥居をくぐります。扁額には「抜弁天 厳島神社」と書かれています。
境内に入ります。まっすぐ進むとその先にももう一つ鳥居が見え、出入りできるようになっています。そちらは南側にあたる鳥居です。
境内の中央に鳥居がもう一つあり、その先に社殿です。
社殿の前には左手に広がる池があり、その中に手水石です。池には鯉やタニシの姿も。
この、手水石にいた龍が凄かった。めちゃめちゃ迫力のあるお顔です。
龍を真正面から見ますと、さらに怖いお顔です。
手水石でお清めをして、社殿の方を見ますとこんな感じです。
社殿に向かい、鳥居の正面に立ちます。
鳥居をくぐり社殿の前へ。小さな松が綺麗です。
7月の空の下、参拝します。
社殿の前より、左手の手水石を見ますと、龍に見事な尾がありました。尾の先は池の中に入っています。
龍の向こう側には、大きな銀杏も聳えています。
社殿に向かい右手が社務所のようです。
社務所は閉まっていて、御朱印などご用の方は、近くにある西向天神社の社務所へお越し下さい、との案内がありました。
南側の鳥居の方にも行ってみます。
南側の鳥居から一度境外へ出ます。南鳥居を外から見るとこんな感じです。
鳥居の脇には抜弁天のご由緒もありました。
しばらく境内にて静かな時間を過ごし、もう一度手水石の龍を眺め、抜弁天を後にしました。
参拝を終えて
交差点の一角に鎮座していた抜弁天。
小さな神社ではありましたが、とても素敵な神社でした。
「抜弁天」という呼び名の由来にもなった一説のとおり、鳥居が南北に二つあり、境内を通り抜けできるようになっていました。
僕も無駄に通り抜けてみました。
南から北へ、北から南へと。
そんな参道の真ん中に、西に向いた鳥居がもう一つあり、社殿があります。
社殿は大きなものではありませんが、その前に立ちますと身が引き締まるような、独特の空気感はありました。張り詰めているというわけではないのですが、厳かな雰囲気がありました。
交通量の多い交差点の一角という、立地としては決して静かな場所ではありませんし、境内も広くはないのですが、神社というのは不思議なもので、そういった喧騒がいつの間にか自然と遮断される気がします。
境内左手には弁天池があり、色鮮やかな鯉が優雅に泳いでいたり、タニシがたくさんいたり。
とても静かに時間が流れていました。
境内の全体的な雰囲気がとても素敵で印象には残ったのですが、そんな中でさらにインパクトがあったものが一つあります。
それが、手水石にいた龍です。
手水鉢に龍がいること自体は珍しいことではありません。神社ではかなり頻繁にその姿を見掛けるとは思います。
しかし、この抜弁天の手水石にいた龍は、ものすごく迫力のあるお顔をしていたんです。なかなか他では見れないくらい迫力があって怖いお顔でした。
さらには龍と目線を合わせるように少し屈んでみますと、その迫力が倍増します。睨みつけられているようで、こちらが怖気づいてしまいそうなほど、恐ろしげな表情をしているんです。
正面からもかなりインパクトがあったのですが、社殿の前にて参拝をした際にふと左手を向きますと、龍の立派な尻尾が池の中まで続いているのが見えました。
尻尾まである龍が手水鉢にいるというのは珍しいパターンではないかと思われます。
素敵な龍神様に出会うことができました。
僕は名古屋にある那古野神社でも、似たような感じの龍を見ていますので、よかったらそちらの記事もご覧ください。
大きな交差点の一角にて、喧騒とは対照的な静かな時間を過ごさせて頂いたのですが、江戸時代の一時期は、この場所が犬で埋め尽くされていたそうです。徳川綱吉の生類憐れみの令により、この地が野犬の収容所になっていて、数万匹の犬がいたとか。
それが一体どんな景色だったのか、想像もできません。
今の東新宿の景色とは大違いなことは間違いないですけれど。
この場所が犬だらけだったんだな~と思うと、今の景色とのギャップに不思議な感じがしてしまいます。
南北に抜ける参道、厳かな社殿、迫力のある龍がいる手水石、鯉の泳ぐ弁天池。
小さな神社ですが、ゆっくりと時間を掛けて参拝させて頂きました。
社務所には、事前に嫁が調べたとおり、御朱印は西向天神社社務所まで、という案内がありましたので、そちらで頂けるようです。
抜弁天を後にした僕たちは、再び東新宿駅方面まで戻る形で、西向天神社へと向かいます。
御朱印
こちらが抜弁天(厳島神社)の御朱印です。
御朱印の受付時間
御朱印は、近くにある西向天神社の授与所て頂くことができます。(新宿山ノ手七福神めぐりが行われているお正月、元日から7日までは、抜弁天境内にある社務所にて御朱印を頂くことができます。)御朱印と御守りを頂ける時間は、9時から17時までです。
(※お時間やご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)
アクセス
住所は東京都新宿区余丁町8-5です。
抜弁天の公式サイトはありません。
電車
①大江戸線 「東新宿駅」から徒歩7~8分。
A3出口、またはA2出口からが一番近いです。大きな通りを東に進み、「抜弁天」という交差点の一角にあります。
②大江戸線 「東新宿駅」から徒歩7~8分。
河田口から徒歩7~8分です。大きな通りを西に進むと、左手にあります。
駐車場
参拝者用の駐車場はありません。近くにコインパーキングがいくつかあります。
周辺のパワースポット
新宿区の神社一覧