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【黒神埋没鳥居】腹五社神社(桜島)の御朱印と見どころ

黒神埋没鳥居の紹介

鹿児島市桜島にある黒神埋没鳥居の参拝レポートです。

黒神埋没鳥居(くろかみまいぼつとりい)は、大正3年の桜島の大爆発により、噴石で埋没してしまった、腹五社神社(はらごしゃじんじゃ)の鳥居です。腹五社神社は黒神神社(くろかみじんじゃ)とも称されています。噴火の脅威を後世に伝えようと、埋没したまま残されています。

序文に続き、ご由緒、境内案内、見どころ、御朱印、アクセスの順で紹介していきます。

桜島の「黒神埋没鳥居」へ

5泊6日というがっつりな日程で、5月の下旬に嫁と二人、鹿児島旅行に出掛けてきました。

僕も嫁も鹿児島に降り立つのは人生で初です。

天孫降臨の地といわれる高千穂峰への登山を軸にして、旅行の日程を組み立てていたのですが、色々調べれば調べるほど、鹿児島には行きたくなってしまう場所がたくさん。もうどうしていいかわからなくなり、途中で一度考えることを放棄したほどです。

桜島も、そんな行きたい場所の一つでした。鹿児島のシンボルともいえる場所ですからね。

当初は高千穂峰と、その周辺にある霧島神宮などの神社巡りを中心に日程を組み、桜島の方までは行く予定ではなかったんです。

しかしせっかく鹿児島に行くのなら、やっぱり桜島にはどうしても行きたい!と。

あとはもう一か所、知覧の特攻平和会館にも、どうしても行きたい!と。

桜島も知覧も、場所的には霧島からは少々離れてしまうのですが、どうしても外すことができませんでした。で、あれこれ整理をし、嫁とも協議を重ね、最終的に5泊6日という日程にして、どちらも行ってしまおうと。

最初の3泊は霧島をがっつり回り、4日目に南下して知覧へ。

そして知覧から鹿児島市街まで戻り、天文館のビジネスホテルに宿泊し、5日目を迎えます。

この日は朝から桜島に上陸予定。

鹿児島に到着する直前、飛行機からも桜島が見えまして、煙を噴いているその姿にテンションも上がってしまいました。あの「桜島」が目の前にあると思うと、それだけで感動してしまいます。その後も色んなところから桜島を見ることができまして、上陸できる日を心待ちにしていました。

桜島は、今回の僕たちの旅行の数日前にも、少し大きめの噴火があったばかりのようで、それで煙が出てるのかな~と思いきや、どうやらそれが日常のようです。

そんな桜島に、自分の足で降り立つことができるというのは、なんだか不思議な感じもします。

ホテルをチェックアウトして、すぐ目の前の市電(路面電車)に乗車して、数分。「水族館口」という駅で降り、そこから少し歩きフェリー乗り場へ。

こちらはフェリーからの桜島です。

フェリーに乗るというだけでワクワクしてしまったのですが、さらに前方に桜島を見つつ海を進みましたので、よりテンションの上がる船旅でした。乗車時間は15分ほどですが。

そしてついに桜島に上陸。

で、まず向かいましたのが、こちらの記事で紹介します、黒神埋没鳥居です。

桜島は周遊バスも走っていて、観光スポットの何か所はそれで回れるのですが、黒神埋没鳥居に関しては、バスだと少々厳しいんです。

ゆえに、上陸してまずは目の前にあったレンタカー屋さんで車を借ります。

位置的には、フェリー乗り場が西の端にあたり、埋没鳥居はちょうど東の端くらいになります。ですので島の南側を通って、ぐるっと西から東へ向かう形です。

出発してからは25分ほどでした。

特に迷うこともなく、無事に黒神埋没鳥居に到着です。

 

ご由緒

腹五社神社(黒神神社)のご祭神は、月讀命(つきよみのみこと)瓊々杵尊(ににぎのみこと)彦火々出見命(ひこほほでみのみこと)鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)須佐之男命(すさのおのみこと)の五柱です。

月讀命は、天照大御神の弟であり、素戔鳴尊の兄で、月を神格化した神様ともいわれ、夜を統べる神様です。瓊々杵尊は天照大御神の孫神で、神々の住む高天原から地上に降臨した神様。彦火々出見命は瓊々杵尊の子で、山幸彦としても知られています。鵜草葺不合命は彦火々出見命の子で、神武天皇の父にあたります。須佐之男命は天照大御神の弟で、ヤマタノオロチを退治した荒ぶる神です。

一説には、瓊々杵尊の代わりに、その妻である木花開耶姫(このはなさくやひめ)が、ご祭神であるともいわれています。

創建の年代は不明です。古くは五社大明神とも称されていたそうです。

江戸時代前期の寛永2年には、島津家久の命により現在の地から浜辺へと遷座しますが、170年ほどの後、寛政10年には再び現在の地に遷座しています。

大正3年の桜島の大噴火(大正大噴火)では、この地域一帯が火山灰や軽石で埋め尽くされ、神社も埋没してしまいます。鳥居も笠木だけを残して埋没してしまい、住民が掘り起こそうとしたものの、当時の東桜島村長である野添八百蔵氏が「噴火の脅威を後世に伝えよう」と、掘り起こすのを止めたため、現在も「黒神埋没鳥居」として残り、昭和33年には鹿児島県の天然記念物にも指定されました。

鳥居の脇には、噴火から生き残った大きなアコウの老樹が聳えています。

噴火直後の姿がそのまま残された場所として、桜島の貴重な遺産にもなっています。

 

境内案内

駐車場には噴火の際の退避壕があります。桜島にはこのような退避壕がいくつもあります。

 

黒神埋没鳥居は、駐車場から道路を渡った反対側です。

 

入口には鳥居についての説明書き。

 

そしていきなり目の前に埋没鳥居です。

 

手前には噴火直後の写真も。

 

右手には「黒神げんき塾」と書かれた建物。境内は中学校の敷地内にあり、こちらでは生徒たちによる腹五社神社や桜島の案内が展示されています。

 

反対側、左には赤い社殿の境内社です。お稲荷さんでしょうか。

 

鳥居の前へと進みます。完全に埋まっています。

黒神埋没鳥居

 

鳥居の左手には、大きなアコウの木。

 

埋没した鳥居を間近に拝見。鳥居をこんな角度から見ることがないので、不思議な感じがします。

 

本来は鳥居をくぐって参道を進むのですが、こちらでは鳥居の脇を通り進みます。

 

右には、石柱の上に石仏のような石が載っていました。ただの石なのか石仏なのか。

 

アコウにも間近でご挨拶。根が凄いですね。

黒神埋没鳥居のアコウ

 

しばしアコウを見上げて過ごします。噴火から生き残っていなければ、今ここにはなかった木。

 

参道を進みます。左の建物が中学校になります。

 

学校の敷地内を進むような感じです。

 

屋根のある建物を抜けると、その先に社殿が見えてきます。参道は少し右に延びています。

 

左に境内社がありましたので、後ほど参拝させて頂きます。

 

社殿の手前、左右には門守社と思われる社。左には大きな木も。

 

拝殿へと進みます。建物はコンクリート造りです。

 

参拝させて頂きます。

 

拝殿を振り返りますと、こんな美しい景色です。

 

社殿に向かって右手には、森の中へと小路が延びていました。

 

社殿を少し斜めから見ますと、けっこう奥行きがあるのがわかります。奥には本殿も。

 

左にも境内社が一社。

 

参拝を終え、途中の境内社にも立ち寄り、参道を戻ります。

 

こちら、反対側からの埋没鳥居。不思議な光景です。

 

しばし鳥居を観察。

 

最後に「黒神げんき塾」に立ち寄り、腹五社神社を後にしました。

 

参拝を終えて

腹五社神社の黒神埋没鳥居。

他ではなかなか見ることができない、とっても貴重なものを見ることができました。レンタカーを借りて行った甲斐がありました。

当たり前ではありますが、こんなふうに埋まってっしまった鳥居を目にするのは初めてです。

鳥居は元々高さ3mだったそうですが、噴火により火山灰や軽石に埋まり、現在出ているのは上部の1mのみ。灰や軽石が2mも積もったってことですからね。で、それが踏み固められた上を、ぼくたちは今歩いていることになります。

噴火というものを目の当たりにしたことがないので、その恐ろしさや凄まじさはなかなかリアルに感じることはできませんけれど、鳥居がこんなことになってしまったこの光景で、その一端を想像することはできます。

この鳥居を当時のまま残してくださったことは、大きな意義があるんじゃないかと。

また、普通は鳥居をあんな上から間近に見ることがないので、それもまた不思議でした。通常は見上げている部分が足元にあるわけですからね。

貴重な鳥居を、じっくりと拝見させて頂きました。

鳥居の脇には、これまた立派なアコウの木が聳えていまして、そちらにもまた目を奪われました。

アコウというのは、日本でも九州や沖縄など、南の暖かい方に生育している木とのことで、僕は初対面だと思います。ガジュマルの木にも似ていました。

埋没鳥居とアコウの木、その景色を見られただけでも、行ってよかった。

もちろん参拝もしっかりさせて頂きました。社殿はコンクリート造りでして、これもまた桜島らしい建物でした。

境内は中学校に隣接していて、生徒さんたちが清掃なども行ってくれているそうです。

同じく生徒による腹五社神社や桜島の案内が展示されている「黒神げんき塾」では、桜島の「火山灰」も売られていまして、嫁が勢いで購入しました。

持ち帰ったものの、どうしたらいいかわからず、このまま自宅に保管しているんですけどね。つい嫁が買ってしまった気持ちは僕もわかります。だって桜島の火山灰ですもの。

きっと桜島や周辺に住む人にとっては、火山灰なんて珍しくもないのでしょうが、馴染みのない人間からすると、それだけでちょっとテンション上がってしまうんです。旅の思い出として、大事に保管しておきます。

貴重な埋没鳥居も見れましたし、アコウの木も見れましたし、火山灰も頂けましたし、いい時間が過ごせました。

腹五社神社、参拝できてよかったです。

この後は、湯之平展望所や叫びの肖像など、桜島の観光スポットを巡ってから、フェリーターミナルの近くにある月讀神社へと向かいます。

 

御朱印

腹五社神社(黒神埋没鳥居)の御朱印はありません。

(※ご対応等変更になる場合もございますので、ご注意ください。)

 

アクセス

住所は鹿児島県鹿児島市黒神町647です。

腹五社神社(黒神埋没鳥居)の公式サイトはありません。

 

駐車場

7~8台駐車できる駐車場があります。

黒神埋没鳥居の駐車場

桜島フェリーターミナル桜島港から車で30分ほどです。

 

トイレ

駐車場にあります。

 

周辺のパワースポット

月讀神社
南洲神社
照国神社